12話 災いの黒雲
蝗害はこうがいと読みます、
昔の中国の辺りでは蝗害で国が危機に瀕することもあったらしいです。
陽達3人は北海道に到着した
「バッタの害(蝗害)はまだみたいだな。」
「アバドンの襲来まであと2時間程だ、それまでに対策を取る必要がある。」
そう大和は答えた。
「そう言えば、あたしがいた森に殺虫作用のある木があったわ。」
そうアリスが呟いた。
「アリス、それは何という木だい?」
「確か、栴檀と言ったよ。」
「栴檀は暖かい気候でないと殆ど育たない筈だが。」
と大和が意見した。
その言葉に対してアリスは
「あたしがいた所は普通より、かなり暖かかったからだと思う。」
「今も生えているか?」
大和が尋ねると。
「うん、森があるって言ってる。」
アリスは答えた。
「なら、速く行こう。」
3人が森の奥にいくと栴檀の木が群生していた。
「ごめんなさい、だけど少し枝を分けてくれない?」
と言ってアリスが、栴檀の枝と葉を取ってくる。
3人はそれを削り、お香を作った。
「これを焚けば、殺虫剤として使えるよ、しかも蝗害に強い効果があるって森が言ってる。」
「ならば、ポラリスの局員に使わせるとしよう。」
「なら、速く戻って指示を出す必要があるな。」
「ああ、速く戻ろう。」
そうして3人が町に戻ると、
大和は局員に指示を出すため、
北海道の支局に向かった。
陽とアリスは、鳥と話して、
バッタを食べてくれるように頼んでいた。
1時間半が過ぎ、
大和が2人の下にやってきた、
「まもなく、
アバドンが襲来する、
アバドンは巨大なバッタの姿をしていると報告されている、
君達はアバドンの撃破に努めてくれ、
私は局員の指揮を取る必要がある、
お前達なら不安は無いさ、
頑張ってくれ。」
「ああ、任せてくれ。」
「大丈夫、森を破壊するなんてあたしが許さない。」
そうして大和は去って行った。
「アリス、一緒に頑張ろう。」
「うん、もちろん。」
アリスは嬉しそうに答えた。
そして10分後蝗害が発生した。
「あのバッタからは、貪欲さしか感じない、憎しみに捕らわれていた頃のあたしみたいに。」
「アリス、今の君は昔と違うよ。」
「うん、分かってる。」
言葉とは裏腹にアリスは安心したようだ。
その巨大な黒い雲のようなものの中に、一際大きな影をアリスと陽は見つけた。
「あれがアバドンか。」
その姿はバッタではなく、巨大な蟷螂だった。
その蟷螂が2人の前に降りてくる。
「人間よ、あのような小細工をしたのは貴様らか?」
蟷螂は高圧的な態度で言った。
「そうだ、お前を殺す為にな。」
「そうよ、森を破壊させたりはしない。」
アリスと陽はそれに答える。
「貴様らが元凶か、ならば死ね。」
蟷螂はそう言うと、切りかかってきた。
「アリス、いくぞ!」
「うん!」
2人はエペタムを抜いて、蟷螂と戦う。
陽が蟷螂の攻撃を弾き返し、アリスが蟷螂に攻撃を加える、
「お前、アリスより遥かに弱いな。」
何度も切り裂かれた蟷螂はだんだん力が失われていく。
「何故、この蝗害の王、アバドンが負けるのか。」
「お前の敗因は、相手を舐めてかかった事だ。」
陽が呟くと、アリスが蟷螂の心臓を突き刺した。
「グォォォォ」
と言う断末魔をあげて、蟷螂は動かなくなった、
それと同時に、バッタ達の統制を取る者が居なくなり、霧散する。
「よくやった、予想より速かったな。」
大和がやって来た。
「蝗害はどうなった?」
「アバドンの死と共に消失した、ところでアバドンの死体はどうする?」
「あたしが処理するわ、陽、貴方の刀を借りるね。」
アリスは2振りの刀を持つと、
蟷螂に両方突き刺した、
すると蟷螂の体が刀に吸い込まれたようにして消えた。
「アリス、君は何をしたんだ?」
「アバドンをあたしの中に取り込んだの、
あたしはエペタムの力を持っているから出来るのよ、
取り込んだ力は刀に吸収されたからあたしの力は変わらないけど、
刀が少しは強くなった筈よ。」
そう言ってアリスは刀を陽に還した。
「まあ良い、速く大阪に帰ろう、大和、次は何処を攻める気だ?」
「余計な邪魔が入って予定が狂ったから、計画を練り直す必要がある、一旦大阪に帰ろう。」
「そうだな。」
「うん、分かった。」
そうして3人は蝗害を退け、
大阪に帰還するのだった。
栴檀の汁は本当に殺虫作用があるそうです。




