プロローグ:異次元と居眠り
松陽高校の2年A組は6月19日を境に異次元に姿を消した。大人数失踪事件が起きた日に隣のクラスの先生の証言の台詞である。
2月16日
この日は空に雲一つない素晴らしいほど陽気な天気だった。
給食後の眠くなる数学の授業に北神は瞼を凝らしながら起きている。
数学の数式が心地よい子守唄に聞こえてきた北神は隣に座る幼馴染の忠告にも耳を貸さずに睡魔に体をゆだねるとゆっくりと心地よい時間が訪れてきた。
彼にとってこの授業はわからなくても問題ない……なぜなら、"常勝北神"と呼ばれる北神は紛うことない天才だったからだ。
それを分かっている教師も彼が寝ているのに忠告も何もしなかった。
そして何も問題ない日常が流れるはずだった……
-「あーあー、マイクテストマイ…ザー…ト…ザーザー…イクテスト……」
突然の校内放送に北神だけでなく、多くの生徒は突然の校内放送にざわつき出す。
ノイズ音の間から流れる幼い少年の声が「おかしいな?」と言いながらマイクをボンボンとする音が聞こえたかと思うと咳払いをして話しかける。
「やぁ、皆……僕は神様で名前は手塚治虫って言うんだ。唐突だけど皆を…2年A組をここではない世界……人呼んで"異世界"に招待しよう」
自称神様が他称神様を称してクラスに向かって電波発言を発する。
クラスの全員の顔から色々な顔がある「何言ってんだコイツ」という変質者やアホを見るような顔で校内スピーカーを見つめる者、「どういうこと!?」と慌てふためくように席から立ち上がって慌てる女子生徒、「ついに俺にもやってきた!」と喜色の表情を顔からあふれ出させるクラスの一般人…三者三様、十人十色ともいえる表情の人々の中、北神はぶれなかった。
ざわつき隣の幼馴染に揺らされてる北神は気だるそうに顎に手をつき見えるか見えないかまで目を細めている北神は幼馴染の手の揺れと同じリズムで左右に揺れている。
その息は規則正しく、この騒ぎに動じていないのも良く分かる。
ただ、これを冷静沈着というにはいささか可笑しいだろう。
―彼は単純に寝ているだけなのだから
「君にこそしっかり聞いてほしかったんだけどな」
困ったような幼い手塚治虫の声は堂々の中にかすんでいく。
静まり返らないクラスにほかのクラスの先生が気になって教室を見に来た瞬間、「では異世界へご招待!」という少年の声と共に2年A組に静寂が訪れたという。
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