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続編 -高杉問題・5-

―――翌日。


安藤さんも高杉も至って普通の様子だった。


ただ、高杉はある人物の行動をじっと見ていた。




視線の先には・・・




榎本さん。




高杉は昨日の一件が榎本さんの仕業だと思っているらしい。




確かに榎本さんには動機がある。




でも、証拠は何もない。






榎本さんは高杉と安藤さんが付き合っていると発覚した日から


前みたいに高杉にべったりくっつく事はしなくなった。


というか、それは高杉自身がそうさせているかのように


高杉派の女子全員がそうだった。




今まではこんな事、なかったのに。




高杉のヤツ、安藤さんの事本気なんだろうか?




安藤さんは利き手が右だから指を三本も怪我をしている所為で


ノートを取る時やお弁当を食べる時も不自由そうだった。


琴美も安藤さんと榎本さんの様子が気になるのか、


ちらちらと二人に視線を向けていた。






―――二週間後。




あれから、安藤さんへの嫌がらせはなくなったのか、


高杉も榎本さんの行動に目を光らせる事はなくなった。


ただ、相変わらず帰りは昇降口で安藤さんを待っているようだ。






その日の放課後―――、


「なぁ・・・二ノ宮、ちょっと聞きたい事が


 あるんだけどさー・・・」


部室で一緒に着替えていた3年生の先輩が


少し遠慮がちに口を開いた。




「はい、なんすか?」




「あのさ・・・ひょっとしてー・・・


 おまえと琴美ちゃん付き合ってんの?」




う・・・ついに聞かれてしまった・・・。




「あ、それ、実は俺も気になってたんだよなー。


 ここ最近ずっとおまえと琴美ちゃん、


 一緒に登校してきてるみたいだし。」


すると、武田も俺に視線を向けた。




バレてたか。




「はい、付き合ってますよ。」


別に隠す必要もないし、俺は素直に認めた。




「ええぇぇぇーっ!?」


部室にいた部員全員が一斉に俺に視線を移した。




「マジでーっ?」


「マジっす。」


「いつからだよ?」


「学園祭の時からです。」


「おまえから告ったのか?」


「・・・え、まぁ・・・」




てか、その後琴美からも“好き”って言ってくれたけど♪




「・・・あぁ、俺等のアイドルが・・・。」


俺と先輩が話していると武田が肩を落として項垂れた。




「・・・。」




そんな事言われてもなぁ・・・。




すると、先輩は何かを思いついたように


“悪い顔”で俺にジリジリと近づいてきた。


「二ノ宮・・・。」




嫌な予感・・・




「お仕置きだぁーっ!」


先輩のその言葉と同時に部員のみんなが、


まだ着替えている途中の上半身裸の俺に襲い掛かってきた。




「うわあぁぁぁぁぁっっ!!」




「俺達の琴美ちゃんを独り占めしてる罰だ。」


数人で俺の体を押さえつけ、そして残った奴らが


一斉に擽り始めた。




言い掛かりもいいトコだーっ。




「うひっ!や、やめ・・・っ!あはははははははっ!」


ゲラゲラと笑い続けている俺は、


誰がどこをどう擽っているかさえもわからない。




「あはっ、あはっ・・・あはははははははっ!!


 マ、マジ・・・もう・・・やめ・・・あーはははは!」


息も絶え絶えに笑いながら言ってみるけれど


一向に止める様子がない。




なんなんだよーっ!?




もう笑いすぎて頭がおかしくなりそうだ。




・・・と言うより死にそうだ。




あぁ・・・そうだ・・・“笑い死に”っていうのは


きっとこんなコトなのかもしれない。




ふと、そんな事を思った。






そして、数分後―――、


ようやく、俺はみんなの“魔の手”から解放された。




死ぬかと思った・・・いや、本当に・・・




だって・・・




三途の川が見えかけたし。

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