小さな奇跡
遺伝というものがある。
家系というものがある。
いずれにしても先祖から代々受け継いだものが良くも悪くもある。
体の中にある60兆もの細胞の一つ一つに先祖代々のデータが全て受け継がれている！
体のデータと記憶のデータがこの世に生かされている限り人類の進化向上のため限なく目の前に映し出される！
今世、どれだけのデータを良いものに変えれるか！
今世、終わりを告げるとき笑顔で終わるために!!
男は自ら放った笑顔という光で昔を思い出していた！
格闘技の教え“辛いとき苦しいとき痛いとき笑え！”
なぜ思い出したのだろう。
もう20年以上もたつことを。
この意味がわかるのはまだ何年も先のこと今はこの少しの変化をどう活かしていくか！
男はナースさんにもらった本を読んだときに少し心がゆるんだことを思い出した。
本はいろんな人からいただいていた。
冒険物、自己啓発、スピリチュアル、漫画。
もうどこへ行っても言われることは一緒だと悟った男は本を読みあさった。
パニック傷害も襲ってきた、別に環境、状況はたいして変わらなかった。
ただひとつ変わったことは苦しみの中から笑い、昔のことを思い出したことで闘争心を思い出した。
このままでは終われない!!
格闘技の現役時代もテクニック、センスよりも諦めずにスタミナで勝利するタイプだった。
諦めない心！何か今できること！そこに本があった!!
なぜかもらった本には一貫して書いていることがあった！
その事が心に深く響いた。
ジャンルに関わらずもらった本には！
人の心は変わらない！
心を変えようと思うより言葉を変えよ!!
漫画の本でさえダメな主人公にまずは言葉でなりたいものを言えよ！と描かれていた!!
「初めに言葉ありき」
言葉が神だと書かれている本もあった!!
言葉が宇宙に発信され巡りめぐってまた言葉通りのことが帰ってくる!!
この住む土地は言霊の国。
言葉だけはいくら気を付けても損はないと！
男はもらった本を全て読み終える頃には一つの信念が生まれていた。
今まで自分に起きていたことが全て府に落ちた！
マイナスな言葉を言い続け無意識のうちにマイナスな行動を続け目の前に起こる出来事を全てマイナスに受け取っていた!!
これからは意識してプラスな言葉を口にしよう!!
手術出来るかどうかもわからない！
しても成功するかもわからない！
自分の体がどうなるかもわからない！が何があろうと生きてる限りプラスな言葉で生きよう!!
そして本に書かれているプラスな言葉を呪文のように言いはじめた！
なぜそうしたら良いのかなどわからずに、ただ本に言うと良いと書かれてることをひたすら言い続けた！
もうひとつは、この10年以上も愚痴と泣き言に付き合わせた嫁に朝起きたときに「おはよう」と挨拶することを心がけた、返事が帰ってこなくても言い続けた！
検診の日がやって来た。
病院から帰されて１ヶ月ほどたっていた！
男は鏡を見て思った!!
頭はボサボサ髭は伸びっぱなし、こんな男が助けてくれ～っと来たら自分でも帰ってくれ！っと言いたくなる。
男は頭を坊主にし、髭を剃り身なりを整えた。
病院に着き診察室へ。
やはりあの先生に会うと思うと気が焦り逃げ出したくなる。
ここで男は“初めに言葉ありき”思いはどうでもいい！
言葉を変えよう！と思った！
言った言葉は「先生大好き」
ここから男の人生は逆転の発想になる。
苦しいときに笑って変わった感性。
全く間逆なことをやって変わった経験。
「先生大好き」を小さい声で10回言って診察室のドアを開けた。
目の前にあのダメ出しをして家に追い返した先生が座っていた。
先生の第一声は男の坊主頭を見て
「大丈夫！頭をおかしくなった!!」
一筋縄ではいかない状況！
男は笑顔で
「大丈夫ですよ！心入れ替えました」
先生
「ほんとかな～！」
そのあと先生から思わぬ言葉が
「じゃもう一度検査入院してみますか！」
男は、恐怖と不安がよぎった！
だが出してる言葉は
「大丈夫です。ありがとうございます。」
思いよりも出してる言葉！
自分の言葉と行動を変えたことで先生の自分を見る目が変わった!!
この小さな奇跡の連続が大きな奇跡を呼ぶ!!
男はその小さな奇跡に気づいていた!!
つづく
