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続編 -高杉問題・4-

「・・・え。」




「まみのあの怪我・・・絶対、転んだだけじゃないだろ?


 だいたい転んだんなら膝も擦りむいてるはずだし。


 ・・・で?ホントはなんであんなに絆創膏貼りまくってんの?」


高杉くんは探偵のごとく、鋭い所をついた。




う・・・。




気付いてたんだ・・・。




けど・・・ここは女同士の約束。


破るわけにはいかないもんっ。




「ホントに転んだのっ。」


「・・・。」


「あたしの目の前でっ。」


「・・・。」


「すってんころりんとっ。」


「・・・。」


高杉くんは頑なに本当の理由を言おうとしないあたしを見て、


ハァーっと大きな溜め息をついた。




「まみが俺に言うなって言った?」




「・・・。」




ハイ、その通り。




「・・・。」


宗はあたしと高杉くんのやりとりをただ黙って見ていた。






「あのさ・・・こーゆーのは初めてじゃないし。


 別に今さら驚かないよ。」


しばらくの沈黙の後、高杉くんはなんでもないような口調で言った。




「俺と付き合ってる子が変な嫌がらせされたり、


 知らないところでイジメられてたり。


 今までだって、そんな事はよくあったんだ。」




「そ、そうなんだ・・・?」




知らなかった・・・。




でも、考えてみればそんな事があるのも不思議じゃない。




「その度に彼女の愚痴を聞いて・・・まぁ、


 俺は面倒くさいから関わらないでいたけど。」




「それで別れたりとか?」




「うん。」


あたしの問いに高杉くんは即答した。




高杉くんて・・・そーゆートコあるんだ?




「安藤さんも同じ?」




「まみが嫌がらせに遭ってたらって事?」




「・・・うん。」




「そしたら・・・」




安藤さんもそんな目に遭っていると知ったら


高杉くんはどうするんだろうか?




やっぱり、面倒臭いから別れちゃう・・・?




「俺が護る。」


高杉くんはキッパリと言った。




その答えはあたしからしてみれば意外な答えだった。




宗も少し驚いた顔をしているという事は


あたしと同じように思ってたのかもしれない。




高杉くん・・・本気なのかな?




それでも、あたしは安藤さんとの約束があるから黙っていた。


高杉くんもそれ以上、何も聞いてこない。






電車が次の駅に到着してあたしと宗、高杉くんは一緒に降りた。


そして高杉くんは改札を出て別れる時、


「明日から、昇降口で待つ事にする。」


と、言った。




「まみが転ばないように、俺が傍にいて護る。」


高杉くんはさらに真顔で言うと、ニッと笑った。




「うん・・・。」


あたしが返事をすると、高杉くんは「じゃ、また明日。」と


いつもの爽やかな笑みを浮かべてあたしと宗に背を向けた。






「琴美は平気?」


高杉くんの後姿を見送りながら宗が口を開いた。




「うん?」




「いや・・・琴美も誰かに嫌がらせとかされてないかなーって。」


宗は心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。




「あたしは大丈夫だよ。」




今のところ、あたしは特に嫌がらせを受けてはいない。


毎朝、女子の視線が気になるくらいで・・・。




「ホントに?なんかあったら、すぐに言えよ?」




「うん。」




あたしはとりあえず、そう答えたものの、


もし、安藤さんのように嫌がらせを受けたとしたら


やっぱり、宗には言えないだろうな・・・と、思った。

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