67話 帰還の後に
アリス達が本局へ戻ると大和が待っていた
「帰ったか、陽は間もなく戻るだろう。」
その瞬間、部屋の一角に闇が立ち込め、中から陽と少女が現れた
「兄様、その子は何者ですか?」
「囚われていたのを救出した。
治療が必要だが、神域にコトリバコが侵入したため時間がない、方法は教えるから菖蒲にメーディアの力を移植したら治療してくれ。」
そう言って幾つかの資料を大和に渡してから再び陽は話し出す
「まずは、現状確認をしようか、大和、現在の政府の動きを説明してくれ。」
「そうだな、奴らは国民から食料の徴収を始めたようだ。
動きはその位だな。」
「その中にも実力保有者が居るだろうから、保護を頼む、食料は宇迦之御魂に掛け合ってくれ、足りないようなら私の家の蔵にもそれなりに備蓄がある、二人では使い切れないだろうし陰に案内してもらって使ってくれ。」
「了解した、局員たちに伝達しておく。」
「それと大和、お前が使う力だが、お前にはカインの影響か、ほとんどの神や悪魔の力に対する適性が無いことが分かった。」
大和は頷く
「それは後で気づいていた、代替案はあるのか?」
「長い間九頭竜家が管理してきた物があるだろう。
神よりも純粋な概念体である力の奔流、『龍脈』が。」
その言葉に大和は酷く驚く
「それは国の神の力を安定させ、結界になっている、それを使ってしまっては、この国が危うい。」
それに陽は強く頷く
「確かにそうだろうな、だがその力の変わりはある、安部清明と話は済んでいる、そろそろ準備が終わるだろうから彼に聞いてくれ。」
そこで陰が口を挟む
「コトリバコに対する勝算はどの位ですか?」
「問題ないよ、既に対処はしている。
政府がしたように私も物語に干渉して対処法を作り出した。」
「そうか、物語が産み出したなら物語で対処することが出来るのか。」
「そうだね、エレボス、久しぶりだけど、残念ながら再会を喜ぶ時間はなさそうだ。
それでは失礼するよ。」
そういうと陽の姿は再び掻き消えた
「・・・で、貴女は兄様をどう思っているのですか?」
陰は少女に聞く
「尊敬していますし感謝しています。」
「恋愛対象としては?」
今度はアリスが直球に聞く
「わたしはあの方に達するほどの力はありませんし、それにわたしは穢れています、あの方を恋愛対象にする資格はありません。」
「そうですか。」
そうつぶやいた陰の顔を見たアリスは何故かその顔が僅かに悲しみが籠っていることにいることに気付いた。
それは勘違いと思ってしまう程に僅かなものだったけれど、アリスはその表情にそれを確かに見た。
その理由を彼女が知るのはしばらく後のことになる。




