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戦慄の魔術師と五帝獣  作者: 戸津 秋太
一章 戦慄の魔術師の帰還
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十七話

 教室に戻ると、すでに何人かの生徒が移動を始めていた。


「おっ、フェイ。お前具合は大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ」

「そうか。次実技だから移動だとよ」

「実技?」


 今までの授業は全て魔法についての理論を学んでいた。

 まあ、入学したてなのだから当たり前だけど。


「つっても、魔法は使わねえってさ。何か魔力操作をするだけらしい」

「そうか……」

「あの、フェイ様」

「んっ?」


 メリアが突然話しかけてくる。


「私、その、魔力操作がまだ……」

「あ、そっか。分かった、後で一緒にやろう」

「はい!」


 とりあえず実技室に向かうことにする。

 歩きながらゲイソンがぼやいていた。


「魔力操作か、俺苦手なんだよなあ」

「あら、あんたに得意な事なんてあるの?」

「何だと!俺にだってあるわ!」

「例えば?」

「…………睡眠、とか?」

「あー、そっか、ごめん」


 アイリスがゲイソンに謝る。


「そんな目で俺を見るな!」

「ゲイソン、早く行くよ」

「ああ……」


 肩を落としながらこっちに歩いてくるゲイソンに、アイリスが肩をたたいて慰めの言葉をかけていた。


「大丈夫、睡眠も大切な事よ」


 そう、慈愛のこもった声で……。





 実技室につく。

 中はオレンジ色をした壁に覆われていた。


 アーロン先生はすでに来ていて、僕たちに整列するよう促す。


「よし、お前たちに今から魔法の実技を行ってもらう。と言ってもまずは基本中の基本、魔力操作からだ!」


「えー」とか、「そんなこと今更やる必要ねえよ!」といった声が生徒たちの中から聞こえてくる。


「いいか、よく聞け!お前たちはおそらく初級魔法を覚えだした辺りから魔力操作の練習をしなくなってきているだろ。そして魔法の階級が上がるごとに強くなる、そう思って階級を上げることだけに専念して来ただろ!」


 図星をつかれたのか、ほとんどの生徒が肩を震わした。


「階級が上がるごとに魔法が強くなる、それは正しくもあり間違ってもいる。魔力の練りが甘い魔法は、例え上級魔法であっても魔力の練りが強い中級魔法に負ける。そして魔力の練りが強いと例え精霊魔法であっても受けきる事が出来る」


 そう言ってアーロン先生が僕を見てくる。


「いいか、基本をしっかり押さえないやつに応用をやらせるつもりはない、それが俺のやり方だ!文句がない奴は始める、文句のあるやつは黙って言う事を聞け!」


「「「「「サー、イエッサー!!!」」」」」


 軍隊のような受け答えをする生徒達。



 フェイは内心で感嘆の声を上げていた。

 いつもはだらしないアーロン先生が、こうも正しいことを言い生徒たちを引っ張って行けることに。





……最後にドヤ顔さえしなければ、そう思っていただろう。

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