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2 「飛ばない鳥キウイ」
森の神さまタネが新しい生き物を作るときに、世界中の鳥たちを呼び集めておっしゃいました。
「今度森に生まれる鳥は空を飛ぶことが出来ない。だから地上でひどい目にも会うが、誰かその役目を負う者はいないか」
オウムが真っ先に答えました。
「神さま、わたしはもう極彩色の体です。その役目は負えません」
そうして、ほかの鳥たちも口々に断りました。
しかしキウイだけは、うなずきました。
「そのお役目、引き受けましょう」
そうして、キウイはほかの生き物たちによく食べられてしまうようになりましたが、森の神さまタネに仕える瑞鳥となったそうです。
このマオリに伝わるキウイ伝説は、なぜか新約聖書のイエス・キリストを彷彿とさせます。私たちが知らない歴史と歴史の間で醸成された民話にはどこかに共通点が出てくるのかもしれません。