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続編 -高杉問題・2-

―――夜、8時過ぎ。




晩ご飯を食べた後、部屋に戻ると携帯にメールが来ていた。




−−−−−


学園祭、お疲れ様。


二ノ宮くんが琴美の事ずっと


捜してたみたいだけど会えた?


−−−−−




メグちゃんからだ。




あたしは、すぐにメールを返した。




−−−−−


メグちゃんもお疲れ様。


宗には会えたよ。


それでね、宗と付き合う事になったよ。


詳しくは明日、学校で話すね。


−−−−−




・・・RR、RR、RR、RR、RR、RR・・・




メールを返した後、すぐに携帯に着信があった。


「もしもし?」




『もしもし、琴美?これってホント?』


メグちゃんだ。




『二ノ宮くんと付き合うって・・・』




「あ、うん。」




『きゃあぁっ、やったじゃないっ!』


あたしが宗の事が好きなのを知っていたメグちゃんは


電話の向こうで興奮していた。




『まぁ、あたしは二ノ宮くんも琴美が好きなのわかってたから


 傍で見てて、すっごくじれったかったけど。』




「え・・・ウソッ!?」




『だって、あれだけ琴美に“好きです光線”送ってればわかるしー。』




メグちゃんは気付いてたの・・・?


あたしは全然気がつかなかったけど?




もしかして・・・あたしって、そんなに鈍かったのー?




『よかったね、琴美。』




「うん。」




『明日、また詳しく聞かせてね。』




「うん。」




『じゃ、おやすみ。』




「おやすみ。」


他の誰かに祝福されるよりもメグちゃんに


そう言って貰える事がすごく嬉しかった。




高杉くんの事が3年間ずっと好きで結局フラれた事。


フラれた後に高校もクラスも一緒になって


すごーく気まずかった事。


“翡翠の人”の事が気になっていて


でも、顔も何もわからなくてモヤモヤしてた事。


そして、段々宗に惹かれて行った事。


“翡翠の人”が宗だとわかってその直後に


失恋したと思い込んでしまった事。


そんなのも全部・・・全部、メグちゃんは知っている。




てか、そういえばメグちゃん・・・


あたしが失恋したって思い込んでた時に


“ちゃんと告ってみたの?”とか言ってたなー。






―――翌朝。


いつものように駅の自転車置き場に自転車を停めて、


改札へ行くと宗がにこにこしながら手を振っていた。




あれ?




「おはようっ!」


宗は朝からやけにご機嫌だ。




「お、おはよ。」


そういえば昨日、ここで別れる時に


いつも朝は何時の電車に乗ってるか聞かれたなぁ。


あれは待ち伏せする為だったのか・・・。




待ち伏せ場所が正門から改札に変わったというオチ?






宗と一緒に電車に乗り、登校していると


段々と生徒も増えてきて、女子の視線も気になり始めた。




だって、相手は『校内コンテスト』第一位のイケメンですよっ。




一緒にいて目立たないワケがない。


しかも、宗はそんな女子生徒達の視線にもお構いなしで


しっかりと手だって繋いでるし。






そして―――、




教室に入るとなにやら不穏な空気が漂っていた。




な、なんか・・・嫌な予感・・・。




「お、おはよう・・・なんかあったの?」


席に座ってメグちゃんと武田くんに聞くと


「おはよう、ちょっと琴美、大変よ!」と


メグちゃんが少し慌てた様子で言った。




ま、まさか・・・


もうあたしと宗の事がバレたのかな?




「なんか、高杉と安藤さんが一緒に登校してきたのを


 榎本さんが目撃してさ、それで安藤さんに突っかかってんだ。」


武田くんはそう言うと、なんだかよくわからないと言った顔をした。




むむっ?


あたしの“女神”がピンチ?




あたしはしばらく高杉くんと榎本さんのやり取りを遠巻きに見ていた。


安藤さんは高杉くんの後ろで泣きそうな顔になっている。




「高杉くんと付き合う事になったって、ホントなのっ?」


榎本さんは今までにない程の剣幕で安藤さんに食って掛かっていた。


すると高杉くんが「本当だよ。」としれっとした顔で言った。




「なんで?高杉くん、8組の佐野さんと付き合ってたんじゃないの?」


榎本さんの言うとおり、高杉くんは一昨日まで8組の佐野さんと


付き合っていた。




「一昨日まではね。」




「別れたって事?」




「うん、それで今はまみと付き合ってる。」




「・・・。」


榎本さんはムッとした表情で黙り、安藤さんを一瞥した後、自分の席へと戻った。


“高杉派”の女子は“新恋人”が安藤さんだと知り、


驚いた様子だった。




そして、例のごとく高杉くんの“彼女情報”はその日のうちに更新された。

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