第100話 タロウ、謎を解く
100話だぁぁぁぁ!わーーー!!
…ふぅ。よろしくお願いします!
(´ω`)
「きゃあ!あー!わっ!きゃあーー!」
「静かにしろ麻津里!」
「ですが、双葉先生…きゃあ!」
「お前が戦ってる訳じゃないのになんで1番騒いでるんだ!?」
「タロウさんが、タロウさんが…」
「麻津里様、大丈夫でして~。タロウさんもカルミナさんもお強いのでして~」
「後ろでマツリ様が騒いでいまいち集中できないんだ…が!!」
「気を抜くと怪我するわ…よ!意外と強いわねここに居る魔物は」
「ここらには強い魔物の居る島が結構あるでござるよ!だから、他国からも修行に訪れる人が少なからず居るでござる」
魔物の質がルールト周辺の敵より1つ2つは違う。ゴブリンでさえも…弱いが、他の場所にいるゴブリンよりは少し強い。
「ベリー先生も島には来たことあるんですか?」
「この島ではござらぬが、あるでござるよ。今度連れていくでござる!ここより更に強い魔物がうろうろしてるでござるよー」
それは、修行になりそうだな…。とりあえず早く片付けないと、マツリ様の喉が枯れてしまいそうだ…。
それから何とか近寄って来た敵を蹴散らして戻るとやはり、俺達よりもマツリ様の方が息切れしていた…。
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ。大丈夫でございますよ…。タロウさんの方もご無事な様ですね」
この島に入ってから感覚で3時間ほど、敵には会うがまだ上位精霊の姿は見えない。シェリーフ達の気配に気付いてこっちに来てくれても良いものだが…昨日聞いていた通りちゃんとした子なんだろうな。
こちらが会いに行かないと会わないつもりなのだろう。シェリーフは真面目だが融通が利くし、お姉さんタイプだが、今から会う精霊はちゃんとした委員長みたいなタイプなのかもしれない…勝手なイメージだけど。
「よし、交代だ。次は私と晴海が前に出る」
「お願いしますね、双葉さん、晴海さん」
「任せるのでして~。と、行っても戦うのは翡翠なのでして~」
いつの間にか現れていた翡翠もやる気は十分みたいで双葉さんと共に前へ出て行った。
双葉さんは二振りの短めの刀、翡翠は一応剣を持っているみたいだが、双葉さんを援護するみたいに魔法を使っていた。双葉さんの攻撃は片方の刀で急所を狙い、もう片方は防御がメインでたまに攻撃も担当していた。
「速いな…間合いを詰められたら勝ち目無さそうだ」
「そうね。私は特に…長物を使ってるから詰められるだけならまだしも、あの速さも加わると厳しいわね」
「お二人は分析されているだけなのですよね?戦うわけでは無いのですよね?」
「まぁ、ほら、分かりませんが…模擬戦何かもするかも知れませんし… 」
「他の人の戦い方も勉強になったりするのですよ?」
「なるほど…なら、私も頑張って観察します!」
「マツリ様は双葉さんに教えて貰いますからね、双葉さんの動きは覚えておいて損はないと思いますよ!」
「ウラァァァァ!死ネェェェェェェ!」
「「……」」
「う、うらあ…し、し…死んでくださいませ…」
いいんですよ。人には得意不得意あるんですから…。そこまで恥ずかしそうに、申し訳なさそうに言うのならばいっその事言わない方がいいのです。…頑張ってください。
魔物を倒しながら、とりあえず島の中央へ向けて進んでいた。途中、果物が実っている木や調合に使えそうな不思議な形の葉っぱを見つけて採集したりもしていた。もちろん鑑定済みである。
「晴海、あれを…」
「あれは…穴でして~?」
「どうかしました?」
「タロウさん、地面にぽっかり穴が開いているのでして~」
この島はそこまで大きくは無い。そろそろ中心部に入るかなと思っていた時に、急にぽっかりと地面に開いてある穴。怪しすぎる…。
「タロウ、見える?」
「どれどれ…。あー、ギリギリ地面が見えるな…そこまでは深くないみたいだ。でも、飛び降りたら足をやっちゃいそう…」
「行くでござるか?」
「えぇ、流石に怪しいというか…せっかくの手掛かりですしね。俺とカルミナで降りてみますよ」
「何か方法があるでござるか?」
「それは大丈夫です。何種類か考えはあるので…今回は普通にロープを木に巻き付けて降りようと思います」
「風魔法でクッションを作れば飛び降りれるわよ?」
「シェリーフ達が言ってただろ?ここにいる精霊、"光を司る"上位精霊はちゃんとした事を好むって。本人がちゃんとしているみたいだし、ここはちゃんとしていこう」
「ちゃんとの定義が分からなくなるわ…。でも…たしかに、地面にある穴に入る時にロープを使うのはちゃんとしてるわね」
「そういう事。とりあえず俺が先に降りて、下まで行ったら呼び掛けるな」
「ちゃんとしてるわね…」
念には念を入れておかないとな。ちゃんとしなかった結果、精霊に嫌われるのはごめんだしな。
俺はロープを使い、少しずつ降りていく。特に問題もなく降りれた為、カルミナも呼んで二人で穴の底に並び立った。
「タロウ君、カルミナさん、どうでござるか~」
「なんか、道が続いているみたいです!行ってきますね!」
「分かったでござる!拙者達はここで来る敵を倒したりしているでござるよ~」
「タロウさん、カルミナさん、気を付けてくださいましね~」
「帰りをお待ちしているのでして~」
「帰ってくるのは1人で十分だぞ…」
温かく?見送られ俺とカルミナは一本道を進み始めた。何故か進めば進む程に地下空間は明るく道幅は広くなって行く。長い…長い道を小走りで進むと通路は終わり10メートル規模の空間へとたどり着いた。
「扉があるな」
「扉が…あるわね」
「3つあるな」
「3つ…あるわね」
左、真っ直ぐ、右の壁にそれぞれ1つずつ扉が取り付けられていた。そして、部屋の中央には立て札がありこう書かれていた。
『正しき答えを導く者を私の元へ導きましょう。
第1問
1+1=?
3なら左へ
2なら真っ直ぐ
1なら右へ
最奥の部屋でお待ちしております』
「これは、光の精霊が作ったのか?奥に居るならいいんだけど…。手が込んでるというかなんというか…」
「それに、第1問と言う事ではこの先も続くかもしれないわね」
「だな、でも進むしか無さそうだな」
「そうね、まずは真っ直ぐ…よね?」
「不安にならなくても大丈夫だ。行こう…っと、その前にハズレを引いたらどうなるか試そう」
「どうやって?」
「とりあえず答えの扉に体を入れておいて土魔法で作った人形にでも開けさせようか。何が起こるか分からないのからな」
「たしかに、ん?タロウ、これ!」
カルミナが指差したのは立て札の問題が書かれてある表側ではなくその裏側だった。
「何か書いてあるのか?……ドアの中へ入ると扉は自動的に閉まり開きません、間違えば外へと続く出口となりますので失敗はなさいませんよう…に?」
「失敗したら外に続くだけみたいよ?」
「うーん…外ってどこだ?島の外か?…なんか怖いな、とりあえず試す事は出来ないみたいだな」
「そうね。正解を選び続けないといけないみたいね…。行きましょうか」
「だな」
俺達は正解の扉、真っ直ぐ正面の扉を開いて中に入る。扉は勢いよく閉まり、こちら側にはドアノブもなく押してもビクともしなかった。進むしか無いみたいだな。
またしばらく進むと先程と同じ様な部屋、同じ様な扉に立て札。つまり、何問あるかは分からないが解いて行くしかないみたいだな。
『第2問
この中で違うタイプものはどれでしょう?
リンゴなら左へ
イチゴなら真っ直ぐへ
メロンなら右へ 』
「タロウ、どういう事?違うタイプって何かしら?」
「うん…仲間外れがあるって事じゃないか?決定的に共通して ない点がある…とか」
「どれも…美味しいわよね?丸さかしら?どれも美味しい"果物"よね?」
「あ!それだ!それ、それ!」
「な、なに?それってどれよ!?」
「果物!いや、正確に言うと野菜寄りの果物なんだよ!」
「え、え?野菜寄りの果物?」
「そう。果物って収穫する時ってどんなイメージがある?」
「それは…こう…木になってるのをもぎ取って、タロウもここに来る途中で取ってたじゃない?」
「そういう事だ。リンゴは木に実るけど、イチゴとメロンは違うんだ。どちらかと言うと野菜みたいな採取の仕方をする。つまり、この3つの中で仲間外れなのはちゃんと果実のリンゴだ!」
「左へ…行きましょう。私じゃ解けなかった問題ね、ありがとうタロウ」
「ちょっと待って、なんか不安になってきた…もう1回考え直していい?」
「どうなってもいいから、行くわよ!もう考えても答えは変わらないわ!」
左の扉を開いてしまい、通ざるを得なくなってしまった。多分あってる…大丈夫、大丈夫…。
しばらく通路を進むとまた、部屋へと辿り着いた。良かった…考えが間違ってないようで…。
「また、立て札があるわね…いったいいくつあるのかしら?」
「そうだな…ん?ふっ、どうやらここが最後だと思うぞ?」
「なんで…分かったの?」
「問題だよ、問題。読んでみなって」
「えっと…第3問。私の気持ちはごちゃ混ぜなのよ。いまってなんもんめかな!……え!?」
「な?」
「ちょっと!これは流石に馬鹿にし過ぎなんじゃないかしら!?答えが問題の前に出てるわよ!?」
「多分、面倒になったんだろうな…。えっと、答えの扉…扉…」
「タロウ、答えがおかしいわ!左がメガネ、真っ直ぐがマガタマ、左がガラス…意味がわからないのだけど!?」
あ、あれ?これは面倒臭くなって作ったサービス問題じゃないのか?眼鏡?勾玉?硝子?何問目か答えるんじゃないのか?
「油断させられただけだったみたいだな。ちょっと落ち着いて考えよう…悪いけどカルミナ、問題文を繰り返し読んでくれないか?すぐ考える」
「わ、分かったわ。私には解けそうに無いもの…。任せるわよ!えっと…私の気持ちはごちゃ混ぜなのよ。いまってなんもんめかな!」
くっそ~、文字が解らないとかなら鑑定で何とでもなるが…落ち着いて考えろ。カルミナの声に耳を傾けるんだ…。そう、問題は私の気持ちはから始まっている。考えろ…考えろ…
カルミナの口調も強くなったり弱くなったりまちまちでたまに噛んで文字の順序が変わったり…それこそごちゃ混ぜ…の…よう…に?
「あ!あ…あっ!!」
「ど、どうしたの?わかったの?」
「あぁ!多分!こっちだ!」
俺とカルミナは扉を開き走り出した。
◇◇◇
「よく、辿り着けました。精霊が見えていない者ならば光の玉で話しかけますがその必要も無さそうですね」
「初めまして。あなたが光の上位精霊サンライカですね」
「私はカルミナ、こっちがタロウよ!」
「えぇ、それで間違いありません。では早速ですが…偶々ここまで辿り着く者も居まして、その者には何も与えずに帰って頂いて貰っています。あなた方も例外ではありません。…問いの答えを」
「タロウ…」
「ん、んん!答えは…『まってなんかないもんね!』…ツンデレなんですか?」
「いえ、これは昔に私が契約した1人の人間がよく言っていた言葉遣いを真似したに過ぎませんよ。ですが、正解です。さて、何用で来たかを伺いましょう」
『サンライカ』
「!!…神ハルミナ様」
『この姿の時はルミナスと呼びなさい』
「かしこましました、ルミナス様がこの地に居られる理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
『かくかくしかじか…つまり、タロウと居たいのです』
「なるほど、海より深い理由ですね。流石はルミナス様、ちゃんとしておられます」
いや、全然ちゃんとはしてない理由だと思いますよ?え?そんなユルいちゃんとでいいんですか?
「それで、ここに来た理由は私との契約ですね?」
「そうよ!サンライカ、私と契約して欲しい」
「構いません。2人はここまで辿り着きました。ちゃんと褒美は与えないといけませんし、カルミナ…あなたに力を貸すのはちゃんとした行いとなり得ます。では、契約を」
サンライカがカルミナのおでこにキスをして、カルミナの手には光の波模様が浮かび上がった。無事に契約は完了したらしい。
「よろしく頼むわねサンライカ!」
『えぇ、ちゃんとした理由があるならば私はちゃんと力を貸しましょう。光の力は支配の力です。使い方を間違えぬ様に』
「えぇ、心に留めておくわ!」
「じゃあ…そろそろ戻ろうか。サンライカ、入り口に戻りたいんだけど…どこから帰ればいいんだ?」
『奥の扉から帰れますよ。ついてきてください。…後で他の精霊達にも会わせてくださいね。情報の照らし合わせをしたいので』
「分かったわ!じゃ、案内頼むわね」
サンライカの案内でここに降り立った穴の下まで戻ってこれた。ここから見上げると穴の範囲だが、空は暗く星が綺麗に見えた。俺とカルミナはロープで上まで登り、皆の所まで帰って来た。
「お、お帰りでござるよ!タロウ君」
「ただいまです、ベリー先生。夜の番ですか?」
「そうでござるよ、マツリ様が真っ先に寝たでござる。晴海さんも寝たでござるが…」
「男、そこからこちらへは近づくなよ…ぶった斬るぞ…」
「と、双葉殿がついてるでござる。…それで、上手く行ったでござるか?」
「大丈夫よ!ちゃんと契約も出来たわ。」
「見えない私達に取っては不思議な現象でござるが…精霊の魔法は強い力でござるからな~」
「もう、僕も勝てないかもしれないんですよ…」
「頼りがいがあって良いではないでござるか!…2人も少し眠るでござるよ。私と双葉殿で見張りはしておくでござるから」
「では、お言葉に甘えますね」
「よろしくお願いします」
「おい、カルミナ、何故その男の隣で横になってる!」
「え、え?普通ですけど?」
「ダ、ダメだ!こっちで眠れ!危険だ!」
「そ、そう言われましても…」
「カ、カルミナ…行くんだ、俺が死ぬ」
「わ、分かったわよ…じゃあ、おやすみタロウ」
「おやすみカルミナ」
双葉さんにめちゃくちゃ睨まれ、怯えながらも何とか眠りにつけた。
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