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続編 -にぃたん・3-

――年が明けた最初の選択授業。




去年の12月の初めに陶芸をやった時に作った作品が手元に届いた。


あたしは宗に、宗はあたしに……それぞれ色違いのマグカップを作った。






そして部活が終わった後、“二人だけの交換会”。




「“せーの”で一緒に開けよう」


箱に入ったマグカップをお互い交換すると、


宗がわくわくした様子で言った。




「うん」


マグカップは作る前に色と形だけは決めていた。


しかし、出来上がった物を見るのは楽しみが減っちゃうから、


この瞬間までやめておこうと話していた。


だから、あたしも宗もお互いが作ったマグカップを


見るのはこの瞬間が初めてだった。




「「せーのっ」」


宗と顔を見合わせて、一緒に箱を開けると、


宗があたしに作ってくれたマグカップは


とても綺麗なクリーム色だった。




「うわぁ、きれいっ」


「おぉっ、すげぇーっ!」




(宗、喜んでくれたかな?)




「琴美、ありがと♪」


宗はあたしが作った碧いマグカップを


箱から出して手に取ると嬉しそうに言った。




「宗、ありがとう」


あたしもそう言うと、宗はニッと笑った。






そして、正門を出ていつもの様に駅に向かって歩いていると


目の前をメグちゃんと西山くんのカップルが歩いていた。




「メグちゃんと西山くんだ」


「なんか……デカいカップルだな」


「二人ともバレー部だからねー」


「てか、藤村さんまた背伸びてない?」


「あ、わかった?」


「うん、なんとなく微妙にスカートの丈が短くなってるから」


「宗……どこ見てんの……?」




(まったく……)




「あ……いや、たまたまだって、


 たまたま気がついたと言うかー……」




「やらしー」




「ホント、たまたまなの」




「……」


あたしが無言で歩くスピードを速くすると


宗は焦った様子で


「てか、琴美も背伸びたよね?」


と、言った。




「全然、1mmも伸びてませんけど?」


「あ、あれぇ〜?」


「……」


「琴美〜っ」


「……」


「琴美ちゃ〜ん?」


「……」




(宗のバカッ)




「ホントにたまたまなんだってばぁ〜っ」




「……ホント?」




「ホント」




「じゃあ、許す」




「よかったー、琴美がこのまま許してくれなかったら


 俺、死ぬトコだったよ」




「それはウソだって」


あたしは宗があまりにも大袈裟な事を言ったから


思わず吹き出した。




「マジで。だって許して貰えなかったら


 話す事もできないし、一緒にも学校行けないし、


 帰ってくれないし、それになにより……」




「?」




(なにより?)




「キスができないっ」




(え、それ?)




「て、事で“仲直りのチュー”♪」


「ちょ……っ、前にメグちゃん達いるし」


「えー、イギリスじゃキスなんてその辺でやってるよ?」


「ここは日本だし」


「むー、イギリスなんて挨拶なのにー」




だから……




ここは日本だってばーっ!




宗はお父さんが日本人で、お母さんがイギリス人のハーフだ。


それに小学校にあがるまでイギリスで暮らしていた所為か、


キスの感覚が“外人”なのだ。




……ちょっと……困っていたりする。

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