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魔法少女代行つきみ ~交差する太陽と月~  作者: てらい
第一章 墜ちた太陽と月
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束の間の安息

「ふぁ、はぁ~~~」

 盛大に伸びをし、あくびをする。

 昨日の疲れが残りすぎている。少し動いただけで節々は痛いし、そこらじゅうが筋肉痛である。

「にしても・・・・遅いだろ」

 何が遅いかというと、もちろん・・・

「つきちゃん、おはよぉ~!」

 こいつである。幼馴染である。入江舞である。

「待ったぁ?」

「待ちまくったよ!」

 午前8時20分。

 これがいまの時刻である。あと5分でホームルームが始まってしまう。どう考えても間に合う気がしない。

「ごめんごめん、今日はどのリボンにするか迷っちゃってぇ~」

 今日は昨日とは違い、水色のリボンをしていた。

「迷っちゃってぇ~、じゃねぇよ!まったく・・・・」

 昨日、舞からメールがきて「明日の朝、7時50分に家の前で待っててねぇ~」とのことだったので、来てみればこれである。

「ほら、早く行くぞ」

 舞の手をクイッと引っ張り走り出す。

「あ、ちょ、つきちゃん、待って~」

「待てね~よ。どう頑張っても遅刻するだろ」

「じゃあ、遅刻すればいいじゃん。走るの疲れるし」

 こいつのその考え方は、世間に悪影響を及ぼすだろう。

「・・・あ・・」

 そのとき、昨日出会った老犬が路地裏から出てきた。

「あ、昨日のワンさん」

 老犬は目の前にやってきて、

「ワン!」

 とだけ言い残し、路地裏へと帰っていった。

「なんだったんだ?」

「さぁ?」

 二人で顔を見合わせ首をかしげる。

「っと、こんなことしてる場合じゃなかった。ほら!」

 催促するように手を伸ばす。

「え~、結局走るのぉ」

 悪態をつきながらも一緒に走る舞。

 こうして、束の間の日常に戻っていくのであった。

 その後、あの老犬を見たものはいなかったという。

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