明暗
この世の中で起きている出来事は全て偶然なのか必然なのか、偶然と必然が入り交じっているのか。
男は病気と入院生活という普通の生活から離れた経験のお陰で物事の見方が客観的に見れるようになった。
この世の中で起きている出来事は全て奇跡である!!
奇跡の連続だと悟ってもパニックはやって来るし不安と恐怖はやって来る。
だが以前の男とは違う!不安と恐怖がやって来る度にプラスな言葉を言い続けた。
パニックになりそうになる前にその場から全力で逃げてパニックを追い払った。
今までは逃げずに立ち向かった。
だが頑張りすぎないように変えていった。
これからの人生を楽しく生きるために!
手術できる方向に決まり幾つかの検査をする日々が始まった。
10年前肺の手術の時も検査が多くその病気で具合が悪くなるより検査で具合が悪くなっていた。
ほんとに病は気から!
男はある決意をしていた。
10年前肺の時は暗く苦しいことばかりだった!
それをもう一度乗り越えられる自信は全くなかった!
だからこの先起きる出来事は全て笑える出来事に変えていこうと思った!!
すぐに思えなくても先に表情を笑顔にしてプラスな言葉を出そうと思った!!
それでも逃げ出したいときが来る、耐えれないときが来る!
CT検査の時、やはり狭い枠の中に入っていく途中でパニックがやって来た!(もうダメだ逃げ出そう)と思ったとき、なぜか先生が男の体を優しく押さえて「大丈夫!一緒についてるから」と検査の間、声掛けと体を支えてくれた!
後年、男が思うことがある!
最初苦手だったりトラブルがあった人ほど後々助けてくれたり出来事が好転するきっかけを持ってきてくれたりする。
それはその人に対してプラスな態度で接してた時ほどチャンスに変わる速度が速い!!
あのいつも心を折られる会話ばかりしていた先生が今では頼れる先生に変わっていた。
そして手術の日がやって来た。
この日が来るまで、もうダメかと思うことが何度もあったが諦めずにやってこれたのは、何故自分は生きているのだろう!
何のために生かされてるのだろう!
入院中ある思いが浮かんだ!
(お前はこの先どうなりたいんだ!!)
光すら見えない中で男は
(生きたい)
じゃどうする!?
(何かのために何かをやる)
その時、男は綺麗事にも人のためにとか、世のためとか思えなかった。
だが読んできた本の中で奇跡の生還をやり遂げた人やどん底の人生から這い上がって来た人は一律みんな感謝の心で世のため人のために何かをやり遂げた人たちだった!
自分の体がどうなるかわからない状態で先のわからない状態で、それでも諦めずにでた思い!!
「何かのために何かをやる」
そう思えたとき男はこの先の人生に光が見えた。
手術の日の朝、ナースセンターが慌ただしかった。
手術室が前の日の工事で設備が整ってない状態で手術開始がいつになるかわからない!っと知らされた。
手術の順番は二番目、手術最初の患者、三番目以降の患者、そして親族、みんなイライラしていた!!
ナースさんに文句を言ってる患者もいた。
男のことを心配する親族は「大丈夫か!!大丈夫か!!」を連呼している。
男は、少し笑みを浮かべて「大丈夫!俺運が良いから!!」そういうやり取りがあるうちに二時間遅れで手術は開始された。
男の順番がやって来た。
ナースさんが車椅子を押してきて、遅れた謝罪をしながら目の前にやって来た。
男は、「大丈夫!自分で歩いて行きます。」
最近、ほとんど口を聞いていなかった嫁の肩を借りて手術室まで歩いていき、「じゃ行ってきます!」と、また帰ってくる約束をした。
嫁は黙って見送ってくれた!
何度もやって来る恐怖と不安!
「我は宇宙霊と一体なり!」
今回の入院中読んだ本の中で一番効き目があった言霊で気持ちを浄化して手術台までたどり着いた。
手術台までたどり着いた時、吐きそうなほどのパニックがやって来た!!
やっぱり逃げよう!
男は最後の最後で心が折れた!
人生とはドマラチックに出来ている!
逃げようとした!その時、あの苦手だった先生が頭を優しく押さえて
「お待たせしましたね。もう大丈夫ですから。」と言って全身麻酔のマスクを口に持ってきた。
男は一瞬にしてパニックが解けて笑顔で「大丈夫です。」と言った!
人の人生とはどんな波瀾万丈なドラマや映画より絶妙なタイミングとシナリオで出来ている。
どんなハプニングやトラブルが起きようとも“無限小の力”今できるだけの力で笑顔と言葉を発し続けたとき奇跡は起きる
この一瞬の会話だけでパニックは消えていた。
まだ男には神様という概念はない。
ただここまでパニックに打ち勝って来た言霊は「我は宇宙霊と一体なり!」
宇宙を(神を)感じてる人に悪いことは起きない。
あの苦手だった主治医の先生の声が神の声に聞こえた!
安心したまま手術が開始され男はある経験をした。
肺の手術をしたときは手術中ほんとに真っ暗闇だった。
目が覚めたときも泣きながら家に帰りたいと言っていた。
今回は手術中ずーっと光の中にいた。
目が覚めたとき親族や回りの人たちに「ありがとう」「気持ち良かった~」と感謝の言葉と意味不明な言葉をいっていた。
母親は泣きながら男の手を握りしめ「もう泣いてもいいやろ!」と言っていた!
いつも男の顔を見れば泣くか不安になるようなことばかり言うので出入り禁止にしていた!
男は泣く母親に笑顔でうんうん!とうなずいていた!
同じ命にかかわる出来事でここまで明暗が分かれる経験が出来た事がこの先更なる波瀾万丈な人生に役立って行くのはもうちょっと先の話!!
男は数年ぶりに心配もなく爆睡していた“笑顔”のまま!
つづく




