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タイムカプセルの中にあった手紙は何?

 お互いの腕が触れ合いそうで、触れ合わない微妙な距離。

 そんな距離を保ちつつ並んで歩く。


 なんだか、俺の鼓動がどきどきと高鳴っている気がする。

 のんちゃんと言うカノジョができてはいるが、やはり玲奈の事が好きだと言う気持ちを完全に消し去れた訳じゃない。そう言う事だろう。


「うまくいってるかな、あの二人?」

「さあ。どうかな。うまく行けばいいんだがな」


 まあ、なるようにしかならない。それが事実だ。


「そう言えば、まーくんも、カノジョ持ちになったんだもんね」


 その言葉に横を歩く玲奈に目を向けたが、玲奈は真正面を見たままで、ちょっと横顔は「ふん!」と言う感じだ。


「いや、あれは」と、弁解しそうになった自分の気持ちを抑えた。

 そう。のんちゃんこそ、俺のカノジョなんだ。そう思いこもうと、一人頷いた。


「ま、ま、まあな」


 俺の言葉に、玲奈はちらりと振り向いて、きつい視線を残して、足を速めた。

 男の俺が遅れをとる訳にはいかない。俺も足を速めた。


「あのさ」


 追いついた瞬間に、その言葉が出た。


「あのさ、何か怒ってるの?」明らかに喧嘩中ならともかく、そうでもない女の子にそれは失礼だ。顔つきがきついと言っているようなものだから。

 途中で、止めた言葉。

 玲奈が無視してくれれば、無かった事にできると言うのに、玲奈は俺に目を向けた。


「何よ?」


 続きを督促されてしまった。


「あ、あのタイムカプセルの中にあった手紙。何が書いてあったの?」


 そう口走ってしまった。

 気になってはいた事だ。

 俺への手紙と対をなす手紙。

 そう俺は勝手に思い込んでいて、中身が気になる。


「まーくんが私にくれた手紙よ」


 冷たい視線だ。

 だが、俺には心当たりがない。

 ちょっと首を傾げた。俺の反応を見て、玲奈の表情はさらに厳しくなった。


「ばか」


 吐き捨てるようにとは、今の玲奈の態度を言うんじゃないだろうか。そう思うくらいの冷たさだ。


 俺の家を出た時はこんな感じじゃなかったはずだ。

 なんだか、俺たちの関係がますます悪くなっている気がするじゃないか。

 どうすれば、この少し険悪な雰囲気を払しょくできるのか?

 そんな事を考えている内に、コンビニに到着した。



 コンビニの中は帰宅途中に立ち寄りましたって感じの高校生数人と、仕事の途中に寄り道してますって感じの大人の人が数人いた。

 レジには俺たちより一足先に学校が終わり、バイトしてますって感じの女の子がいた。


「何がいいと思う?」


 玲奈のご機嫌をうかがうように、ちょっとたずねてみた。


「やっぱ、スイーツでしょ」


 そう返事はくれたが、まだ表情は硬い。


「だよなぁ。コンビニスイーツ美味しいもんな」


 俺は玲奈の前に回り込んで、笑顔で言ってみた。


「ばか」


 また、ばかと言われたが、さっきとは違い、玲奈の顔には笑みが浮かんでいた。


 俺と玲奈は4人分のスイーツと飲み物を買って、コンビニを出た。

 コンビニに入る時と違って、和やかな雰囲気。

 このまま、手でもつないで歩きたいくらいだ。


「あ、そうだ。ついでにちょっと別の物買ってくるね」


 玲奈がそう言って、コンビニに戻って行った。

 俺は玲奈が戻って来るのを待ちながら、辺りに目を向けた。


 ちょっと離れたところに、俺の高校の制服を着た女生徒が一人。その前には男が立っているが、後姿なのでその顔は分からない。ただ、どこかの高校の制服とかではなく、黒っぽい私服姿だ。


 女生徒の青色のチェックのリボンの色から言って、三年生らしいが、俺は知らない人だ。

 ちょっとブラウンがかったストレートの髪。

 大きな瞳に負けないくらい高い鼻は少し離れたここからも立体感を漂わせている。きれいな顔。とは、こう言う人を言うんだろう。


 もう少しそのきれいな顔を拝ませておいていただきたい。そう思うと、目がその子から離れられない。

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