91話 菖蒲と柳谷獏
「獏、貴方と話したいの。」
「姉さんが相手か、勝てる気はしないね。」
「貴方は何で柳谷家に残ったの?愛想は尽かしてたんでしょ?」
「確かに残虐な人体実験を繰り返す家には愛想を尽かしてたよ、でも僕は姉さん程の医術の腕は無いからね、それに鬼灯さんにはここに居させてもらっている借りもある、姉さん、僕は全力で貴女を阻ませてもらうよ。」
「仕方ないのかしら、でも私も負ける訳にはいかないの。」
菖蒲がレイピアを構えると獏もナイフを両手に構える。
「姉さんのレイピア・・・軽量化によって標準より少し軽いね、その分仕掛けがありそうだけど?」
「仕掛けはあまり無いかな、でもこうしましょう。」
菖蒲は大量の霧を作りだし、辺りを覆う。
「さあ、行きましょう。」
菖蒲はレイピアを的確に突いていくのに対し、菖蒲の位置を把握しきれていない獏は苦戦を強いられる。
「いつの間に後ろに・・・ヘルメスの力ね。」
一瞬の内に背後に移動した獏に対し菖蒲は呟く。
それでもすぐさまその場所を探り当てて攻撃を再開する。
「負けないよ。」
獏はナイフを投げつけて新しいナイフをズボンの裾から取り出して構える。
そのナイフが掠った菖蒲は直ぐにある事に気付く。
「痺れがある、毒ね。私には効かないけどね。」
即座に解毒した菖蒲は獏に向かって再びレイピアを構える。
「毒に注意するべきなのは貴方よ獏。」
「体が・・・重い。」
膝を付いた獏に菖蒲は言う
「レイピアにも毒が塗ってあったの、中々気付かない位薄い毒だけどね。
それでも何度も攻撃すれば少しずつ体に入るし、この霧も毒の霧よ。最初から勝利は決まっていたの、卑怯だけど私にはこれしか方法は無かったの、そうしなければ貴方に負けていた、ごめんね。」
「謝らないでよ・・・姉さん、それにまだ僕は負けてない。」
その瞬間獏の魔力が飛躍的に高まり立ち上がる。
「・・・・・獏、ごめんね。」
それを見た菖蒲は霧の終わる所に出て、そこの地面の岩にレイピアを打ち付けて火花を散らす。
「えっ。」
その瞬間爆発が起こり、爆炎は辺りの全てを飲み込んだ。
「あの霧の正体は細かい粉塵状で可燃性の毒、そこに火を着けると起こるのは粉塵爆発、妖魔人なら死にはしないけど・・・ごめんなさい。」
そう言って菖蒲は立ち去り、後には瓦礫の山が残された。




