69話 出立
やがて史と菖蒲の妖魔人化が終わり二人は実験室から出てきた
「実感が湧かないけどこれでいいんだよね。」
「問題ないようですね、力は慣れですから実感が無いのも仕方ないかもしれませんね。
私も昔は力の制御が出来ず、辺りに瘴気が常に満ちていましたし。」
そこに準備を済ませてきた大和が合流する
「成功したようだな、では行こうか。」
「メンバーは私、九頭竜様、御神楽様の三人です。」
「行く方法の手はずは整っている。
今回は地下車両で近くまで行ってから富士の樹海を抜けていく。」
そこで陰がしかしと口を挟む
「今では樹海は魔の森でしょう、入ったら出て来れない迷いの森、死者の怨霊が出るなど、沢山の噂が実現している事も考えられます。
私が居る限り怨霊の類は問題ありませんが、他の物は解りません。」
「場所は解るのか?」
「問題ありません、ルートは解りますし、あの怪談は出られないだけで入ることは出来ますからね。」
そこで大和は頷く
「帰りは任せろ、陽の資料に書いてあったのだが、龍脈の力で座標の接続を行う事で一度行ったことのある場所なら転移できるとのことだ。」
「兄様の資料の書いてあったのなら間違いはないでしょう、遥か昔からの記録をまとめたものですから。」
「私は何をしたら良いの?」
「アリスは薬師寺様と少女の治療を行ってください、ただ眼球の再生は兄様の帰還を待ってから行ってください。
神の知識を持つのですから恐らく治療できるでしょう。」
「それでは出立しようか。」
「行き先は富士山の風穴、そこの一つに龍脈の本流に行くための道があります。
そこからは常にその力が漏れているので、そこに群れから外れた妖怪たちが住み着いているうえに、その影響で地磁気も狂っています。
気を抜くと私達ですら大怪我しかねません。」
史は、はてなと首をかしげる
「あたしらって一応不死になったんだよね。」
「はい、完全に不老不死です、慣れれば外見の年齢を変化させることはできますが、実年齢以上には変化できません。
不死の方ですが、人間の手段によって死ぬことはありませんが、妖魔や神によっては傷つき、時には死にます。
尤も、人間の手段によっては死にませんが傷はつき、痛みも感じるので気を付けた方がいいです。
霊力や妖魔としての部分が死なないだけに普通なら即死の筈の痛みを再生するまで味わい続けるのですから、いっそ死んだ方がましなくらいの地獄ですよ。
それでは行きましょうか。」
不吉なことを経験のある陰はそう言って地下のホームへと歩きだした




