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戦慄の魔術師と五帝獣  作者: 戸津 秋太
一章 戦慄の魔術師の帰還
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プロローグ

 この世界の極東に位置する大陸。

 その大陸には強大な力を持つ魔物が多く生息している。

 そのため、この大陸には人は入らず、いつしかこの人類未開の地を『暗黒大陸』と呼ぶようになった。

 人々がこの危険極まりない大陸から目を背け、ほかの大陸や島々で平穏な日々を過ごしていた。

 しかしそれは、無情にも簡単に砕け散った。





――――聖暦せいれき900年。

 

 後に、『平穏の消失』と呼ばれるようになるこの年に現れた"それ"によって……。


 暗黒大陸より突如として現れた『魔族』は海を渡り、人々が住む大陸へ上陸を始めた。

 これから起こる非道な侵略行為……その指揮を執っていたのは、魔族の中でも絶大な力を持っていた男、彼は自らを『魔王』と名乗り、暗黒大陸に近い、人々が住んでいる大陸の東側を侵略し、その周辺諸国を蹂躙していった。


 魔族の、ある者は火を、ある者は水を、ある者は風を、ある者は土を、ある者は雷を、ある者は闇を虚空より生み出し、抵抗する人間を無力だ……と、嘲笑うかのように……。





――――聖暦920年。


 平穏の消失から二十年が経ち、その間にも魔族に侵略され行く中で、世界中の研究者が魔族の行使する特異な力について研究を重ね、ついにその力を解明し、人間の中にもその力を使って魔族に立ち向かうものが現れるようになる。

 人類はこの力を、『魔法』と名付けた。


 魔法は、世界の三分の二近く取られ、ただ魔族のなすがままになっていた人類にとっての希望となり、彼ら……魔術師の存在によって人類は生き延びることができた。


 だがこれは、ただの延命処置に過ぎない。


 残り少ない領土となった人類は奪われた領土を取り戻すため、独自の……魔族の力を凌駕できる力を探し、求め始める。

 その中で彼らは、"自然現象"に目を付けた。

 魔法によって引き起こされる現象が自然に起きることには、人とは違う……何か別の存在によって引き起こされているのではないかと……。





 そして聖暦935年……ついに『精霊』を発見する。


 彼らとの契約によって行使できる『精霊魔法』によって、人類は魔族の大半を暗黒大陸に追い返すことに成功する。

……それは、35年前に自分たちのされたことのお返しだと言わんばかりに、魔族の行使する『魔法』を、人類の行使する『精霊魔法』によって飲み込み、凌駕していった。



 しかし、人間の何たる愚かなことか。



 魔族によって同胞たちが危険にさらされているときは互いに協力し、やっとのことで魔族に対抗する力を手に入れたのに、今度はそれらを人類同士の争いに使うようになった。

 魔法や精霊魔法がなかったころに比べ、戦争は大規模かつ長期化し、死傷者も多数出た。

 当然のことながら人類の戦力は大幅に減少した。

 このことで魔族に付け入る隙を与えることになった人類は危機感を覚え、世界中の国々によって『人類共同統一戦線条約』が締結されることになった。


 この条約には国家間における不可侵や、精霊を使役する者……『精霊術師』とそれに類するものを育成する機関、『精霊術師育成専門学校』……通称、『精霊学校』の設立の義務付けなどがなされた。



 彼らは生徒として精霊学校に入学する。

 だが……





――――――この学校に入った瞬間から、彼らは"生徒"ではなく、"兵器"となる。


 彼らの向かう明日には、魔族との血みどろの争いへの参加……果てには人類同士の争いが待ち構えている。

 それらを考えず、ただ己の力を磨くために、今日も生徒へいきたちが門をくぐる。

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