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3 「白鳩のムクティム」
アッサラームアレイクムという町はイスラム教の盛んなところです。この大きな町の近くに村落がありました。
十字軍の折にはキリスト教の騎士団たちが押し寄せました。
どちらの軍も相手を屈服させようと残酷な戦法をとりました。敵が怯むように、怯むようにと略奪や殺生を繰り広げました。
ある時、この小さな村落のそばで両軍が対峙したとき、一羽の白い鳩が舞い降りました。
鳩は人の声で聖書とコーランの一節を読み上げました。
これに驚いた両軍の兵士たちは互いに戦争を止め、去っていきました。
白鳩にはムクティムという名が授けられ、村落の長はずっとこの話を子らに伝えたそうです。
南米の民話「ハチドリのクリキンディ」が好きなので、換骨奪胎をしていたらこんな内容に。似ているのはタイトルだけになってしまいました。