今夜は雪が綺麗ですね?
今夜は雪が綺麗ですね?
初めはゆっくり
次いでしんしん
今となっては、降り積もって
思えば、随分と雪も積もったものです
雪が降り始めたのは、思えば何時からだったでしょうか
あまりにも自然に降り始めたもので
私は、いつ雪が降り始めたのかも分からなくて
だけど、ただ雪だけが降り積もって
こんなに積もるまで、気付くのが遅くなっちゃいました
そう
こんなになるまで降り積もって
こんなになるまで降り積もってしまって
この雪が溶けてしまう未来が、こんなにも辛くて、悲しくて
でも雪は
やっぱり何時かは溶けゆくものだから
雪はやっぱり仮初のしるし
何時までもあるものではないから
解け際だけは鮮やかに
そう、思うのは私の欺瞞でしょうか
それとも、貴方は
私が頼めば
この雪を大事に守ってくれるのかしら
なんて、淡い期待
――してしまっても、いいのかしら
「今夜は月が綺麗ですね」と言うと口説き文句の常連句な訳ですが、
個人的には恋というものの大半は、
「月」であるというより「雪」であると思っています。
降り積もっていく恋心。綺麗な思い出の初恋。儚く溶ける恋。
貴方も恋をそのように感じたことはないでしょうか?