105話 フェンリル
戦いが続く中、史たちが集まっていた本陣が銀狼フェンリルの襲撃を受けていた。
「速いね、弾が当たらないし、当たっても弾かれる、どうしようか。」
「私が足止めをしてみましょう。」
陰の魔術によって地面から骸の腕が現れ、フェンリルを掴み、その歩みを止める。
「・・・やはり無理ですか。」
そう陰が呟いた途端フェンリルは呪縛を振りほどき、再び掴みかかろうとする骸の腕を嚙み砕いてしまう。
「狼だからね、骨ぐらい噛み砕けるか、それにデカ過ぎ、あれじゃ象と大差ないじゃん。」
「私は骨ですし、アリスさんは血肉・・・どちらも餌ですね。」
「うん、言われてみれば、間違いなく餌だね。」
「まあ、鉄は食えないでしょ。」
史は無数の鉄柱を空中に作り出して降らせる。
「結局避けられるよね。」
全て避けたフェンリルは辺りが鉄柱で囲まれ、その中にも突き刺さっている鉄柱も含めた全てから火薬のにおいがすることに気付く・・・気付くが遅かった。
「吹っ飛びな。」
史がスイッチを入れると鉄柱が爆散し、爆炎と衝撃波、鉄の破片が辺りを吹き飛ばす。
「・・・御神楽様、私が魔術で守ったからよかったものの辺りに被害が出るような事をするなら先に言って下さい。」
「はいよっと。」
「・・・・・反省してませんよね。」
「それはいいから、あれ。」
史が指した方には瀕死のフェンリルがたたずんで居た。
「まだ生きてたみたいだね、これで帰ってくれればいいんだけど。」
「グォォォォォォォォォォォォォォォ。」
「そんな気はなさそうだね。」
史が銃を構えるのを陰が止める。
「どうかした?」
「アリスさんが居ません。」
「なるほどね。」
フェンリルは狙いを定めて史に飛びかかろうとして気付く、数が減っていることに、そして頭上からの攻撃に備えた時には遅かった。
「甘いよ。」
アリスが頭上の木の上から飛び降りてフェンリルの背中に乗ると刀を振り抜いてその首を切り落とした。
「相変わらず凄い身体能力ですね。」
フェンリルの背中から降りてきたアリスに陰が言うと。
「狩りなら昔からよくしてきたからね、大したことじゃないよ。」
「そうですか、でもこれで巨人軍は壊滅しました、この戦いもあと僅かでしょう。」
「そうだね、あたしたちに出来る事はあまりないね、後は・・・陽に任せようか。」
「そうだね、あたしは取り敢えず陽の戦いを観測しとくよ。」
史とアリスが去ると陰は呟く。
「兄様、後は頼みましたよ、それと貴方の願いは受け入れます。」




