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こちら地獄の一丁目。(罪肉罰食 シリアルキラーコーンシリアル)

 「おはよう、葉山正平」

 ? 僕は殺されたはず。酒井竜馬という狂人によって。

 「うん、死んだよ。だから俺の前に居る」

 言葉を出してないのに、なぜ思っていることが? 当て推量か?

 「いや、俺、エンマだから。はい、じゃあ裁くよ、嘘吐くと地獄行きだよ」

 疑っても無駄か。わかりました。

 「まず悪かどうかを見極めるぞ。子供は好きか?」

 大好きです! (作者注・連続女子児童誘拐殺人犯)

 「魂からそう思ってるな。なら次、恋人を愛し、愛されたか?」

 はい! (作者注・サイコ野郎)

 「これも本心か。次、人を憎み、傷付けたことはあるか?」

 ありません! (作者注・愛してるから殴る系サイコ野郎)

 「ん、分かった。お前に地獄行きはないわ。良かったな。地獄に落ちてたら餓鬼どもの遊び相手だ。」

 安堵した私はエンマが目で示した餓鬼へ視線を送り、固まった。

 「え、なんだ、あのお兄ちゃん、来ないんだ。残念だね、ガッキー、カッコいいって云ってたのに」

 「べ、別に、私はあんなの好みなんかじゃないわよ!」

 え、餓鬼って云うかガキ、というかジャリ様! 赤いセーターじゃないけど返り血で赤いちゃんちゃんこ着てるし! ツンデレだし、ツンデレだし!

 「て、テンション高いな、どうした?」

 エンマさん! 地獄行きならあの子たちと一緒だった!?

 「ああ、しかもあんな小娘どもの×××を(ピー)させられ、そうでないときはお前の急所という急所に△▼△▼いて、そのまま他の餓鬼が(ルパッダサーッ、ワオ!)だ。地獄は恐ろしいだろ、っておい、鼻血出すほど怖がるな、逝かないってお前は」

 「え、エンマ様、(ルパッダサーッ、ワオ!)ってなんですか?」

 「ん、ああ、現代現世での(タラバでございま~す)のことだ」

 「え、やだ、私、そんな言葉を、そんな、はしたない……」

 もっかい、もっかい云ってみたら?何事も勉強だよ?

 「な、何を、ですか?」

 (ルパッダサーッ、ワオ!)だよ、(ルパッダサーッ、ワオ!)。地獄ではなんて云うんだっけ? 僕、聞き逃しちゃった。

 「勉強熱心な死者だな、(タラバでご)」

 お前には聞いてないだろエンマァ! 殺すぞエンマァ!

 「え、いや、あれ、俺、エンマ……なんだけど」

 さあ、怖くない、頑張って。応援してる。云ってごらん?

 「や、やあ……(タラバでご)」

 「はい、久保田でございまーす」

 !? 久保田さん! どうしてここに!

 「いや、カギカッコ付けろ。心の声とか聴こえないから。アイムプロレスラー、ノットテレパシー」

 「それでは、すー、はー……!? 久保田さん! どうしてここに!」

 「いや、ジョギングしてたら迷ったから、とりあえず人の多い方来た」

 「そんな野球観戦のあとに迷う人みたいな理屈でこれんの!? ここ地獄の入り口だよ、あと俺エンマだよ!」

 「知らねぇよ、俺の道は俺が決める、メンマ」

 「カッコいいこと云ってるけど迷子だから!ママチャリで日本一周しようとするバカ作者と同じ発想だから! あと俺エンマだから!」

 「いや、サンマは良いわ、それより正平、竜馬に聞いたぜ? お前、ロリコンサイコ野郎なんだってな」

 「いや俺エンマ!」

 「……ロリコンではありません、ただランドセルが似合う子が好きなだけです」

 「それロリコンって云うんだペド野郎」

 「ロリコンでもペドでもありません! 愛に素直なだけです!」

 「いや、俺、えん」

 『うるせぇトンマ!』

 エンマはしっかりと僕たちに従って黙った。

 「っつーかよ! なんでお前、死んだなら俺に挨拶に来いよ! なんで成仏できてんだよ!」

 「知りませんよ! 自分がなんでここに居るかも知らないんですから! 久保田さんはどうしてここに!?」

 「トレーニング中だよ! ジョギング! 死んだらサンドバック打ちもできないし、困ってるんだよ! こんな風に擦り抜けて……」

 久保田さんはボン、と僕の肩に拳を当てた。痛い。

 「……あれ?」

 不思議そうに肘打ちを頬に叩き込む。痛い。

 「あー、そうか、俺も正平も幽霊だから触れるのか、納得した。サンドバックゲッツ」

 「ちょ、待っ、がっ!」

 「いやいやいや。大事なことだって。俺、竜馬に負けただろ? だから勝てるところ欲しくてさ。どうよ? 俺のと竜馬の、どっちが効く?」

 何を云ってるんだ、こいつは何を云ってるんだ!?

 「オラオラオラオラオラオラオラァッ」

 拳が早すぎて見えないどころか、殴られているのか、蹴られているのかすら分からない。

 「ドララァーッ! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!」

 久保田さんの背後になにか居るんじゃないか、そんな速度での連打だった。

 「バスタァー! ドライバー! スパァアアアアク!」

 キン肉の限界を試すような、プロレスラーらしい組技を次々と繰り出してくる。

 「鈎突き 肘打ち 両手突き 手刀 貫手 肘振り上げ 手刀 鉄槌 中段膝蹴り 背側蹴り上げ…」

 地獄のような、というか、煉獄地獄のような連撃だった。

 「トマホーク! ドリル! ミサイル!」

 もうどうやって肉体で打っているのか、というか、合体ロボットか何かじゃないのか。

 「ドアぁあああ! コプター! フウウウプ! タイムマシンッ!」

 それ、多分、もう、攻撃の技ですら、ない、けど、痛い……。

 その後、どれだけの技を出されたのかは分からないが、私の意識は遠退いて行った。

 次に目を覚ますと、生身でもないのに動かない身体、そして開かないまぶた。声だけが聞こえてきた。二種類の男の声。。

 久保田さんと覚えのない声。

 「先輩、久しぶりです! その節はどうも! 殺しちゃってごめんなさい! ムカついたんで!」

 「大久保久しぶりだなぁ! 俺も悪かったな! 酒井さんにお願いして殺してもらった! ムカついたから!」

 会話の内容から、久保田さんが中学の頃に殺したという人(霊)だろうと気付いた。

 「こいつ上げます。先輩用サンドバックで使ってください」

 身体が動かない。まずい、まずい、まずい。

 「……そういえば、先輩が俺たち後輩への対応がウゼェなー、って思ってたんですけど、大人になって考えたら、あれ、セクハラっすか?」

 「うん。セクハラ。俺ホモだから」

 !!!??? え、は!?

 「じゃ、ちょうど良いや。こいつ葉山正平、ロリコンの連続殺人鬼なんスけど、間違って天国来たんで、好きに使ってください」

 「なんか悪いなぁ、久保田、お前はどうすんの?」

 「俺はこのまま現世帰りますわ、やること有るんで」

 「おう、じゃ、またな」

 いやだ、いやだ、いやだ! 僕は地獄に行くんだ! 地獄でカワイイ餓鬼と遊ぶんだ!

 言葉にもならない絶叫、そして久保田さんの気配が遠ざかっていく。

 諦めるものか、諦めるものか、僕は、僕は、僕は……。



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