100話 ミカエル
水を司る宇迦之御魂とそれを増幅する陽によって辺り一面の海は凍りつかせ、人が上で暴れても問題ない様にした上で戦いは始まった。
「卑怯・・・いえ、天使なら当然ですね。」
陰と対峙したミカエルは他の天使に近くで攻撃させ、自分は上空から熱線を打ち出して攻撃していた。
「神は必ず勝利する、それこそが正義の証、貴女も神の下に来ませんか?そうすれば存在を認めて貰えるでしょう。」
「そうですね、私も神を信じましょうか。」
「それでは・・・」
嬉しそうに言いかけたミカエルを制し言葉を続ける。
「我が兄である夜の神ニュクスを。」
「ならば死ね。」
そう言ってミカエルは攻撃を激化させ、相変わらず上空からの射撃を繰り返す。
「貴方達は穢れを受け付けない、そして私は穢れの塊の様な物、さあ、こうしましょう。」
陰は辺りの氷の地面から巨大な骨の塔を作り出しそこから瘴気を放つ。
「ここは私の空間、逃げられませんよ。」
陰は瘴気に晒されて動けなくなっている天使を一瞥すると飛び上がる。
「そのような動き・・ありえません。」
陰は骨の塔と天使を次々に踏み台にして飛び上がり、ミカエルの頭を掴んでそのまま上空数十メートルから落下しその後頭部を全力で打ち付けた。
「貴方に教えたら他の天使にも伝わるのでしょうが、まあ良いでしょう、戦いの前に全身の骨格を造り変えておいたのですよ、より運動能力を高めるよう御神楽様と薬師寺様に助言を頂いて。」
「御神楽・・・カインとは違う本物の裏切者、知識の為に神に従い、様々な物を盗んで逃げた彼奴か。」
「そうですね、私達には関係ない事です、知識の探究と使用の場を整えますから、貴方達とは違って。」
「貴女は何故そちら側に・・・」
「兄様の為です。」
陰は言い捨てミカエルの首を刎ねた。
「愛、ほんとに良い物だよね。」
「貴方は?」
背後に現れた弓をもって天使の様な羽を持った子供に陰は刀を向ける。
「僕はエロス、性愛を司るギリシャの神さ、ニュクスに呼ばれて応援に来たけど必要なかったかな?」
「いえ、感謝します、他にも天使の残党の討伐を手伝ってください。」
「解ったよ。」
それだけ言って立ち去りかけた陰にエロスは声を掛ける
「君の思いはきっとニュクスに伝わるよ、僕が保証する。」
「・・・そんな事関係ありません、私は兄様の為に戦う、それだけです。」
「でも、泣いてるよ。」
「・・・もういいんです。」
そう言って陰は立ち去った。
「そうか、でも君は幸せになる、それは性愛を司る僕には簡単に分かるんだけどね。」
熾天使ミカエル 戦死




