ボス戦に備えて
更新に時間がかかってしまい申し訳ない。
いつの間にか評価が100p越えててビックリ ( ̄□ ̄;)!!
読者の皆様に感謝です (o・ω・o)
【迷宮探索3日目】
………ガジガジ、ガジガジ。
迷宮に潜ってはや3日。
ここでは食事ぐらいしか娯楽と言える物が無い筈なのに、もう食事に楽しみを見出せなくなってきました。
くそっ、私は何故こんな物を食料に選んでしまったんだっ!!
安さ優先で選ばず、もう少しいいものを買っていれば同じ黒パンでももう少し味がいい物があっただろうに。
私はなんとか黒パンを喉に流し込むと、さっさと探索の準備に取り掛かった。
昨日の三層の探索で予定よりも時間をかけてしまったので遅れを取り戻すべく、私は少し早足で四層の探索を進めていた。
この階層の魔物は今までの階層で見た魔物よりも身体が大きく、力も強くなっていた。
とは言え四層で出没する魔物も二・三層で出没した魔物と顔ぶれは同じなので少し強くなっても行動パターンは変わらない。
少し倒すのに時間がかかるようにはなったが特に苦戦せずに出てきた傍から魔物を蹴散らしていく。
ふむ、四層でこの程度の強さなら五層突破もいけそうかな……。
五層ではボス級の魔物が出るという話だが所詮は浅層の魔物、そこまで極端に強くなるという事は無い。
そして五層さえクリアしてしまえば………
「美味しいご飯が私を待っている!」
うん、俄然やる気が湧いてきた。
魔物共よ、今の私を止めれるものなら止めてみるがいい!!
食欲を満たさんが為、私は更にペースアップして探索を続けた。
この階層の魔物は今までよりも強くはなっているが三層のように群れている個体が少ない。
おかげで素材回収の手間隙が省けて、予想以上にスムーズに探索を進める事ができていた。
この調子で行けば四層の攻略はそう時間をかけずに出来そうだ。
さっさと攻略したい一心で魔物と遭遇すると単体ならば魔法を駆使してさっさとあしらい、群れなら避けるように通路を迂回して先を進んでいく。
三層では蝙蝠共に不覚を取ってしまったがその教訓を活かし、素早く進みつつも今まで以上に神経を尖らして僅かな魔物の痕跡も見逃さないよう進んでいるのでもう不意を突かれることは無いだろう。
この階層の探索でレンジャースキルが一気に身についたような気がする。
………まあ、戦闘も索敵も全部自分でやらなきゃいけないソロじゃなければ必要ないの技能なんだろうけどね。
レンジャースキルが身につき喜ぶべきなのに素直に喜べず、もやもやした気持ちのまま探索は続いた。
「おお、やっとか………」
四層の終着点、階段前の広間に私は無事到達する事ができた。
魔物の強さを考えればそこまで大したことではないのだろうけど、それでも当初の目標をちゃんと達成できたことに胸の内が喜びに満たされていく。
何事でも初めての行事でうまくいったら嬉しいものだ。
私の場合は特に迷宮都市に来てからは失敗続きだったから嬉しさも倍増モノだしね。
やっぱり小さなことでも成功体験ってやつは大事だわな。
失敗続きだとマジで心が病んじゃうし。
私はふんふーんと鼻歌交じりに気分よく野営の準備をしながら五層のボス級魔物について考えていた。
一定階層ごとに現れるボス級の魔物はそれまでの階層に生息していた魔物の進化系であることが多いらしい。
もしそのボス部屋に至るまでの階層に下位小鬼がいたなら中位小鬼が、下位蜥蜴がいたなら中位蜥蜴と具合に探索中に闘った事のある魔物の親玉ともいうべき存在が居座っているのだとか。
強さはギルドの定める魔物ランクだと2つ上がってDランク相当、ボス級魔物は亜種固体になるらしく、普通の魔物と比べてだいぶタフなのでランクが高く設定されてると聞く。
ソロで闘うと長期戦になりがちで体力的に不利になりやすいのでギルドからはパーティーで闘う事を推奨されているが、私は師匠である爺さんからCランク程度の実力はあるとお墨付きを貰っているので負けることは無い筈。
ただ懸念があるとすれば妖魔術は魔法職としては火力が低すぎるという事だ。
他の魔法職とは違って妖魔術は直接破壊に繋がる魔法は少ない。
その数少ない魔法にしても魔力を食う割りに火力が低いという欠点がある。
普通のEランクの魔物なら問題ないがタフなボス級魔物が相手だとそれだけで倒せるか不安が残る。
下手に使いすぎればすぐにガス欠になってしまうしね。
ここは妖術師らしくデバフで弱体化させて物理で殴った方がうまくいきそうだ。
長期戦になってしまうだろうから体力的に心配は残るがそれはソロなので仕方が無い。
まあ、いざとなったら奥の手といえる手段があるのでなんとかなるだろう。
ただし人に見られると非常に不味いので使わないに越した事はないがね。
私は食事を終えると思考を打ち切り明日に備えてさっさと眠ることにした。
どうせ今色々考えてたってなるようにしかならない。
それなら少しでも英気を養ったほうがいい。
荷袋を枕にして横になるとすぐに瞼が重くなり思考に靄がかかる。
徐々に意識がまどろみ、ふわふわとした気持ち良さに包まれた。
………おや、すみ………なさ、い………
「いやあああああああああああああああっ!!!」
「ーーーッ!?」
突如何処からか悲鳴が響き渡った。
私は慌てて飛び起きると、手元に置いてあったナイフを構えて周囲を見渡した。
広間には私以外の第三者の存在は見当たらず、異常は感じられない。
私は辺りの気配を探りながら急いで装備を身に着けた。
聞こえたのはどう考えても悲鳴だった。
何が起きているのかは分からないが異常事態が起きたのは確かだ。
「-----ぁぁぁ………」
微かだがまた悲鳴が聞こえた。
五層へと繋がる階段の方からだった。
「一体何が……!?」
私は荷袋はそのままに階段へと駆け出した。