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実力主義への道  作者: 酒呑童児
第十章 唯一神との闘い
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107話 天使長メタトロン

 「・・・天使、巨人共に壊滅状態、これ以上戦いを続けるのは余計な犠牲を増やすだけでは?」

「そうかもしれない、だが我々にとって神の意思は絶対、裏切りは許されない。」

「その割には裏切者が生き残っていないか?」

「それは我々の能力不足の結果、この被害の多さもそれが原因、ルシフェルが来るとは想像もしていなかった。」

「既に帰還した様だが、魔界と現世を繋ぐゲートが不安定だとか言って。」

「貴女がそれをしたのでしょうに・・・敗北は決定した、ですが夕月陽、貴女を殺す事が目的である事に変わりはありません。」

陽は笑って頷く。

「仕方ないね、人間に肩入れし過ぎた、バランスを崩してしまったからね、さあ、戦おう。」


 メタトロンは背中の翼を使って飛び上がる。

「そうだね、このままでは少しきついかな。」

すると陽は巨大な魔方陣を空に作り出した。

「これは力を集める魔方陣、皆の魔力を私一人に集中させている。」

数秒もしない内に魔方陣は消失する。

「これで完了した、もう私に勝つ事は出来ない。」

膨れ上がった陽の魔力を間近で感じてメタトロンは悟る、ニュクス、ガイア、エレボス、それら原初の神を生み出した存在『混沌カオス』こそが今目の前に居る者の正体なのだと。

「貴方は・・・」

「そう、これが本来の私、三つに分かれた力を一つに纏めた存在・・・もうこれは戦いじゃない、殺戮だ。」

陽が刀を振るとそれは粉々になってしまう。

「ただの金属では耐えられないか。」

陽はメタトロンの翼に手を触れる、それはゆっくりとした動作だったがメタトロンは動くことも出来ずになすがままとなる。

「ぐ、ぐぅ。」

一瞬で美しかった翼は焼け焦げ、毒に犯される。

「触れただけでこれか。」

陽がメタトロンの胸に手を触れようとした瞬間メタトロンが動いた。

「・・・大して意味は無い。」

陽は自らの体を貫く刃をそっと見下ろす。

「私は存在そのものが呪詛、それを害したお前がどうなるか解って居る筈だ。災厄に身を包まれて死ぬ、それだけだ。」


 その瞬間メタトロンの視界は閉ざされる。

何が起こったのかも理解する暇もなく全身の感覚が抜けていく。

必死で手を伸ばすと空から舞い落ちてきた一本の羽が手に触れる。

「それはカラスの物だと思えばそうなるし、私の翼の物だと思えばそうなるだろう、演出に近いからな。」

その言葉はもはや届きはしない、自分の記憶が薄れ、無くしていた過去の記憶が戻って来る。


 ・・・そうか、私の両親は神に殺された、その記憶を奪われ、神の兵として戦っていたとは、笑わせてくれる・・・私は死ぬのだろうな、だが構わない、どうせ神は滅びる、何もしなくとも信心を失ってきているのだから・・・・・・・


 「私は貴方の過去は知っていた、だけど貴方を救う事はできない。せめて殺してやるだけだ。」

僅かに意識が戻されたメタトロンは答える。

「それでいい、奴の兵として生きるぐらいなら死を選ぶ。」

「せめて苦しみなく死なせてやる、さらばだ。」


 メタトロンの体は沢山の羽に包まれ、それが散った時には消滅していた。

天使長メタトロン 消滅

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