49話 陰の食事
陽、陰、菖蒲の3人は梟に乗って沖縄県に到着した
「兄様、お腹が空いたので食事をしても宜しいでしょうか?」
陰の言葉に首肯を返すと彼女はいつの間にか現れていた森に入っていく
そして大型の鹿を捕まえ神経に針を刺して意識を奪うと首の動脈を傷つけ、傷口に唇を付けて血を飲み始める
「何をしてるの?」
菖蒲の言葉に陽が彼女の代わりにこたえる
「これが彼女の“食事”だ、彼女は妖魔人の性質として生物の血を栄養にする事が出来る。
まあ、普通の食事でも栄養は取れるから偏食の内だな。」
説明する内に陰が食事を終える
陰が離れて口を拭いている間に陽は素早く鹿の体を解体していく。
そして火をおこして木の枝を切って串を幾つか作り、それに肉を刺して塩と胡椒を振りかけ焼いていく
「慣れてますね。」
「昔から陰が血を飲んだ生物の処理をしていたからな。
面倒な血抜きが不要なだけましだしな。」
話しながらも陽は近くにあった手頃な切り株に座って肉を焼いていく
肉が焼けて茶色くなると自生していた山椒を少しまぶして火から上げた
「出来たぞ、食べよう。」
それを3人は話しながら食べて行く
「でも何で何もなかった所に森が出来たのでしょうか?
兄様、何かわかりますか。」
「そうだな、宇迦之御魂が関係してないとなると。
デメテルの仕業かも知れないな。
ここに来るときに下を見たがかなりの範囲が木々に覆われていた事から察するに間違いないだろう。」
「では、ここはデメテルの領域なのでしょうか?」
「菖蒲、それは違う筈だ。
森ができたのはデメテルの影響でもデメテルは森の管理者では無い。
第一、この森からデメテルの魔力は感じない。」
話す間にも鹿肉はなくなっていく
「さて、出発するか。」
陽は立ち上がると余った生肉を集め、木材を作って組み合わせて足の付いたザルのような物を作りその上に生肉を載せ、
下に生木を置いて火を付け、煙で燻していく。
「燻製ですか兄様、保存食としての価値が高く。栄養価もある程度は残り、なおかつ水分が抜けて軽くなるため持ち運びにも苦労しないため、
昔は旅の時の食料にすることもありましたね。」
「そうだな、あれは干し肉だったが。
まあ保存性が高いだけでも意味がある。」
陽は燻製肉を和紙に包んで、腰に付けている小型の荷物入れに入れた
「とりあえず食事も済んだし出発しよう。」
そして陽達は首里城に向かって歩き始めた、




