第102話 タロウ、感覚的な表現
すいません、今、書きあがりました。
よろしくお願いします!
(´ω`)
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」
「くっ…」
速い…模擬戦の開始直後に身体強化とか…しかも足と手に集中させて攻撃動作が速いし多い。
「ちっ…」
俺が身体強化を使えなかったらもう倒されていただろう。ちなみに使っている武器は木刀とかではない真剣だ。これはもう模擬戦なんかじゃなく、実戦と言ってもいいんじゃないだろうか…
「死ねぇ!死ね死ね死ね死ね死ね!…殺す、殺す!殺す!」
これは戦闘だし、勿論相手には近付く事もある。というか、今は魔法を使っていない戦いの為、近付いて倒すしかない訳なんだが…双葉さんに近付けば近づくほど狂暴性が増す。つまり怖い。
近距離での戦闘では今の俺の方が不利で、双葉さんが2本使ってる武器の内の片方を弾いたら片方は回避するしか方法が思い浮かばず…攻めに転じる事が出来ていなかった。
「がっ…」
「油断すると死んでるぞ。武器だけに気を取られてるから簡単に蹴りが入る」
「いってて…慌てて後ろに跳べなかったからモロに入った。ゲホッ…」
「身体強化もまだ使いこなせて無いようだな…十分に強い方だが、よく羽柴秀政を倒せたな」
「ま、まぁ…あの時は魔法のごり押しと身体強化を暴走させるのとちょっと心を弄りましたからね…」
「その時の殺気を思い出せ。本気の殺気は相手を怯ませる事もある…まぁ、覚悟の出来てる強者には通じんがな」
「はい。行きますよ!!」
それからお散歩に行っていた晴海さんとマツリ様が戻って来るまで俺は双葉さんと模擬戦をしていた。その日は結局のとこ手数の多さについていけず、かすり傷程度で倒れはしなかったが惨敗と言ってもいい内容だった。
「…てな感じで双葉さんにはボロボロにされた」
「まぁ、やりづらい相手っているわよね。私もきっと苦手なタイプよ…今度お相手をお願いしてみようかしら?」
「俺の時は真剣だったぞ…まぁ、流石にカルミナの時は木製の武器にしてくれるとは思うけど」
「それじゃ意味無いわよ!せっかく実戦として戦ってくれる人が居るんだから勿体ないわよ」
それは逞しい考えでいらっしゃる。そんな話をしながら俺達は安倍家から九重家へと向かっていた。街の様子もだいぶ戦の前みたいに元に戻りつつあった。少し遠くに見える大人の街だけはいつだって賑わいがあるみたいだけど…ごくり。
「そうだ、タロウ。私…出来たの」
「えっ!?!?!?」
「サンライカの力を借りた奥義が!」
「そ、そうなんだ!唐突過ぎて驚いちゃったよ!そうだよね。うん、まだ何もしてないもんね?」
「さっきから何を慌ててるのよ?今度お披露目してあげるから、楽しみにしててね」
「あ、うん。そういえば…今日は暗くても服の裾を掴まないでももいいんだな」
「そう!そうなのよ!サンライカとの契約の恩恵で、目で光の調整が出来るのよ。だから視界は問題ないわ!」
「そうか、それは良かったな。暗い所が見えるなら行動の幅が広がるし…」
「あっ…で、でもーなんかー光の調整が難しくてーく、暗いなぁー。裾をつ、掴かんどこうかなー?」
下手ッ!すこぶる演技が下手くそだ。が、そう言うのならやぶさかでは無い。うん。
「ほら、冷えるから手でも繋いで行こう」
「うん!」
俺達は仲良く二人で九重家に行った。それでうっかりベリー先生に出くわし…どうやら明日の修行は厳しくなりそうだ…。
◇◇◇
「おはようございます!タロウさん、カルミナさん」
「桃さん!なんか、久しぶりな気がしますね」
「そうね。おはよう桃さん」
「私は街の巡回を担当して、終わった後はこの家に帰って来ていましたから…。お二人共、お疲れ様でした!また、修行が出来て楽しみです」
「あぁ、そうだ…実は…」
俺は桃さんにも魔族の事や魔王と戦った事を話した。桃さんの表情がコロコロ変わって面白かったが、最後に大事な事を伝えないといけない。
「と、いう訳で…修行が…前より大変なモノになるかもしれない」
「そ、そうなんですか…ですが、それも仕方の無いことですよね!皆で頑張れば大丈夫な筈です」
「さぁ、それはどうでござるかなぁ?」
「あ…ベリー先生、おはようございます…」
「お姉ちゃん…そのリュックは?」
「午前中の素振りやらなんやらは一旦中止でござる!それは各自でやっておくように!」
「そ、それは分かりましたが…そのリュック、嫌な予感しかしないのですが…」
「タロウ君は3度目になるでござるからなぁ~。では、行くでござるよ!頂上まで!」
やっぱりだ!分かってたよ…また山登りって事は。でも、いつもは午後からの筈なのにいきなり山登りって初めてだな。過酷さが増したと考えるべきかな…。
山へと走り出して真っ先にバテたのが桃さんだった。慣れてないリュックでペース配分を間違えたんだな。その次にカルミナ、そして俺…この辺はもうそこまで大差は無かった。ラストスパート手前に着く頃にはヘロヘロのヘロヘロだった。
「はぁ…うぇ…はぁはぁ…」
「水…水を…タロウ…」
「お姉…ちゃ…はぁはぁ…ん、これ…うぇ…キツ…イ…はぁはぁ…」
「キツイと思う様にしているから当然でござる。基礎的な体力がまだ付いてない事は勿論でござるが、無駄な力が入ってるでござるよ」
確かに余計な部分にまで力が入りすぎてる気はするが…入っちゃうんだから仕方ない…いや、仕方なくは無いんだろうけど…。
「さ、ラストスパートでござるよ。自分で決めてしまっている限界のその先へと押してあげるのが拙者の役目でござる。私怨は無いでござるよ~」
くっ、まだ根に持っているのか。ともあれ気合いを入れ直さないとな!
「カルミナ、桃さん大丈夫?行けるか?」
「えぇ…ラストスパート行くわよ!」
「わ…私も…頑張れ…ます!」
「さ、走るでござるよ~」
ベリー先生の後を追うように俺達も走り出した。ラストスパートが坂の勾配が1番急で負担が大きいが何とか登りきれた。重荷があると普段の2倍以上は辛かった。
「はい、到着でござる」
「ヤバいヤバいヤバい…あ…ヤバいヤバい…」
「はひゅ…はひゅ…はひ…はひ…はひゅ…はひ~」
「…死にそう」
俺、カルミナ、桃さんがそれぞれ違う反応をしているが、死にそうと言った桃さんが1番ヤバそうだ…けど、俺もカルミナも動きたく無いくらいに足に疲れがきているから助けにもいけない。
寒い季節なのに大量の汗をかいてしまった。そのままにしておくと風邪を引きそうだし、とりあえずはタオルを配った。カルミナは何とか受け取ってくれたが桃さんがヤバい…。近くに行くともう目を瞑って息をしているだけになっている。回復にはもうしばらくかかりそうだ。
「この山登りは毎回するでござるから。夏はもっと辛いでござるよ~」
暑くなればそれもそうだ。今が体力をつけておく絶好の機会なのかもしれないな…。
「その…ベリー先生、いきなり山に来ましたけど…この後はどうするんですか?」
「やることは沢山あるでござるよ。刀に体術に身体強化なんかも…時間が足りないでござるが1つ1つ丁寧にやっていくでござる」
「それで先に山登りをやっちゃって、酸素が多少は薄くなる山頂での修行なんですね」
「ここなら少しくらい地面が抉れても誰も怒らないでござるからな。さ、まずは体術から行くでござるが…カルミナさんと桃が回復してないでござるから、先に動けるタロウ君だけでもやるでござる」
マジか…俺も寝たフリでもしておけば良かったかも…動けるといっても歩けて話せるくらいなんだよな。
「殴る蹴る投げる弾く絞める…体術にも技は沢山あるでござるが、タロウ君は体術の方はどうでござるか?」
「あー、前にカルミナから少しだけ受けの指導を受けましたね。その後はなんやかんやあったんで全然でしたので…初心者みたいなモノです」
「なるほど。体術も扱える様になれば攻撃、フェイントの幅が広がるでござるから身に付けて貰うでござる!」
「はい…頑張ります!」
「体術も刀と同じで色んな型があるでござるからとりあえずはそれをなぞる形で基礎を身に付けて貰うでござるよ!その後はひたすら実践でござる」
「よろしくお願いします!」
俺が型を習い始めてから少ししてカルミナとフラフラだけど桃さんも起きてきた。
「大丈夫?」
「吐きそうよ」
「体力…を、付けないと…です、ね」
それでも立ち上がって訓練に混ざろうとするとは凄い根性だな…でも、今からお昼の休憩なんだ。せっかくのやる気を無駄にして申し訳ない……。
「お弁当は母上が作ってくれたでござるから、今度からはここで食べる事になるでござるよ」
「見晴らしが良くてご飯もより美味しく感じますね」
「私は…いいわ。今はちょっと入らなくて…」
「私も…です」
俺はそこそこ回復も出来たから普通に食べているけど疲れた時って胃が受け付けなかったりするのはよく分かる。でも、食べないと後半もキツイしな…。
「果物なら大丈夫そうか?この前採ったやつがあるんだが?」
「うん、それなら…」
「私もそれでお願いします…」
「あぁ、それにこの間貰ったリンゴジュースもあるしこれも飲めばだいぶ良いだろう」
「ありがとう、助かるわ」
「午後は身体強化からし始めるでござるかね…?それなら負担も少ないでござろうし」
「ですね、最後に刀の修行した方がいいかもですね」
お昼ご飯を食べ終えて少しの休憩を挟み、午後の修行へと入っていった。
◇◇◇
「はぁぁ!!」
「ふむ。タロウ君は形になって来ているでござるな。強化はそれが限界ギリギリでござるか?」
「いえ、もう少し強化は出来そうですね。でも、咄嗟に強化しようとするとどうしても限界の8割程度になってしまうんですよね…」
「気持ちは分かるでござるよ。でも、せめて咄嗟にでも9割りを目指すでござる。その後は少しずつでいいでござるからその時の限界ギリギリまで強化させるでござるよ」
「分かりました!…部分強化でこれですものね…全身を強化させるとなるとまだまだ時間が掛かりそうですね」
「ある程度形になってからの方が、修行の中身の難易度は上がるでござるからな…頑張るでござるよ!拙者もやれるだけはやるでござるから」
「はい、お願いします!」
「それで…二人は何を唸っているでござるか?」
「魔力を手に集めたり、1ヶ所に集中させるのなら魔法を扱ってる訳ですし出来るんですけど…」
「伸ばして手を覆うって間隔が掴めないよお姉ちゃん…」
「この前説明した通りなんでござるけどなぁ…。魔力掌に集めて、それを腕の右外側を通す感じで肘まで伸ばして左外側を通して戻す。それを速くすると…」
「せいっ!!……と、こんな感じで地面も抉れる威力が出せるでござる」
「今まで魔力を動かすなんてしてこなかった所か、想像もしてなかったのよ!」
「うぅ…でも頑張りましょうカルミナさん」
カルミナ達は苦戦中の様だ。俺が割とすぐに出来たのは前世で培われたイメージ力のお陰だな。粘土やオモチャのスライム、お菓子のガムやチーズとか…伸びる物、伸ばす物は身近に沢山あったし、それを魔力に置き換えただけで魔力は伸びないなんて観念を無視しちゃえば意外とすんなりと成功したのだ。
「タロウ!コツくらい教えなさいよ!」
「とは言っても感覚的な物だしな…しいて言うなら、『うにょ~ん、シュリリリリン!』って感じ」
「バカにしてるの!?」
「だ、だから感覚的なって言っただろ?こう…魔力をうにょ~んって伸ばしてシュリリリリン!って回転させるんだよ」
「分かんないわよ!」
「…出来…た?」
「「え?」」
「あ、あれ?なんか、出来た感じがしますよ!」
「え!?本当に?ちょ、ちょっとこの板殴ってみて」
「は、はい。ふぅ…せーのっ、はい!!」
バキィ…と音を立てながら板が砕けた。成功である。桃さんの普段の腕力じゃ絶対に壊れないくらいの厚みのある板だったからな。
「お、おお!!成功だ!」
「やった…やった!やった!やったよ、お姉ちゃん!」
「うむ、第一歩でござるな!おめでとうでござるよ桃」
「うん!タロウさん、ありがとう!タロウさんのアドバイスのお陰で出来たの!」
「そ、そう。なら良かった…」
正直、自分でも変な擬音で表したな…なんて思っていたが、役に立ったのなら良かったよ。後は調整と他の手、足も強化出来るように練習だな。
「くっ…私が最後…」
「慌てるなよカルミナ、焦りは禁物だぞ。大丈夫、すぐに出来るようになるって!」
「わ、分かってるわ!ぬぬぬぬぬぬ……!!」
完全に力が入っていらっしゃる…。カルミナは負けず嫌いだからな、最後まで出来ないのが悔しくて焦り始めているんだろうな。でも、力が入り過ぎると初めて教えて貰った時の俺の様に腕から血が出るから気を付けた方が良い。特に魔力の多いカルミナは特に。
「大丈夫だ、カルミナ…落ち着いて。今日の内に出来なくても次に繋がる様な練習をしないとダメだぞ。出来ないのが悔しいのなら尚更…な」
「分かったわ…。そうね、1日2日くらい遅れてもまだ取り返せるわよね…よし!もう大丈夫よ!タロウも自分の練習に戻って」
「おう」
結局、身体強化の練習時間の内にカルミナは魔力を循環させる事が出来なかったけど、本人の表情は思ったほど暗くは無くてちゃんと次を見据えているみたいだった。
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