43話 思い
京都に近づいた頃に陰が話し掛けて来た
「陰、何だ?」
「いきなりですが、兄様、好きです。」
陽は目を見開く
「どういう意味だ?」
「補則します、
兄様、私は貴方の事を男として愛しているのです。」
陽は目を細める
「その意味は解っているのだな、私は存在的には女なのだぞ?
今も女の姿だがな。」
「そんな事は関係ありません、
例え男でも女でも私の思いは変わりません。」
「アリスにはどう説明するつもりだ?」
陰は苦笑する
「兄様、お忘れですか?
アリスが生きていた時代には一夫多妻も普通でしたよ?
それに私は兄様の傍に居れれば良いのです。」
陰の告白に少し悩んでから口を開く
「解った、君と共に居よう。
最早法で私達を縛る事は出来ないのだから。」
「ありがとうございます。
ところで兄様、京都はまだですか?」
陽は首をひねる
「もう着いてもおかしくない頃だ…いや、解った、領域だ。」
「領域ですか?」
「そうだ、領域は妖魔が自分の力を強める為の場の事で、必要なら隔離することも出来る、
私なら夜、宇迦之御魂なら稲荷神社等、自分と関連のある場ならどこでも良い。」
「私は…墓場?」
「お前なら死体があればどこでも良いだろう、
まあ要するに自分の力で場に干渉すれば良い。京都はこの真下だ、上手く隠したつもりだろうが、溢れた魔力は隠しきれないな。」
「強い障壁の存在を感じます、どういたしますか?」
「まあ、見ていろ。」
陽は空中に手を伸ばし、巨大な大鎌を掴み取る
「兄様…それは!」
「そう、クロノスがウラノスを切り裂いた鎌だ、
そうウラノス…つまり空を切り裂いた物だ。」
陽が片手で梟の上から真下の空間に向けて鎌を振るうと空間に裂け目が生じ、そこから京都が見えた
「死臭が酷いな、生き残りは居ないだろう。
陰今回はお前一人でやってみろ、なに危なくなったら助けてやる。」
陰は深く頷く
「兄様、期待に添えるよう尽力します。」
「ああ、死体と死臭の溢れるこの町はお前のフィールドだろう?」
「はい兄様、行きます。」
陽は梟を降ろすと陰の後ろに下がって探索を開始した
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃アリスは
「やっと着いた~」
疲れた様子で神社の前に立ち張り紙を見て石化する
[事情により鈴音と京都に行きます]
しばらく愕然とした後、アリスは再び梟に乗って京都に向かって飛び立った




