第105話 タロウ、あっさり12歳になる
よろしくお願いします!
(´ω`)
「タロウさん、明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます、マツリ様」
3日目のお昼を過ぎた頃、徳川家の方達が訪れて来た。初日、2日目、今日の午前中までは公務で忙しかったらしく午後になってようやく時間が取れたみたいだ。
「タロウ、少しいいかな?」
「駿様…はい、大丈夫ですよ?何かありましたか?」
「あっ!あれですわね、父上!」
「麻津里の思う通りだ。タロウ君、お年玉をあげたい気持ちはあるんだが…国民からの税の一部で徳川家は生活をさせて貰っておる故に直接お金を渡すわけにはいかなくてな…。そこで麻津里に相談したら菓子類がいいだろうという事で、用意してきたのだ。受け取ってくれ」
それは…いいのだろうか?お金がお菓子に変わって、それを頂いてる訳で…結局は渡してる訳だし…でも、直接お金じゃなかったらいいのか?ありがたいし嬉しいからこっちとしては良いんだけど…。
「ありがたく頂戴します。内の使い魔や式神達も喜びます」
「うむ。では、私は向こうで食事にしてくるから…麻津里を頼んだぞ、タロウ」
これは、今日一緒に遊んでおいてくれって意味の頼んだだよな?他意は無いんだよな?
「こ、子供は子供で遊んでおきますので!大人は大人で楽しんで来て下さい!」
「「…惜しい」」
「え?今なんて…」
「さ!タロウさん他の方も一緒に遊びましょう!では、父上、私達は遊んで参りますから!」
「そうだな!気をつけて遊ぶのだぞ!」
気の…せいだよな。気のせいだろう。気のせいにしておこう。世の中には気付かない方が良いこともあるだろうしな。それよりも、何をして遊ぶかだな…。お年玉は使いきったし、お菓子はあるけど…。
「タロウさん、どこかでゆっくりいたしましょう?昨日、一昨日で結構疲れてしまったのですよ…」
「お疲れ様。そうだね、縁側にでも座ってお菓子でも食べてようか…」
「はい!」
カルミナは部屋で桃さんや晴海さん、双葉さんとカルタや書き初めなんかをしている。正月らしくていいけど、俺はどちらかというと寝正月派だからこうしてまったりしてる方が好きだな。
とは言っても、朝はちゃんとランニングしたり素振りをしたりはしているから完全に寝正月とは言い難いかも知れないが…。
「マツリ様の修行の方はどうです?順調ですか?」
「はい!まだ、双葉先生に走らされてばっかりですが…少しずつ体力もついてきましたし、良い感じです」
まぁ、俺もベリー先生に走らされてる訳だし、それは基礎的な事だからな。順調そうで良かった。
「タロウさん…タロウさんの好きな食べ物ってなんですか?」
「何ですか?急に…?そうですね、ジパンヌで食べた丼物や肉じゃが、それに肉料理なら大概好きですよ?」
「なるほどなるほど。苦手な食べ物はありますか?」
「うーん…ゲテモノ系ですかね…?それ以外なら大概食べれますよ」
「ふむふむ」
「どうしたんですか?料理でもするので?」
「はい!聞くところによると、カルミナさんは料理が駄目だとか…。これは差を詰める一手になると思いまして、頑張ろうと思ってるんです!双葉さんも胃袋を掴めばもう殺ったモノだ…と仰ってましたし…あぁ、勿論そんな事は致しませんけど」
間違ってないんだろうけど…双葉さん、余計な事まで教えてそうだから怖い。毒の種類とか詳しそうだしな…。各種耐性があっても料理の不味さだけは防げないから是非とも頑張って欲しい…かな?
「味見役ならいつでも引き受けますよ?」
「本当ですか!あっ…ですが、やはり美味しくなってから食べて頂きたいですし…」
「出来れば食べさせて欲しいですが…まぁ、無理にとは言いませんよ?」
「そ、そうですか…やっぱり食べて貰おうかな…?でも…」
「まぁ、その時になって決め手ください」
「タロウ~」
「分かりました!その時が来たら…私、頑張りますので!美味しく召し上がってください!」
「「あっ」」
「あっ…って何かしらぁ~?何を美味しく召し上がるのか~し~ら~?ねぇ~タロウ~マツリ様~?マツリ様にいたっては、最近、双葉さんに変な入れ知恵されてるらしいじゃ無いですか~」
「え!?そ、その話は秘密ですよ!カ、カルミナさんだって一緒に聞いていたではありませんか!」
「私には必要な事ですもの!ね、タロウ?」
「いや、俺に聞かれても話が見えないんだが?」
「そ、それなら私にも必要になるかもしれない予定があるかもひれないですし!ね、タロウさん!」
「いや、分からないんだが?」
「双葉さん流の男を手玉に取る方法よ!双葉さん、男を倒す為に色々な事を学んだそうよ?あ、ちなみにベリー先生も話を聞きに来ていたわ」
おぉ…勤勉だもんな…ベリー先生は…。くっ、悲しい!
「そ、そんな講座が開かれてるんだ…へ、へぇー」
「男と言っても、タロウを手玉に取る方法を双葉さんが考えて教えて貰っているのよ?」
「他の方には申し訳無いですが…特定の人物に的を絞らせて頂いているのですの!」
双葉さん、鋭いから的確に指導しているんだろうなぁ…。
「ちょっと隣に座らせて貰うわね!タロウ、今から実践して見せるわ!双葉さんの教えを…」
そう言って、隣に座ったカルミナが少し服を着崩し、片膝を立てて内ももを見せ付けてきた。
「ふぅ…あっつい」
「カルミナ…好きだ」
「よし!流石は双葉さんね!タロウがよりメロメロになったわ!」
冬なのに、縁側に座ってるから暑いことなんて絶対に無いのに気が付いたら好きだと言っていた。双葉さんの講座…めちゃくちゃ恐ろしいモノなのかもしれない…。
「な、なら…私だって…!」
マツリ様の方を見ると、上目遣いをしていたマツリ様がゆっくりと瞳を閉じて、アゴを上げる。
「んっ……」
「……」
「危ないタロウ!!」
「ぐぇっ」
反対側に座っていたカルミナに引き戻された。危ない…確かに危なかった。目を閉じて顔を近付けていた。引き戻されなかったらそのままキスしていたかもしれない…。
「カルミナさん!なんて事するのですか!今、絶対にいけました!いけましたのに!!」
「タロウ!簡単に術中に嵌まってるんじゃ無いわよ!こっちがビックリしたわよ」
「なんて恐ろしい技術なんだ…。双葉さん…何者?」
カルミナからの説教があったが、その後はカルミナも加わってお喋りを続けた。夕方になって駿様や奥さんと天道さんは帰ったが、マツリ様は明日から修行があるため残る事になった。
新年を迎えてからまた、修行ばっかり、時には冒険者としての日々を送って3ヶ月と少し…俺とカルミナは12歳の誕生日を迎えた。
◇◇◇
「式札 氷 『氷礫』!」
「式札 風 『風壁』でして~」
俺と晴海さんは式神の訓練のその先、式札の応用に入っていた。この訓練で1番大変な事は式札の消費の速さというか量というか…とにかく1度使えば式札は消えてしまう為、沢山描かなければならなかった。
だが、利点として予め式札に魔力を込めておけば、発動させる為のイメージと言葉を発すると術が発動する為、魔法より速く攻撃が出来る。
それに、どこかに設置しておけば罠としても優秀な役割を果たしてくれる。
「緋鬼王!紅緋!」
『主、お任せを』
『行くぞえ!』
「蒼鬼王、翡翠、返り討ちにするのでして~」
『任せてください、私のご主人様』
『行きます!』
式神、式札を駆使した戦闘を晴海さんと行っているが実力が拮抗している為、競い合う様に訓練出来てとても楽しい。
お互いに気付いた事や思った事は訓練の後で話し合って次に活かそうとしてる為、より成長出来てる感じがするし…いい刺激になっていた。
「よし、とりあえずこの辺にしておこうか」
「でして~、また式札を描かなければならないのでして~」
『蒼鬼王、今日も良い訓練だった。我が主も満足している様子』
『こちらこそですよ、緋鬼王』
『くっふっふー、翡翠…決着はこの次ぞ!』
『返り討ちにしてくれる!』
二人はいつもそのやり取りするけど…いつ決着がつくのだろうか?
「じゃあ、皆は自由にしてていいよ。俺と晴海さんは式札の補充とかに行くから」
その場を後にして部屋へと向かう最中にせっかくだからマツリ様の様子を見に行こうと思い、少し遠回りをした。
「速く!もっと速く!相手に攻める隙を与えるな!」
「…は、はい!」
最初に見た時よりも動きがなめらかになっているな。走り込みのおかげか下半身もしっかりしてブレが少なくなったと思える。双葉さん指導のもと、少しずつ武器の扱いも上手くなっている様だ。
「頑張ってるみたいだな…よし、俺も頑張りますか」
なんか元気が出てきた。よし!
「あ、タロウ君、ここに居ましたか」
「忠晴さん…どうかしましたか?」
「ちょっと耳に入れておこうと思ってね。先程、ルールト王国の王から手紙が届いたよ。と、言っても隣国から…ルールト王国からこんな手紙が来ましたっていう報せとその手紙の内容が届いたって事だけど。」
ルールト王国から?そういえば、魔王に負けた時に手紙を送って知らせたけど…それからどう動いたかは知らないな。
「ルールト王国は近くの友好国と手を繋いだようだね。連係して事に当たるみたいだよ。そして、周辺国にも注意を呼び掛けてるみたい。結構大変な事をしているみたいだね、ルールト王は」
「ですね。半年でここまで手紙が来るように動いたって事はかなり頑張ったんでしょうね…。ピヨリ!」
『なんだッピ?』
「ルールトの王は覚えてる?そこにフルーツの差し入れをお願いね」
『分かったッピ!』
「お願いね。ピヨリの分のフルーツは別の袋に入れておくから途中で食べて。よろしく頼んだよ!」
『やったッピ!行ってくるッピ!』
「鳥と言葉を交わせるっていうのも面白そうなものですね」
「使い魔ですからね。忠晴さん、知らせてくれてありがとうございました」
「いえいえ、それでは修行、頑張って下さい。期待しておりますよ」
「はい!」
後でカルミナにも教えてやろうと思いながら式札を描くために部屋へと戻った。
その日の修行も終わり、俺とカルミナは安倍家に向かっていた。その途中で手紙が来たことを伝えると…
「4ヶ月遅いわ!」
なんて辛辣な事を言っていたが…ルールトからここまでは遠いし、仕方ないだろうと思うな。
「でも、国王も忙しそうだな」
「私の兄様や姉様も手伝ってるだろうし大丈夫よ」
「一応、差し入れをピヨリに届けるよう頼んどいたよ」
「あら、それはありがとう。私達が帰る時はベリー先生より強くなった時よ!明日も頑張りましょ」
「そうだな。あと、何年かかるか全く読めないけどな!」
◇◇◇
「タロウ君、足にも気を配るでござる!」
「くっ、重い…」
体術の練習。ベリー先生の不意に来る回し蹴りを何とか腕で防げたが…一撃が重く少しよろめく。拳での突き、蹴りなんかは弾いて逸らす方が力も必要なくて済むが…回避出来ない時は受け止めるしかない。
「近接戦はいかに人体の弱点を突けるかでござる。目潰し、鳩尾、喉、顎…そこに攻撃を当てる様にするか、当たらない様に防ぐかが大切でござるよ」
「はい!」
「だが、チャンスがあったらすかさず投げるでござる!!」
「ぐはっ!……危なっ!」
「そうでござる。意識があるならチャンスも作れるでござる…投げられてもすぐ次に備えるでござるよ!では、交代にござる」
「…ありがとうございました!」
カルミナと交代して、俺は桃さんと一緒に型の練習に戻る。山登りにも少しは慣れて、速く登ってこられる様になり練習の時間も増やす事が出来た。つまり、キツさも増えたという事だ。
「う~ん、やっぱり俺よりは上手いな」
「筋力はタロウさんの方がありますけど、カルミナさんは足捌きも上手ですよね」
「でも、女の子が的確に目潰しを狙うって怖いな」
「ふふっ…でもそんなカルミナさんが?」
「好き…って、何を言わせるんですか!」
「いいなぁ!ラブラブだなぁ。私もそんな事言われたいなぁ~」
「あ、晴太君とか居るじゃん?」
「いや、ちょっと…」
「あぁ、そう…ぷふっ」
すまん晴太くん。悪気は無いけど笑ってしまう俺を許してくれ。
「タロウさん!ちょっと、私を甘やかしてみてくださいよ!」
「おぉ~よしよし、おぉ~よしよし」
「えへへ~悪くないですね~悪くないですよ~」
「タロウ!!何してんのよ!ベリー先生、待って!妹さんが」
「ん…?桃!!桃にはまだ早いでござるよ!タロウ君も離れるでござる!あと、二人共、追加メニューでござる」
「「えぇ~!?」」
その後の休憩中に腕立て伏せをさせられた。俺はカルミナの説教付で…。
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ラブコメを書いてみました!
そちらもよろしくお願いします!(´ω`)




