交差する太陽と月
日が山へと沈み、海は紫に輝いていた。
「始まったか……」
波が打ち寄せる浜辺で、フレッドは遠く海上を舞う二つの影を見つめる。その隣にはつい先程到着した紅髪の少女も立っていた。
「彼を信じるしかないさ」
同じく海上のその先を不安そうに見つめるアレスに、フレッドは優しく声をかけた。
国も民も何も関係ない一人の少年が、皆で手を取り合える世界を望んでくれた。それは少女たちでは選択できなかった道。
「君も信じたからこそ、ここにいるんだろう? だったら最後まで見届けないと駄目だ」
――――――そう、彼女の言う通りだ。何よりも自身がそれ望んだのだから、信じなければ。
「つきクン……」
零した少年の名が波の音にかき消される。
遠くで戦う彼を思えば思うほど、助けに行きたい気持ちに駆られる。でもそれは、彼の気持ちを裏切ることになる。だから、ここで見守らなければいけない。彼が彼女を連れてここに帰ってくるのを待たなければいけない。
「……つきクン」
再び呟いた少年の名は風に流されていった。
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激しい剣撃。ファルスコールの目にも止まらぬ一撃一撃を高村月海は何とか防いでいた。千草凪の一太刀とは違い、止む事のない連撃。千草と比べれば一撃は遅い。しかし、幾度となく繰り出されるそれは、月海に攻撃の隙を与えなかった。
だが、見えているだけ月海にはまだ余裕があった。防戦一方であるがそれは確実に防がれており、次の一手を考える余裕が月海には残っている。
何とかファルスコールの猛攻を防ぎきり、いつか生まれるであろう隙を待つ。それまで必ず防ぎきる。いつもと逆なだけだ。隙を作るのではなく、隙が生まれるのを待つ。月海はその目でファルスコールを、彼女の攻撃を見定める。
「――――――!」
二つの刃が青白い閃光を弾かせる。交差した刃をギリと鳴らし、二人は硬直した。
死合いという緊迫した空気。死が隣にある世界。目の前の刃が触れるだけで、身は滅びるかもしれない。そんな中ファルスコールはうっすらと不敵な笑みを浮かべていた。
「やはり、愉しいものですね。あなたもそう思いませんか?」
「ッ、何を……!」
ファルスコールの性格は知っている。戦いを愉しむ騎士であることを。だが、月海にそんな余裕などなく、そもそも月海は戦い自体を好ましく思っていない。故にその言葉には同意しかねるものだった。しかし――――――
「人は感情が表情に出やすいものですよ」
笑っていた。月海自身も、いつの間にかその顔に笑みを浮かべていたのだ。
「愉しんで、いるのか?」
そんなことはありえない。月海は心の中で感情を殺そうとした。
「愉しむことは悪いことではありません。それを欲望のままに満たし、挙句乱すことさえなければ」
「……」
一瞬、月海の中に迷いが生じる。しかし、ファルスコールはそれを攻めようとはしなかった。
「確かに、この胸の高鳴りはそうなのかもしれない。だとしても、決意が変わる理由にはならない」
「もちろんです。あなたはあなたの望んだ理想がある。それが簡単に覆るのならばそれは理想ではない」
再び、交わる剣と曲刀に力が込められた。互いに刃を弾き大きく間合いをとる。
ファルスコールは左手に雷槍を作り出しそれを放つ。放電を起こしながら突き進むそれを、月海は前に突進し左に回転するように避けた。そのままの勢いでファルスコールに横薙ぎの一刀を見舞う。
だが、ファルスコールはそれを見越していたかのように往なした。月海は誘い込まれたのだ。いつしか月海自身がやったように、それをやり返された。
剣を弾かれ大きく胴に隙のできた月海に、ファルスコールは最速の一太刀を浴びせる。
「ぐうッ!」
鈍い金属音が鳴り響く。
間一髪。月海はそれを防ぎきったのだ。
腕の筋肉が軋む。無理やりの体勢で彼女の最速の一太刀を受けたのだ。身体のどこかに異常がでてもおかしくなかった。
「千草より遅くて助かったよ」
月海が曲刀を弾き返すと、再び剣撃が彼を襲う。
「彼女が私より疾いと? 聞き捨てなりませんね」
言うと、ファルスコールはより一層剣速を増した。
その速さは先と比べ物にならないほどである。太刀筋が見えない。冷たく感じるその殺気と、刃の音だけで月海は剣撃を受けていた。
それでも月海は防ぎきる。目で捕らえられなくとも、その剣撃を受けきるだけの力を彼は持っている。
「はぁ!」
ファルスコールの口から漏れる息。
重い一撃が月海を襲う。雨のような剣撃を受け続けた月海に、その一撃は意表を突かれたものだった。
「ッ!」
月海は何とか受け流したが、続けてファルスコールの背後から飛び出した光弾に為す術なく直撃することになった。
「がぁッ!」
防護服の上からでもその衝撃は大きく、まるで全身が痺れるような感覚に陥った。
ルーナの得意とする属性、雷属性の光弾。予想はしていたが、電撃による麻痺の感覚など生まれてこの方味わったことなどなく、月海の動きを大きく鈍らせた。
ファルスコールは更に雷槍を作り出し、月海に目掛けて放った。今の月海に躱す術はなく、剣で受けきるしかなかない。
「っ!」
雷槍は激しく火花を散らせる。月海はそれを何とか弾き返したが、眼前のファルスコールは更に幾本もの雷槍を作り出していた。
その数は五つ。同時に放たれたならば防ぎようがない。対抗するには同じ魔法でないと無理だ。
しかし、今の月海にあの雷槍を相殺できるだけの魔法を扱うことはできない。作り出せるだけの光弾をぶつけても、二本がやっとだ。だが、やるしかない。なんとかして防ぎきらねばならない。
「……」
麻痺した身体に魔力を流して無理やり動かす。精神を集中させ周りに光弾を作り出した。数は二十。ファルスコールが打ち出す前にぶつける。
「全弾発射!」
紅い光弾がファルスコールの雷槍目掛け発射される。しかし、それに構わずファルスコールも雷槍を放った。
激突し爆煙を上げる雷と炎。その煙の中から現れたのは三本の雷槍だった。
予想通り。全て防げるなどと月海は思っていなかった。大きく後ろに後退し、三本の雷槍を迎え撃つ。二本は左右から、一本は真っ直ぐに月海を狙う。
激突の瞬間、後ろに跳び退り二本は自滅したが、最後の一本が残っている。しかし、一本だけなら打ち落とすことができる。月海はそれを剣で受け、弾き、雷槍は霧散した。
「……これで、終わりにしましょう」
まだ残る煙の中からファルスコールの声が聞こえた。次第に晴れていく煙に彼女の姿が徐々に露になる。その彼女の周りには光が輝き、彼女の持つ刀身に集まっていた。
間違いない。これは禁呪。誰にも汚すことのできない光。
「……っ……」
二人の距離は大きくはなれ、発動前に阻止することも敵わない。ならば、防ぐしか方法はなかった。だが、今の月海に防御の手段はない。ルースを持つ今の彼には防壁を張ることさえ無理なのだ。
「……でも……やるしかないよな」
月海は左手を前に出し構えた。
『あまりに不確実な方法ですね。しかし、あなたを信じましょう』
ルースらしくない非現実的な言葉に、月海は笑いを零していた。信じてくれた彼女のためにも必ず防ぎきらねばならない。
月海は再び精神を集中させた。
本来作り出せることのない防壁。だが、一度は作り出せたのだ。それならば、できない道理はない。
思い出せ、あの時の感覚を。
思い出せ、あの魔力の流動を。
あの守りは自身から出たものだ。
ならば、この手に出せないわけがない。
イメージしろ、その守りを。
イメージしろ、その無敵の壁を。
――――――イメージしろ
魔力を放出する。
――――――それは
魔力を固形化する。
――――――何物をも防ぐ
際限なく、
――――――無敵の防壁
隙間もない、
――――――なんであろうと
壁を作り出す。
――――――貫くことはできない
「絶対防壁!」
体内から円状に方放出した魔力を無理やり凝固させる。それは他の防壁とは毛色の違うものだった。だが、それで構わない。今、高村月海が挑むのは月の輝き。ただの魔力防壁で防げるはずもない。ならば、それ以上の守りで防ぐ。高村月海が考え得る最高の守り。それしか道はない。
「……」
満天の星空。
雲一つなく、空は星で埋め尽くされていた。
その中で一際輝く大きな星。
それは自ら輝くことのできない星。
だが、夜空に浮かぶそれは何より美しかった。
「決着をつけましょう」
ファルスコールに集まる輝きは更に増してゆく。地球に届く星の光たちを寄せ付けぬほどに。
侍の如く上段に構えた彼女は、真名を口にする。
「カレト――――――」
頭上に掲げた黄金の輝きを振り下ろした。
「ヴルッフ!」
半月を描いた黄金は、まるで本物の三日月のよう。そして――――――
光の速さで突き進むそれを受ける。衝撃が防壁を貫き身体を震わせた。身体の内にまで響く衝撃。それだけで意識を失いそうなほどだ。しかし、その手は絶対に離さない。防壁は絶対に崩させない。
「――――――ッ!」
耐えろ。耐えろ。耐えろ!
これは絶対に破られることのない無敵の防壁。高村月海が持ち得る最強の盾。そう、壊れることなどあってはならない。
しかし、光は壁を徐々に削いでゆく。最強の攻撃は最強の盾を貫かんとしていた。
「く……っ……」
体中の魔力を防壁に回し、光に削られたどんな綻びさえも見逃さず紡いでいく。
「――――――」
光が視界を支配する。大気は震え、海は荒波を立てる。大地を穿つほどの魔法。何者にもそれを止めることはできない。はずだった。
「……」
光が徐々に弱まり、辺りが闇夜に戻ってゆく。光の余波によって海は荒れたままで、まだ周りの空気は震えていた。
「お見事です。まさか、これを耐えるものがアレ以外に存在するとは思いませんでした」
それはファルスコールの賞賛の声。純粋に驚き、そして称えた。
「っ、……はっ、ぁ、……はぁ」
月海は光が収まるのを確認すると、防壁を支えていた左手を下ろした。防壁は支えをなくし、ボロボロとまるで砂のように崩れ落ちる。そして、固形として維持できなくなった魔力は、中空へ霧散していった。
「もう一回これをやれって言われても無理だな」
肩で息をする月海は剣を構えてファルスコールを見た。
ルーナの禁呪カレトヴルッフは星の光を集めて打ち出すもの。魔力の消費は、光の収束とそれを打ち出す時のみに行われる。即ち、魔力消費量はその威力に反して少ないのだ。ファルスコールの魔力量ならば、連続で数発は打ち出せる。今のこの状況でもう一度それを放たれたら、月海はそれを防ぐことができるかわからない。その前に接近し再び白兵戦に持ち込まなければ、勝機はない。
月海は空を蹴り一気にファルスコールへ接近する。だが、
「……っ、近づけない……!」
咄嗟に急ブレーキをかけ、その場に留まった。そしてそのまま動かなかった。否、動けなかった。
二人の距離はかなり離れている。最速で接近しても、このままでは彼女の魔法の餌食になっていただろう。彼女に勝る魔法を持っていない月海に、魔法を相殺し近付く術はなかった。しかし、だからといってこのまま留まっていては、彼女が禁呪を放つ機会をみすみす作ってしまうことになる。
身動きが取れない。まさしく、言葉通りだった。遠距離から放たれる魔法は、並みの魔法使いでは接近することさえ難しい。例え出来たとしても、白兵戦で彼女に勝てるだけの力がなければ意味がない。だが、近付かなければ彼女の最大の攻撃が待っている。
勝負にならなかった。非の打ち所のない立ち回り。そもそもの力量が違いすぎたのだ。
最初から勝ち目などない。今の月海に勝てる手段があるとしたら白兵戦だけだった。それを止めた時点で彼の勝機は皆無になったのだ。
「くっ」
なんとしてでも魔法戦に持ち込むべきではなかった。だが、なってしまったものはどうしようもない。今更後悔しても遅すぎる。
次の一手を考える。
――――――。
その答えは単純で一つしかなく、それでいて月海には不可能なものだった。
『ツキミさん。あなたならできますよ』
ルースの一言。
「え?」
あまりに突拍子で、そして、何の根拠もない一言に月海は驚き変な声を出してしまった。
『大丈夫です。私を信じてください。あなたなら必ずできます』
「……」
先ほどとは違う。「信じる」ではなく「信じろ」と彼女は言ったのだ。月海の知らない根拠があるのか、それともただ単純に叱咤激励しただけなのか。
――――――いや、そんなことはどっちでもいい。彼女が信じろと言ったのだ。ならば自身はそれに答えるのみ。
「……わかった。信じるよ、ルースを」
月海は剣を右脇に構え腰を深く落とした。
できるかどうかわからない。そもそもやり方さえわからない。それでも、出来ると言ったルースに月海は従うことにした。
『大丈夫、普通の魔法と感覚は同じです。精神を集中させて、魔力を私へと流してください。そうしたら、自ずと見えてくるはずです』
「見えてくるって……」
あまりに抽象的な表現に月海は困惑するが、それでもやるしかないと思い直し精神を集中させた。
ルース・ド・ソル。アメノムラクモの名を冠した剣。その剣がどんなものかはあまりにも有名だ。故に想像は容易かった。ファルスコールの扱うエクスカリバーがそうであるように、このアメノムラクモも同じであるはず。ならば、この剣の一振りは伝承にあるそれと違わないはずだ。後はそれをどう引き出すか――――――。
「……」
目を閉じ意識を手の先の剣に向ける。
造り出すは最強の剣が振るう光。
その剣から溢れる輝きは、全てのものを薙ぎ払う。
――――――
イメージ。
それは太陽の輝き。
自身では遠く及ばない尊い光。
「――――――ッ!」
電流が脳を走る。
手の先からイメージが掻き消されていく。
それは間違っていると。
――――――
それは何者も手を触れることができないものではないのか。
否
違う。
否定。
誰が?
自身が。
そう、
それは、
記憶にあった太陽。
意識の先にある太陽。
なればこそ、太陽は光り輝く。
根底から違っていたのだ。
それは造り出すのではなく、生み出るもの。
理由などどうでもいい。
だが、それがそういうものであると理解できたのなら、後はそれを放つだけだ。
「爆ぜろ、魂……爆ぜろ魂ぃ――――――ッ!」
内にある輝きを外へ放出する。
放出した輝きは彼女へと流れてゆく。
魂を燃やせ――――――
命を燃やせ――――――
自身の内にあるその光を爆発させろ。
それこそが真なる太陽の輝き――――――!
眩しいほどに輝く光。
暑く燃えるそれは全てを照らし、
孤独に空を浮かぶ。
闇夜を昇る光は生を、白昼を没する光は死を。
それは大地を照らす優しき光。
「一体何を……」
ファルスコールは構える月海を見て問う。
「……まさか」
彼から発せられる光がその問いの答えだった。だが、それは彼には発することの出来ない光。ファルスコールは目の前の出来事を信じることができなかった。
「……っ!」
しかし、現実で、目の前で起こっているそれを否定している暇はない。それが起きているのなら、対処しなければ敗れるのは自身である。
ファルスコールは再び曲刀を頭上に掲げた。黄金に輝く光が彼女へと集まってゆく。それは月海と対極のよう。
白銀の光が内から輝く
それは月の光と違わない程の輝き
刀身から発せられる燦然と輝くそれは、まさしく太陽の煌き
白昼に浮かぶ白銀の太陽
「いくぞ、ルース」
『ええ、任せてください』
秘められた魔法
全てを薙ぎ払う剣の名
今、叫ぶは、星に光をもたらす白銀の輝き
声高らかに上げる、彼女の真名
「薙ぎ払え!」
足を踏み出し、脇に構えた太陽の輝きを水平に薙ぐ。
「草薙ノ剣――――――ッ!」
薙いだ刀身が半月の弧を描き、光が溢れるように輝きを放つ。
光は熱く燃え上がり、太陽の如く地上を照らす。
そして――――――太陽は光の速さで月へと突き進む。
「――――――カレトヴルッフ!」
ファルスコールも月の輝きを打ち出し太陽を迎え撃った。
衝突する二つの光。
大気が割れるほどに震え、町全体が揺れていた。
二つの光は海を裂きしぶきをあげる。まるで嵐でも通り過ぎているようだ。
眩く輝きを放つ光と、それを反射す光。闇夜に浮かぶ二つの光は町を白昼へと誘った。
轟音を響かせる太陽と月。
白銀と黄金。
美しき輝き。
されど大地を穿つ魔法。
その美しき光は人々を導き、そして人々を殺していった。
「――――――」
光が有るところ闇も有る。終わらない昼はない。町は再び闇夜へと帰る。
「……っ……」
消えゆく光を挟むように二人の影があった。
「何故です? 何故……」
一つの影、ファルスコールが震える声で少年に問う。
「何故、本気を出さなかった!」
嵐のように震えていたこの町も急激に静けさを取り戻し、その静かな町にファルスコールの声が響いた。
ファルスコールの放った禁呪、そして月海の放った禁呪。一つは集めた光の量で、一つは放出した魔力の量で、その魔法の破壊力を得る。二つは発動までに時間を掛ければ掛けるほど威力を増すものだった。ならば、一瞬でも詠唱に手間取ったファルスコールと月海が相打ちするはずがなかったのだ。
「何故、勝ちを得ようとしなかったのです」
「俺の目的は勝つことだけじゃない。君が生きてなきゃ意味がないんだ」
ファルスコールはぎりと奥歯を噛んだ。何故こんな気持ちになっているのだろう。彼女はそう思わずにはいられなかった。
高村月海の意志を知っている。その上で挑んだのだ。自身の負けは生かされることだとわかっていたではないか。
「それでも、私は騎士だ。負けであるなら死を。生かされるのならば、私は勝利を求め続ける。中途半端な扱いこそ一番の屈辱」
「君はどうしてそこまで白黒つけたいんだ? どうして生死だけで決着をつけたいんだ!? どっちも生きていていいだろう?」
今度は月海の声が静寂の中に響いた。それは彼女の中にも響いてゆく。
「言っただろう? 俺は君のような騎士じゃない。ただの中学生で、誰かを殺して何かを成そうなんて考えてない。誰かを殺したいなんて気持ちすらない! 俺はただ! 普通に! 俺の持ってる日常と同じようになってほしいと思っただけなんだ」
月海は迷う少女に手を差し出した。
横に立つ為に。一緒に歩く為に。
「かっこ悪くてもいいだろ? どんなに屈辱的でも、生きて、普通の、皆が仲良く出来る世界を造った方がいいだろ? だから――――――俺は君に生きてもらわないと困る。一緒に付いてきてもらわないと困る」
選ぶのは少女だ。
それを少年は待つ。
いつまでも。
少女が共に歩みたいと言ってくれるまで。