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8 「盗人の妻」
昔、フィンランドのあるところに盗賊が一人いました。盗賊は村や町の人家に入っては高価なものを奪い取り、ときおりその品々を妻に与えました。
しかしある日、豪勢なネックレスを妻が付けていた所、元の持ち主がそれを見つけて自分の物だと言いました。
不審に思った妻が夫に問い詰めたところ、盗みを打ち明けました。
妻は驚いて盗品を持ち主に返し、その足で夫から離れ旅に出てしまいました。
「俺が悪かった、戻ってきておくれ」
盗賊は妻を捜したが見つかりません。そのうち捕らえられ、首をはねられてしまいました。
盗賊の首は切られても言ったそうです。
「俺が悪かった、妻よ、お前はどこにいる」