103話 ヘル
「薬師よ、何故戦う、救う立場の者が、何故奪う。」
ヘルは呼吸すら苦しそうに話す。
「解らないわ、でもね、こうしないといけない様な気がするのよ。」
「答えを持たない、そうか、人はやはり、面白い。」
「笑った顔は可愛いわ、ヘル。」
「可愛い・・・か、初めて、言われた、私は、体が、弱いから。」
そこでお互いに武器を取る。
「でも、父が決めた、戦うと。」
ヘルは薙刀を持って虚空を薙ぐ。
その瞬間空気の刃が発生して菖蒲に襲い掛かる。
「そう・・・」
菖蒲は毒粉を爆破させそれを吹き飛ばす。
「清明さん、お願いします。」
菖蒲が空に信号弾を打ち上げると遠くで見ていた生命が術式を発動させる。
「空気が、澄んでいく・・・」
「貴女がここに居れたのは冥界の瘴気が満ちていたから、でもそれはもう無い、早く帰らないと死ぬわよ。」
「・・・帰る、サヨナラ。」
ヘルは冥界への門を開きそこへと飛び込んでいった。
その時に放たれた爆風は菖蒲を吹き飛ばした。
「うっ。」
地面に叩き付けられた菖蒲に天使たちが飛び掛かる。
「大丈夫ですか、薬師寺様。」
「・・・陰ちゃん?」
「ちゃん・・・。まあ良いでしょう、戦えますか?」
「まだ、大丈夫・・・陰ちゃん、後ろ!」
背後から忍び寄っていた天使は突如現れた数多の氷の矢によって射抜かれ絶命する。
「宇迦之御魂神様、感謝します。」
「礼は要りません、次が来ますよ。」
「ここは私が。」
陰は骨の槍を作り出して飛ばし、天使を射抜く。
「まだまだ居ますか、私の力もいつまで持つか・・・」
「残りはざっと二万ぐらいかな、半分ぐらいになったけど天使だけの概算だからね、実際はもっと多いよ。」
史が銃を構えて近づいて来る。
「菖蒲さんはこれを使って、一応免許はあるでしょ?」
「あるけど・・・狙撃銃を使ったことは無いわよ。」
「弾はいくらでも出せるからね、牽制にでもなれば良いよ。」
「私にも一つ貸して頂けないでしょうか、そろそろ魔術を使う体力が切れそうです。」
「良いよ、じゃああんたはこれね。」
「対戦車ライフル・・・射程は平均より少し短めですがその分内部から破壊する弾丸を使ってますね、これはオリジナルでしょうか?」
「そうだよ、まだ試作品だけど暴発はしないから安心して、あと大概の天使や妖魔に使えるから。」
「解りました、それでは反撃を開始しましょう。」




