第1話:江津西ランキング
大阪府吹田市江坂に江津西中学がある。
この物語の主人公はその中学の3年ゴリと呼ばれる坊主頭の男だ。
3年の初日。
ゴリと同じクラスのお洒落なパーマをあてたショウが教室で話しをしていた。
「転校生?こんな時期に?」
「ホンマやって!なんか尼崎の方かららしいで。」とショウが言った。
「クラスは?」
「3組や!」
「なんや1組ちゃうんか。」とゴリが言うと間髪入れずショウが
「まぁ、どうせ男らしいからそんなに落ち込むなや。」と言った。
「男なん?ほんならどうでもええわ…。」とゴリは右手をアゴにあて外を眺めた。
その日初めてのチャイムが鳴った。
…3組
「転校生の白川 勇輝くんです」と先生が自己紹介をした。
すると、かるい金髪リーゼント頭のユウキが一歩前にでた。
「この学校で一番強いヤツは誰や!!」と、大声で怒鳴った。
するとソフトモヒカン頭の小太りの1人の男が席を立った。「お前…」とその男が目を閉じ小さく呟いた。
「お前が1番強いんか!?」とユウキが言うと、男が目を開け
「調子にのってんちゃうぞ!!」と怒鳴りかえしユウキの方に走っていった。
その日の放課後。3組
「で?その転校生は?」
「リョウチンにボコボコ」
「マジで!ハッハッハハハ!ダッサ!」
すると教室にユウキが入ってきた。「よう!転校生大丈夫かぁ?」と声を掛けたは背の高いテルだった。
「なんやねん!」とユウキはうっとうしそうに言うと。
「まあまあ!そうカリカリすんなや。仲良くしようや。」
「あん!?」とユウキがテルを睨むと
「お前!根性ありそうやし、この学校で強いヤツを教えたるわ。」と言いテルはユウキの肩を叩いた。
すると茶髪の背の低いトミーが黒板の前に立ち説明しだした。
「ええか?まずはお前が負けたリョウチンはうちの10番」
「10番?」とユウキはあっけにとられた。
「次に…
9番は1組のショウ
8番、2組のアベベ
7番は俺
6番、4組マンゾウ
5番そこにおるテル」とトミーが言うとユウキはテルの方を見た。
するとテルは得意気にユウキにむかいピースをした。
「じゃあ次からは別格ゾーン!
4番、3組のタイキ
3番、4組のようすけ
2番、2組のカートやな!
こいつらはドングリの背比べや。
こいつらにはケンカ売らん方がお前の為や。1年の時に、3年10人を病院送りしたり、2年の時高校生相手にケンカしたり、なんせめちゃくちゃや!」とトミーがユウキに言うとテルが黒板に向かいチョークを取り
「そしてそんな別格な3人をはじめ俺たちをまとめてるのが…1組のゴリ!」と大きな字で書いた。
「ゴリの強さは半端ちゃうで!からだゴツいだけじゃなく、空手、柔道はじめ、締め技やケンカのセンスもめちゃくちゃええ、まじでありえへんくらい強い。」
とテルがチョークを置くとユウキは口を開いた。
「俺は尼崎の学校でNo2やったんやぞ…そんな俺が圏外って…」悔しそうにユウキが言うと、
「まぁ。気にすんな!上には上がおるからな。ハッハッハハハ!」とトミーが笑いながら帰る用意をしだした。
「まぁ!校内でのケンカはやめとけ!どいつもこいつもそこそこ強いから。仲良くいこうや!」とテルも帰る用意をしだした。
すると教室のドアが勢いよく開いた!
バターン!!
3人はビックリしてそっちに目をやった。
そこには茶髪のロングをなびかせた女の子が立っていた。
「トミー!テル!カート見いひんかった?」と怒りながら女の子は言った。
「…部活ちゃうかな…」とトミーが苦笑いしなが言うと、
「部活に行ってなかった。」と女の子は答えた。
「じゃあ…」
とテルは上を指さした
女の子は天井を見つめ
「屋上…?」と言いそのままいそいで立ち去った。
「今のは?」とユウキが呆気にとられながら言うと、
「今のは校内No1のカワイイ子やけど怒らしたら怖い女子No1…」とトミーが言った。
「ちなみに2組カートの彼女のマイリン。あれに逆らったら女子みんな敵になるから要注意…」とテルが言った。
「そうなんやぁ…(俺とんでもない学校に転校してきたかも…)」とユウキは下を向き帰る用意をしだし。
そして3人は帰った。
その日の夜、江津公園
「お前何で部活こんかってん?」と言ったは背の高いロン毛頭のヨウスケだった。
「あぁ…江津中のウェポンとケンカしてた。」と言ったのは短め茶髪に帽子を横向きに被ったカートだった。
「またかぁ!?お前ら好きやな!
で?どっちが勝ったん?」とヨウスケは呆れてたように言った。
「俺…」「2勝1負かぁ…またアイツお前にケンカ売りに来るな!ハッハッハハハ!」とヨウスケは笑いながらカートの肩を叩いた。
「売ってきたらまたボコボコにしたるわ!」
「まぁ…ケンカもええけどバスケ出来る程度にな!」
「わかってるわ!」
「俺ら夏、全国行けるかな?」と言いながらヨウスケは夜空を見上げた。
「当たり前やろ!俺ら上手いし。」
「相変わらずその自信どっからくんねん。全中となるとそんな自信つくんやな。」
「まぁな!大阪選抜止まりと違うから。ハッハッハハハ!」とカートは笑いながらヨウスケの肩を叩いた。
「お前しばくぞ!」とヨウスケは言いカートを冗談で睨んだ。
すると二人の背後から大人の男の声が聞こえた。
「健全な中学生がこんな時間に何してんねん!?」
二人はビックリして振り返った!
「松さん!!」と二人はさらにビックリして声をあげた。
それは吹田警察所の松さんだった。「すいません!すぐに帰りますんで…」とヨウスケは言いすぐに立ち去ろうとした。すると
「カート!?」と松さんは呼び止めた。
「なんすか?」とカートは振り返った。
「お前、最近暴走族狩り起きてるん知ってるか?」
「あっ!はい…。確か吹連の『忍』がボコボコされて単車燃やされたりしてるみたいっすね。」
「そうや…それでや!暴走族のチーム『忍』がな、吹田連合の全チーム集めて動き出してんねや。」
「それで…」
「暴走族のヤツらがそいら探しまわってんねんや。」
「へぇ…その暴走族狩りしてるやつらは誰なんですか?」
「何処の連中か、誰かはわからん。ただ情報としてそいつらは通称『白』って呼ばれてるんや!その暴走族狩りは全員、白ハンカチ頭や腕に巻いてんねや。」
「ハンカチ?」とカートが考えると
「バンダナの事やろ!」とヨウスケがカートに言った。
松さんは自分が間違った事に気付き恥ずかしそうにした。
「まぁ…どっちでもええわ!お前らその『白』の事なんか知ってるか?」
「さぁ…?」とヨウスケが言うと
「そうか…そうやったらええわ。ただお前ら気付けや…」と松さんは意味深に二人に言うと。
「どう言う事ですか?」とカートはさっきまでの穏やかな目付きから一変し松さんを睨んだ。
「まぁ、中学生のお前らがしゃしゃり出ると痛い目にあうちゅう事や!」
「わかってますよ。じゃあ俺ら帰るんで。」とヨウスケは言い二人は家帰った。
それから1ヶ月の月日がたった!