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・・・あれ?




宗はあたしに気が付かなかったみたいでそのまま昇降口を出て、


正門に向かって歩き始めた。




宗、昇降口で何してたのかな?




・・・あ、わかった。


彼女の下駄箱に今日の授業で作ったモノ置いて行ったな。




ぷぷぷっ。




なんか宗の秘密を知ってしまった気分。


全然たいした事でもないけど。






だけど、靴を履き替えて正門まで来たところで


また宗に出くわした。




あれれ?




彼女にプレゼントを置いてもう帰ったのかと思っていたあたしは


ちょっとびっくりした。




「あ、きたきた。」


宗はあたしに気がつくとにやりとした。




へ?




誰が来たの?




周りをキョロキョロ。




でも、やっぱりあたししかいない・・・よね?




「毎回同じコトするんだな?」


宗はクスッと笑うと


「琴美を待ってたんだよ。」


と言った。




ええぇぇぇっ!?




「あ、あたし・・・?」


「うん。」




なんか約束・・・してたっけ?




「遅いから今日はもう帰ったのかと思ってたけど、


 さっき下駄箱見に行ったらまだ靴があったから。」




え・・・じゃ、さっき昇降口にいたのって・・・。




あ、いやいや・・・プレゼント置いてついでに見ただけかも。




「琴美にこれ渡そうと思って。」


宗はあたしの目の前にラッピングされた何かを出した。




「?」




なんだろう・・・?




あたしは不思議に思いながら目の前に差し出されたモノを受け取った。




「開けてみてもいい?」


「うん。」




何かな?何かな?




あたしはラッピングを丁寧にはがし、


中から出てきたモノに驚いた。




・・・これは・・・。




ハートをモチーフにしたペンダントトップだった。


片方だけ中抜きになっていて、そこにチェーンを通す感じ。


中抜きになっていないもう片方には四葉が刻まれていた。




すごい・・・。




「今日の授業で作ったヤツ。」


そう言って宗はニカッと笑った。




「え・・・っ!?」




「琴美にプレゼントしようと思って。」




うそぉ・・・?


彼女にあげたんじゃなかったの・・・?




「な、なんで・・・?」


「体育祭の時、強引に二人三脚指名したから。」


「そ、それでなの・・・?」


「うん、それにこれからもずっと指名するから。」




え・・・。




あたしはぽかんと口を開けたまま絶句した。




これからもずっと・・・って・・・。




つまり・・・




多少強引に指名しても断るなよってコト?




・・・あ、でも・・・




「・・・てか、コレあたしがもらってもいいの?」




こんなに綺麗に出来てるんだし彼女にあげたほうが良くない?




「琴美の為に作ったんだし。」


「えっ!?うそっ!?」


「ホント。」


宗はにんまりと笑った。




う・・・




そんなコト言われたら受け取るしかないじゃない・・・。




なんかまたハメられてる気がするなー。




「それずっとつけててね。」




え・・・ずっと・・・て。




まぁ・・・いいけど・・・。




「早く言ってくれればあたしも宗の為に何か作ったのに。」


「ホント?」


「うん、そしたらあんなメタルスライムじゃなくて


 もっと別のものプレゼント出来たんだけどな。」


「でも、あのスライムすっげぇカワイイし、気に入ってるけど?」


「そぉ?」


「うん。」


宗は嬉しそうに笑っている。




「そういえば、今日の部活何してたの?」


「んとね、長谷川先生が余ったシルバークレイくれたから


 それでまたアクセ作ってたの。」


「へぇー。」


「メタルスライム量産しようと思ったけど、さすがにそれはやめた。」


「あはは、・・・で?結局、何作ったの?」




「コレ。」


あたしはカバンの中から翼のペンダントトップを出した。




「・・・すげぇー。」


「宗が作ってくれたのよりは簡単だよ?」


「でも、いいじゃん。コレ、かっこいい。」




お。




男の子の目から見て“カッコイイ”って言葉が出るのは結構嬉しいな。




あ・・・そうだ。




「宗、お礼にコレあげる。」


「えっ!?マジ!?」


「マジ。」


あたしはにっこりと微笑んでみせた。




「やったーっ!!」


宗は嬉しそうに言うと「ありがと、琴美。」とあたしに笑みを向けた。




ふふふ・・・。




受け取ったな。




コレで強引に指名されても多少は逃げ道が出来た。

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