63話 コトリバコ
「私達が東大寺に行くと何故貴方が?」
陰の問いにエレボスは薄い笑いを浮かべた
「僕はエレボス、暗闇だよ?
隠れるだけならニュクスより上手いさ。」
「つまり、今の今までずっと憑いて来てたのですね。」
「満面の笑顔が怖いよ。」
「要するにいつでも助けられたのにあの状況になるまで黙ってたんだよね。
っていうか助けるならさっさと来れば?」
「史さん、それは酷いんじゃ。
でもあたしだって地上でならあの程度倒せましたよ。」
皆に言われてエレボスは謝る
「ごめんなさい。」
「ところで兄様の今の状態について何か知りませんか?」
「ニュクスなら大丈夫だと思うよ。
でもなんでそんな事を?」
「あくまでも勘なのですが、兄様が何かの強い憎しみの様な物に襲われる様な気がして。」
それを聞いてエレボスは頷く
「兄妹の君が言うのなら可能性は高いだろう。
それに憎しみか、最近『コトリバコ』が作られたらしいからそれだろうね。」
「コトリバコですか?」
「知らないのも無理はないね、これは最近になってネットで怪談噺として語られた物が恐怖を吸収して生まれた怪異と呼ぶべき存在だよ。
説明するよ、コトリバコはまず両手に収まるくらいの木箱に雌の生物の心臓などを詰める。
次にその中に子供を殺してその生き血や心臓の一部を詰めるとコトリバコは完成する。
この時に生贄にする子供は一人から順に「イッポウ」「ニホウ」「サンポウ」「シホウ」「ゴホウ」「ロッポウ」「チッポウ」「ハッカイ」となり、それに従い危険になっていく。
中でもハッカイは非常に危険であり、二度と作ってはならないとされているとのことだよ。
そして今回作られた物は危険すぎるんだ、少し前に政府によってそれ以上のコトリバコが存在するのだと匿名で書かれたんだ。
それによって作られたのは「獄戒」、本来ありえないはずの百人の子供の命を捧げた文字通りの化け物だよ。」
「そんなもの兄様ですら勝てるかどうか・・・」
「そうだねあれは最早ニュクスと同等かそれ以上、怪異なんて生易しい物じゃない、あれは・・・崇り神だよ。」
それにしてもとアリスは首をかしげる
「なんでコトリバコなの?
小鳥箱なんてなんか可愛いというか・・」
「まだ気づかないのかい?
何人もの子供達の命を奪い、弱い者から無差別に殺していく。
だからこそその名前は『子獲り箱』なんだよ。」




