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戦慄の魔術師と五帝獣  作者: 戸津 秋太
一章 戦慄の魔術師の帰還
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二十三話

 実技室に向かう前にメリアが待っているであろう教室に向かう。

 中に入ると、案の定メリアが待っていて、僕に気づくと席を立ち駆け寄ってきた。


「用事が済んだのですか?」

「いや、その――」


 言いにくい、今からブラムと決闘をするなんて、言いにくい。


「どうかしたんですか?」

「まだ時間がかかりそうだから先に帰っててくれるかな」

「え、でしたらついていきましょうか?また教室まで来ていただくのも申し訳ないので」

「いや、だから先に……」

「ついていきます!」

「わ、分かった……」


 なんでここまで一緒に帰りたがるんだろ……。


 メリアと一緒に実技室に向かいながら、連れて行っても大丈夫なのかな?と思いながらも到着した。

 中には既にブラムやグラエム先輩や会長たちと……なんでゲイソンとアイリスが?


「あ、フェイ」


 僕に気づいたゲイソンが話しかけてくる。


「ゲイソン、なんでここにいるの?」

「なんでって、【エンチャントボディ】の練習だ。お前は?」

「あ、僕は……」

「今から決闘を行うのでこの場をお借りしたいのです」


 決闘をするのを言っていいのか悩んでいると、会長が先にゲイソンに言った。


「決闘?」

「はい。フェイ君とブラム君の」


 言って大丈夫なのかな、と思いながら会長を見る。


「おいおい、なんで決闘なんかするんだよ」

「成行きです」

「成行き?」

「ええ、とりあえず実技室をお借りしたいのですが、よろしいですか?」

「え……まあ」


 チラリと僕を見ながらゲイソンが承諾した。

 メリアを見ると、「け、決闘……」とあたふたしながら呟いていた。



 メリアを宥め、ブラムが立っている部屋の中央へ向かう。

 ゲイソンやアイリス、それに二年生の先輩たちが会長と一緒に部屋の隅に設置された結界のようなものに入っていた。

……ゲイソンたち、見るつもりなのかな?


「おい、早くしろ!」


 ブラムが待ちくたびれたように言う。


「それでは、どちらかが降参と言うか、私が戦闘不能と判断するまで続けてもらいます。一応回復魔法は使えますが、怪我については自己責任ですのでほどほどに……では、始め!!」


「けがは自己責任……か」


 そう呟いて不敵な笑みを浮かべるブラム。

 絶対僕にけがをさせる気だ。


 ブラムが先に【火の初級魔法 ファイヤーボール】を行使する。

 精霊魔法はなぜか、まだ使わないようだ。

 火の玉が十個近く空中に出現し、フェイに襲い掛かる。


「しねえ!【ファイヤーボール】!!」


 物騒なことを口走りながら放たれた火の玉を、フェイは【系統外魔法 エンチャントボディ】を行使し、襲い掛かってくる火の玉を避ける。


「あいつの魔力、綺麗だな」


 グラエムがそう呟くと、その場にいたものが同意するように頷く。

 フェイの身体は今、白い純粋な魔力によって包まれている。


 火の玉をすべて避けたのを確認したブラム、


「やっぱりお前にはこの程度の魔法、通用しねえか!」


 口角を上げ、そう叫ぶ。


「ブラム、君の魔法はこの間通用しなかったでしょ。上級魔法が使えないなら、僕には勝てないよ」


 そう、ブラムはまだ中級魔法までしか使えない。

 そして精霊魔法もこの間のやり方で相殺すればブラムに勝ち目はない。


「上級魔法、ねえ」


 さらに口角を上げたブラム。

 そして、その直後――――――――


「これが、お前の言う上級魔法か!!」

「なっ――――!」


 突如、火の波が出現しフェイに迫る。

 それは、【火の上級魔法 フレイムウェーブ】……。





 まごうことなき、上級魔法だった。

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