強大な壁
人が成長していく過程で避けては通れない道に幾つかの壁が出て来たり谷底が出て来たり山が出て来たりする!
壁を飛び越えて行くこともあれば壊して突き抜けていくこともある!
少しずつ壊してゆっくりまたいで行くこともある!
谷をジャンプして渡ることもあれば谷底まで降りて上がって来ることもある!
山を様々な登山口から登って行き、様々な成長する経験をして山頂に到達する!
強大な壁や奥深い谷底や果てしなく高い山を見て人は尻込みしてしまう!
その試練から逃げることもあるだろう!
立ち止まることもあるだろう!
試練の途中で心折れることもあるだろう!
だが人は神様からいただいた分け御霊の意思を思いだし何度も何度も立ち直って挑戦し続ける!
専門学校を辞めて球技に専念する選択をした崇は地元に戻ってヒロさんが始めた設備会社に就職することになった!
一番競技に理解のある環境に就職できた!
あれだけ学生時代に環境に恵まれなかったのが嘘のような変わりようだった!
勇気を出して一歩踏み出せば道は拓ける!を象徴するかのような話だった!
崇からすれば言うことのない環境だがヒロさんからすればバイトもやったことのない専門学校上がりの若者は仕事に対して無知すぎてかなり手こずっているようであった!
遅刻!仕事中の携帯は当たり前!常に眠そうに仕事に取り組む!
ヒロさんはしょっちゅう男のところに来て崇の仕事に対する愚痴をこぼしていた!
ヒロさんは男からも何か仕事に対してのアドバイスをしてください!と頼まれていた!
そして崇がトレーニングに来たときはヒロさんには悪いが「仕事!良く顔晴れてるらしいな!」っと注意することもなく誉めて帰していた!
B型の血は注意しても興味がなければ耳が聞こえなくなっている場合があるので耳に入る言葉をチョイスして言うように心がけた!
しかし本人の崇はちゃんと人に誇れるくらい仕事をしている!と思っているようだった!
さすがBの血である!
学生時代は心を折られてばかりだったので、なるべく心を折らずにパフォーマンスを上げたいという狙いもあった!
しかし日頃の行いと仕事の態度とは裏腹に球技の実力はチームでもトップクラスになりつつあった!
球技の練習に対する熱心さは相変わらずだった!
その頃は平日は練習する場所が使えず各自、自主トレになっていた!
そういう環境で崇は近くの小学校に許可をもらって砂場でトレーニングをこなしていた!
そして、チームは順調にリーグ戦を勝ち抜き見事地域リーグを優勝して全国を決めた!
崇はもちろん初出場!
チームも2度目の出場!
ここで崇は全国の洗礼を受ける!
リーグ戦のトップ通過が決勝トーナメントベスト4に進める!
ここでベスト4常連のプロチームにボロボロにやられた!
崇は身の程を知った!
まだまだ経験不足だということも痛感した!
その年の全国は予選リーグを二位という成績で幕を閉じた!
一位になったチームを倒せば文句なく決勝トーナメントだが果てしなく遠い一位と二位の差であった!
この強大な壁!深い谷底!高い山をどう攻略していくか!
凹んでいる暇はなくヒロさんがアマチュアのまま全国制覇します!と言った言霊は 常に進行している!
シーズンも終わりチームはバラバラになり各自いろんな種目に別れていく!
春の開幕まで一時の休息!
この時期にローカルの大会が行われた!
この大会に崇は高校の卒業生達と出ることにした!
男は大会の主催者からウォーミングアップを依頼され会場に来ていた!
そこに崇の同級生達が久しぶりに顔を並べていた!
崇以外みんな男のトレーニングをやりたがらなかったメンツたち!
男は笑顔で「元気か〰!」
と話しかけた!
一番問題児で男を無視し続けた選手は最幸の笑顔で「元気っす!」と返してきた!
大会はローカルとはいえシーズンオフで各チームの主力達が出場していたのでかなりハイレベルな戦いが行われていた!
その中、卒業生チームは順当に勝ち上がり即席チームでなんと決勝まで勝ち上がってきた!
決勝の相手は前年度の優勝チーム!
毎年ベスト4には入ってくる常連チームだった!
だが少しフィールドとルールが違えど全国のトップと戦ってきた崇を止められる選手はいなかった!
高い山ばかりに挑んでいた崇だが少し低い山に登ってみれば自分のレベルが上がっていたことに気づいた!
そして崇たち卒業生チームは優勝を果たした!
みんなの喜ぶ姿を見て良かったと心から思った!
悔いばかりで終わったこの子達が笑顔で集まれるようになってホントに良かった!
その夜、男に一本の電話が鳴った!
あの問題児からだった!
第一声は「今日はありがとうございました!」
そして高校の頃の話を始めた!
「俺ずーっと〇〇さんに申し訳ないと思ってたんです。いつも笑顔で一生懸命トレーニングに来てくれる〇〇さんの言うことを全く聞かずにやってたことを!
無視してても話しかけてくれる〇〇さんに申し訳ないと思ってたんです!
だから今日、優勝できて少し恩返しが出来た気がします!
ホントにあの時はすみませんでした!」
男はかなりびっくりしたが気を取り直して
「そうなんや!そんな事思ってくれてたんや!ありがとうね!
卒業してまでそんな事言ってくれてとても嬉しいです!」
その問題児は何度も男にお礼を言って電話を切った!
男は自分の高校時代と比べてあの子達は学校に来てる!部活に出て来ている!だけでも大したもんや!と思って見ていた!
ホントはヤりたくてもやれない環境があってみんな心の何処かで葛藤と戦ってたんだと!
男が高校の頃と一緒の感情をあの問題児も感じていたんだと思ったとき卒業生たちに感謝の気持ちが沸き上がった!
時を越えてとんでもない感動の気持ちをいただける仕事に感謝する男であった!
そして崇は一つの壁を飛び越えて次なる谷底へ進んでいた!
つづく!




