鍛練期から原点へ
人は生きていく中で原点に戻る時がある!
無意識に戻るとき、意図的に戻されるとき、自ら戻るとき、その人の生きてきた人生の流れでいろんな形で原点復帰が繰り返される!
男は命と体と経済!そして人間関係とで何度となく原点復帰を繰り返してきた!
何度となく繰り返される中で男の魂は成長し!回りの環境も成長していく!
男の見ている女子チームは 今年もやって来た高い山の山頂手前までかけ上がってきた!
夏の終わりに国体初出場という成果を上げていた!
去年はこの時期のリーグ戦を初制覇!
女子の大会日程は男子と比べてまだまだ確立されておらず毎年ずれが生じる!
だが去年と同じく夏に一山越えて直ぐに最後の全国予選が組まれていた!
似たような日程がやって来ても同じことは起きないという原理原則がある!
今年はコンディションはあまりやらなかった!
選手たちが疲労困憊です!と言ってきても、ちゃんと自分たちで出来るように教えて来たから自分たちでやりなさい!と告げた!
そして予選前に監督に日程を聞かされ驚いた!
日程は国体全国大会から始まり三週連続で全国大会予選が行われる!と告げられた!
男子と違って女子の場合、三日間で一回戦から決勝まで行われる!
これが一週間毎に三回行われる!
そして一番行きたい全国大会は最後の週である!
この事を聞いたとき不安にならなかったと言えば嘘になるが、明らかに去年より高い山を去年より強くなった選手たちがどう乗り越えるのかが楽しみでもあった!
そして国体全国大会へと突入していった!
国体は県の選抜選手でチーム編成されているのでチーム全員は呼ばれてないにしても主力は全員呼ばれていた!
そして大会のほうは一回戦1-2で見事に初戦敗退で終われた!
正直、この大会で勝ち進んで行けば必ず反動がやってくる!
一大会の疲れを一週間で改善しなければならない!
全国の強豪チームに好勝負が出来たことで良しとした!
全国から帰って来た監督も選手たちも落ち込むことなく次に焦点を定めていた!
毎年やって来るこの2つの全国大会予選!
一ヶ月、間が空いてくれるときもあれば2、3週間の間の時もある!
だが今回は一週間!
両方の大会とも全国に行けるチャンスはある!
最初の全国大会予選が始まった!
一回戦から強豪チームとの戦いだったが3-0と勝利し二回戦1-0、準々決勝2-0、と勝ち進んでいった!
そして全国のかかった準決勝!
相手はクラブチームの地域チャンピオン!
優勝候補ナンバー1!
選手たちは果敢に攻めたが6-0!
圧倒的な力の差を見せつけられて敗北!
だがここまでは想定内であった!
この全国大会予選は上位3チームが全国に行ける!三位決定戦で勝てば全国へ行ける!
三位決定戦で戦う相手はいつかは越えないといけない相手この地域の高校チャンピオン!
必ず立ちはだかってくる相手!まだ一度も勝ったことのない相手!
三位決定戦の結果は!
3-0完封負け‼
どうしても勝てない!
どうしても乗り越えられないのか!と自問自答しながら敗戦後の男のトレーニングの日になった!
この時の監督からのメールは今までになく長文であった!
必ず勝ちたいということ!
この子達は全国に行ける実力があること!
そして最後の全国大会予選なのでコンディションをしてやってほしい!と!
そして心が途切れないようにメンタルの話をしてほしい‼と!
男は移動中の車の中で、この3年間の間ずーっと言い続けてきたメンタルの話を思い出しながら今さら何を話そう!と思い悩んだ!
この一年半、後一歩で全国を取りこぼしてきた!
その度にメンタルの話はしてきた!
頭の中で話がまとまらないまま選手たちのいるグラウンドに到着した!
選手たちは疲労のピークなのかプレッシャーでストレスが強いのかみんな顔色が悪かった!
おまけに前の日は学校の体育祭もあり素晴らしいくらいに体と心を追い込まれていた!
そして、選手たちと軽く挨拶をして本題に入った!
男はまとまらない心のまま話し始めた!
「いつものパターンで最後の全国予選になりましたね!
監督にメンタルの話をしてください!と頼まれました!
でもね!あなたたちにはずーっと言ってきたつもりです!
今さら何を話そうか!と思ってる!
ところでみんなはメンタルを強くする方法!
心を強くする方法ってどんなことをしていますか?」
男はキャプテンや三年生、そして主力選手などに聞いてみた!
選手たちから出てきた内容はいろいろあったが男は思わず笑ってしまった!
男は選手たちに笑いながら言った!
「あなたたちは、みんな各自心を強くするアイテムを持ってます!
でも俺の言っているメンタルトレーニングをしている選手が一人もいなかったことに新鮮な驚きです!」
選手たちもドッと笑いがでて男は話を続けた!
「俺はここに来るまでいろいろ悩んだけどね!
いつも極度のプレッシャーを感じたときに思うことがあります!
それは原点に帰る!
今から分かりにくい話をするけど、俺は昔大きな病気をした話はしたよね!
最初の病気の時は家族や親戚、病院、友達、回りのみんなに全力で助けられたんよね!
不安と恐怖に負けてみんなに頼りきった!
手術室に行くときも麻酔をしてから手術室に連れていって下さい!と頼んだんよ!
でもその後助けてくれたことに感謝もせず愚痴泣き言上手くいかないことは回りのせいにして生きてきた!
そして2度目の大きな病気がやって来た!
今度は助けてくれる人は一人もいなかった!
いや、回りは助けようにも俺が前回以上に恐怖に負けていた!
そしていろんなことがあって、それでも生きていこうってなったときに一人で戦う覚悟をしたんです!
言葉を変え容姿を変え一つずつ今できる目の前のことをやっていったんよね!
そして手術の日!車イスで迎えに来たナースさんに自分で歩いて行きます、と伝え自力では歩けなかったから押し車を使って手術室前まで歩いて行ったんよね!
誤解が生じて冷え冷えとした関係になっていた嫁さんもこの時だけは一緒に歩いてくれた!
神様はいつもギリで助けを出してくれるんよね!
そしてみんなに新しい俺になって帰ってくるからと告げて手術室に入っていきました!
手術室に入ってナースさんが手術台のところまで連れていってくれました!
手術台に乗った俺に最後の最後に試練がやって来た!
この病気になって併発したパニック障害が襲ってきたんよね!
俺はずーっと一人で顔晴って来た!
でも最後の最後に心が折れたんよね!
いい!みんな!どんなに顔晴っても最後に俺は心が折れたんです!
そしてやっぱりダメだ!もう逃げよう!って思ったんよ!
でも次の瞬間、主治医の先生が頭を押さえて、もう大丈夫だから!もう大丈夫だから!と優しく言って麻酔のマスクを俺に被せてくれたんよね!
その後は見ての通り元気な俺です!
何か言いたいかというと顔晴って顔晴って最後の最後に心が折れた時に助けてくれたのは一番苦手で俺をパニック障害になるくらい心を折ってくれていた主治医の先生なんよね!
こんな極端な話は理解できないやろうけど、俺はいつも行き詰まった時にこの時のたった一人で立ち向かった出来事を思い出して顔晴れるんです!
顔晴って顔晴ってそれでもどうにもならないことが起きたとき必ず神様は助けてくれる!
あなたたちには顔晴ってたら!一生懸命顔晴ってたら助けてくれる仲間がこんなにたくさん回りにいる!
仲間も家族も監督もみんなが助けてくれるからもちろん俺も全力でサポートするから安心して戦ってきなさい!
どんなことが起きてもあなたたちが良くなることしか起きないから大丈夫だから!」
ここまで話したとき顔色の悪かった選手たちの顔は少し紅潮し明るい顔になっていた!
そして「変なメンタルのお話は終わり!ではお待ちかねのコンディションやりましょう!」
選手たちは素晴らしい笑顔になり‼
「は〰い!」と元気の良い返事が帰って来た!
この週末は男の契約している他のチームも大会が目白押しだった!
週末に入り女子チームは順調に一回戦、二回戦と勝ち上がっていった!
この物語には、まだ出てきていないが社会人のチームでアマチュアのままプロチームをなぎ倒して日本一になったチームがあった!
このチームに出会った頃アマチュアのまま日本一になりますと言っていた!
誰もが不可能だろう!と言っていた!
笑う者もいた!
そのチームが去年、奇跡の日本一を成し遂げた!
そして今年は連覇をねらう!
女子チームは大会の二日目は全国を決める準々決勝が行われる日だった!
社会人のチームはリーグ戦を一位通過で決勝トーナメントに進出!
男はこの日もセミナー講師の仕事だったが正直心は上の空だった!
お昼過ぎに一つ目の結果がSNSの情報から目に入ってきた!
社会人のチーム!準決勝敗退!全国三位という結果で終えた!
全国三位は素晴らしい結果である!
ただずーっと見てきているだけに勝たせてあげたかった優勝させてあげたかったという思いは大きかった!
セミナー講師の仕事が終わりスタッフとミーティングをしているときも気丈に振る舞うが心はそこにはなかった!
ミーティングが終わりどうにか心を落ち着かせようと向かった先は実家の仏壇の前だった!
病気から立ち直っていく過程でルーティンになっていったご先祖様への感謝のお参り!
願いや頼みごとを言うのではなく命を繋げてくれたことに対しての御先祖様に感謝の気持ちを唱えていた!
そして、フッと!横に置いていた携帯のランプに気がついた!
携帯を開いて見てみると、ある方からのメールが届いていた!
その相手は奇しくも去年、我が女子チームの敗北を知らせてくれた他チームの親だった!
嫌な記憶が甦ったが内容を見てみた!
その内容は「今年は見事に決めてくれたしたね!
全国大会出場おめでとうございます✨」という内容だった!
男はその場で大の字になり我慢せずに泣いた!
そして何度も「よかった!よかった!」と歓喜の声を上げた!
今年は日程やいろんな面に対して厳しかったが見事に目標を達成し山を乗り越えてくれた!
涙がとまらなかった!
選手たちに「おめでとう」という言葉を送った!
その夜にキャプテンからの電話が鳴った!
そして第一声は「絶好調で〰す!全国決めました!」
男は感謝の気持ちを伝えた!
「良く顔晴れました!ホントに感謝の気持ちしかないです!」
キャプテンは最後まで笑顔で戦ったと言ってくれた!
そして明日の決勝も笑顔で戦ってきます!と言ってくれた!
男は全国決めた話しか聞いてなかったので準決勝も勝ってたことを知らなかった!
男はキャプテンに「じゃ明日は楽しんでね!」と告げて電話を切った!
次の日、他のチームにトレーニング指導を行うため車で移動中の時、SNSの投稿で女子チームの卒業生が結果を載せてくれていた!
「後輩たちが偉業を達成してくれました!
20数年間その県からから出たことのなかった優勝旗が我が県へやって来ました!」
女子チームは優勝していた!
あの最強を誇ったチームに!
何度も挑んでも勝てなかったあのチームにとうとう勝利した日がやって来た!
男は運転中だったが涙が止まらず前が見えないくらいだった!
トレーニングコーチという仕事は勝っても負けても次の職場で笑顔で指導する!
その夜のキャプテンからのメールでPK戦で勝利したと知った!
そしてPK戦の間みんなで「強気!絶好調!」って言い続けた!と知らされた!
男はみんなに感謝しかないです!と伝えた!
こうして勝てなかった鍛練期を乗り越えて最大の強敵チームを下して優勝を勝ち取った!
だが勝った余韻に浸る暇もなく職業病でもう次のレベルアップを考えている!
男は空を見上げ、この終わりのない人間の進化向上に携われる仕事に感謝した!
そして極限状態の中から一つ上に上がった女子チームを誇りに思う男であった!
つづく!




