ある日森の中で出会った者
とある世界のとある国のとある森。
「はぁ、はぁ……っ!」
息を切らせながら細い道をひた走る。足を踏み出すたびに、枝がパキパキと折れる音が響いた。
鬱蒼と生い茂る木々。その木々が作り出す入り組んだ獣道。
人が通るにはあまりにも狭い。それにもかかわらず、なぜか吸い込まれるように奥へ奥へと足が勝手に進んでいく。
ところで、なぜこんなにも息を切らせて走っているかというと、とある謎の生物に追いかけられているからである。
いや、あれはもはや生物と呼べる形態をしていない。
悪魔、そうそれは悪魔と呼ぶべきだ。
黒くて、大きくて、硬そうで、もじゃもじゃしていて、変な匂いがしそうな、生物もとい悪魔。
『どうでもいいですけど、とあるっていいすぎじゃないですか?』
首にかけられた太陽の形を模した首飾りから、落ち着いた女性の声がした。
こんなにピンチな状況に立たされているのに、そんな冷静なツッコミをするのは相棒のルース・ド・ソル(言い難いのでルースと呼んでいる)だ。
「うるさい! どうでもいいならツッコミをいれないで!」
その首にかけられた彼女を睨みながら言う。そのせいで道を見失い、危うく木々の中に突っ込みそうになるところであったが、なんとか持ち直した。
「それよりも後ろのほうに何か言うべきだったんじゃない!?」
『それに触れるといろいろ危険な気がしたのでやめておきました。マスター、もう少し品のある言葉を使わないと、男性の方に引かれますよ』
「そこは自分でもやってしまった感がいなめない……って、あぁ、もう! そんなこと言ってる場合じゃないの!!」
そう、そんなことを言っている場合ではない。もうすでにあの悪魔はすぐそこまで迫っているのだから。
しかしながら、なぜこんなことになっているのか。事の発端は今から数時間前に遡る―――――
ひんやりとした空間。
だだっ広い正方形の部屋。
ここには何も無い。机も椅子も本棚も無い。唯一、今時では珍しいたいまつが壁の両側に設置されていた。
ガラシア。
魔力エネルギーにより魔法という科学が進化した星。その星の中の一つの国、ソル国。
ここは、そのソル国の城の地下にある一室だ。造りも他の部屋とは違う、何か異質なものを放っている。この場所だけが、まるで隔離されるように造られていた。
しかし、それは立ち入り禁止という意味ではなく、出入りは自由であった。ただ、暗黙の了解で入ってはいけない、と皆が思っているだけである。
薄暗く、不穏な雰囲気をかもし出しているが、私はこの部屋を結構気に入っている。
理由は涼しいから。それと、外の音が一切聞こえないから。
外でお昼寝も気持ちが良いけれど、この閉鎖された空間もなんともいえない。
そんな理由でこの部屋には何度も出入りしていたが、まさかこんな秘密が隠されていたなんて知りもしなかった。
「それじゃあ、確認するよ」
藍色の髪の少年が、手に持った資料らしきものを見ながら言った。
まだ幼さの残る顔立ちに、それを感じさせない大人びた目つき。紺色の軍服をなれたように着こなすが、少し背伸びをした子供のように見える。だが年齢は17と、大人とは言えないが子供というには失礼な年頃である。ただし、身長がやや小さめであるため、どう見ても十代前半にしか見えない。
「一つ、転移中に他の魔法を使用しないこと。転移先の軸がずれる可能性があるからね。もっとも、そんなことする人はいないと思うけど、念のため」
「いやいやぁ、アレスならやりかねないわよ」
少年の横で溜息混じりに話す赤髪の女性。白銀のドレスを身にまとい、頭上にはこれまた白銀のティアラが乗っていた。
普段ならばこんな堅苦しい格好は好まないが、今回は重要な儀式ということもあり祭典用の衣装を着用している。
「お、お母さん、そんなドジッ娘属性は私には無いよぉ」
『いえ、十分にそのドジッ娘属性は受け継がれていますよ』
今度は首元の首飾りが話した。
「ルース、それは私にもそのような一面があると言いたいのですか?」
母は笑いながら、それでいて怒りを表していた。
『親子そろって自覚が無いようですね。私はあなたが生まれたときから、ずっとこの目で見てきているのですよ。よもや、自分のしてきた数々の行いを忘れたとは言わせませんよ』
ルースの言葉攻めが始まろうとしていたが、それは少年の咳払いに止められた。
「一つ、転移後は魔力を相当量消費しているので気をつけること。アレスなら一日もすれば元通りかな」
「魔力量はこのガラシアで一番ですもんね。ま、若いころの私には遠く及ばないけど」
母の自慢話が始まろうとしたが、これまた少年に止められた。
「注意事項はこれくらいだけど、僕たちが着くまではあまり無理をしないこと。あくまで事前調査だからね」
「そうね、こちらから接触しない限り安全だと思うわ。―――――本当なら私がすべきことなんだけど、ごめんなさい、娘にこんなことさせるなんて母親失格よね」
「お母さん……。ううん、私がやるって言ったんだもん。お母さんが気にすることじゃないよ。それに、ルースも一緒だから大丈夫だよ」
私は母に笑って見せた。
本当はちょっぴり不安だけど、大丈夫だと言うのも本当だ。
『ヴァリィ、あなたの娘は必ず守って見せます』
「ええ、お願いします。あなたにはいつも頼りになってばかりね、ルース」
『それが私の務めですから』
ルースはいつもの無感情な声で言葉を発した。
「あなただって本当は―――――」
それに対し母は何かを言ったが、それは私には聞こえなかった。
「いえ、何でもありません……では、頼みましたよ」
『ええ、まかせてください』
――――――二人もかつては私たちのようにパートナーだった。今でも二人のときは、まるで友達のように話しているが、私も含めて皆が周りにいるときは二人ともかしこまった口調になる。
二人は主従の関係にあるのだから、それは当然のことである。それでもやはり、友達として過ごした日々がまるで無かったかのような振る舞いが、私にはとても辛く感じ取れる。そして、いつかは私たちもそんな風になってしまうのだろうかと考えてしまうのである。
「――――――いるので注意してほしい。……聞いているかいアレス?」
考え事をしていると、少年はそれを見通していたかのように聞いてきた。
「ふぇ? も、モチロン」
「……言い忘れていたが普段の魔法とは違った魔力の消費の仕方だから、回復の際も通常とは異なっているので注意して欲しい」
「ちゃ、ちゃんと聞いてるってばぁ。二回言わなくてもわかってるよ」
「大事なことだからね。聞いていても聞いていなくても、君には二回ほど説明が必要だと思ったんだよ」
ひ、ひどいよこの人。いや、まぁ、実際に聞いていなかったのだから悪いのは私なんだけど。
「あんまり長く話していても仕方が無い。反応が出てまだ三日も経っていないけれど、早く行動するに越したことは無い」
少年は言うと部屋の入り口のほうへ歩き、母もそれに従った。そして、少年は首に掛けられた結晶の首飾りを握り、
「―――――アヴィアーレ―――――」
その口から言葉を漏らした。結晶の首飾りを握る手から光が漏れる。
少年の握る首飾り。そして、私の首元に掛けられている首飾り。これらは魔力変換機と呼ばれ、魔法を行使、手助けするための機械だ。
そもそも魔法とは体内の魔力を放出することを指し、その魔力の組み合わせによって様々な効力を得る。昔の偉い人曰く魔放だったらしいのだが、近年の技術の進歩により単純な放出ではなくなったので名前を変えたらしい。
これから向かう先の地球と言うところでも魔法という概念が存在しているらしいのだが(実際には使用不可だという)そこの魔法は術式やら呪文やら色々面倒なことがあるとか。その点では私達の魔法は優れているのだが、やはり同じように難点がある。
それは、魔力の組み合わせに時間と手間が掛かることだ。人により差があるが、一番初歩的な魔法、所謂「初級魔法」と呼ばれるもので一番早く組み合わせられるものでもおよそ一秒は必要である。大きな魔法「上級魔法」と呼ばれる類では、十数秒を要するものも存在する。
そこで、このゲレータを使用することにより、魔力の組み合わせを自動で処理し手間を省き、尚且つ人間の演算速度を遥かに凌ぐ能力でそれを行うので、魔法の完成までの時間が短縮されるのだ。時間にしておよそ四分の一である。
魔法を常用する私たちにとってこのゲレータはなくてはならない存在なのだと言える。
ちなみに私の持つゲレータ……ルースは少しばかり特殊で人語を話す。人語を話すことは他のゲレータも一緒で何の不思議なことでもないのだが、ルースのように人間臭さを持ったゲレータはまずいないだろう。
――――――いつの間にか部屋の床一面に魔方陣が浮かび上がり、青い光を放ち私の身体を囲んでいた。
「すごい……!」
その魔方陣は想像を絶するほどの魔力が込められていた。今までに見たどの魔法よりも、魔力量、魔力濃度が高かった。
「そりゃそうだよ。この転送魔法を行使するためには、ガラシア全人口のおよそ半数の魔力が必要だからね。もっとも、これから行く地球という場所が遠すぎるだけであって、もっと近くであればその魔力量は少量で済む。当然だけど、反対にその地球から遠ければ今以上の魔力が必要になる」
「ほぇ~。ってことはこの魔方陣は……」
「ああ、ソルに住む人々全員の魔力が込められている」
この二日間、一般人の城の出入りが多いと思ったら、なるほどそういうことか。
今回の作戦は一般に公開していないので、非常時用の魔力提供ということになっているそうだ。
「じゃあ、頑張らないわけにはいかないよね」
この国に住む人々の思い。それがこの魔法には乗っかっているのだ。半端な気持ちでは務まらない。皆の思いを絶対に無駄にはしない。
「―――――アレス、私にはこんな言葉しか言えないけど……頑張ってね」
心配そうに見守る母。
「うん、頑張る」
そんな母に、私は笑顔で答えた。
すごく短い会話。でも、それだけでも、母の気持ちは伝わってきた。
本来ならばこの任務は母の仕事だった。
今から十数年前にある事件が起きる。今回の事件とそのある事件は関係しているのだが、その事件の担当が母であった。母は引き続き自分がやるべきだと主張したが、すでに魔力変換機は私へと引き継がれている。
私達が戦うには彼女の力が必要不可欠だと言わざるを得ない。しかし、ルースの所持者は私へと移っていた。ならば任務を引き受けるのはこの私だ、と先日行われた国の重役たちが集まる作戦会議の際に大声で主張したのは今では良い思い出である。
その場にいる全員が「こいつ何言ってんだ、馬鹿じゃねぇの?」と反対をした。当然、母も反対したが、口にした以上私は辞めるつもりなんて無い。
そのときの母の顔は今でも忘れない。なんともいえない表情。
初めて母親の感情を読み取れなかった。楽しいことも寂しいことも、怒りも悲しみも、母の傍にいた私はいつも肌で感じていたのに、あの時だけは何も分からなかった。
あの時母はどんな気持ちだったのだろうか――――――
「それじゃ、始めるよ」
少年は目を瞑り胸の結晶を強く握った。
すると、魔方陣の放つ青い光が更に輝きを増し、青白い光が身体を包んだ。身体をまとう魔力が増幅する。
とても暖かい光だった。
これが皆の思い。
魔力を通して人々の温もりを感じた。
頑張らなきゃ。皆の気持ち、そして母の気持ちを無駄にしないために。
「―――――では、行ってまいります!」
それが最後に交わした母との言葉。
光は完全に私の身体を覆い、目の前は真っ白になった。
ぐん、と頭を引っ張られる感覚。
視界は光に支配され、手足の自由もあるのか無いのかわからない。
光が流れる。目まぐるしいほどに。
体がくるりと回転する。
まるで宙を浮いているようにふわふわとしているが、身体は激しく風に揉まれているようだ。
もう二回転すると、光の中に一つの黒点が見えた。黒点は豆粒よりも小さく、光の中を漂っている。
右へ左へと動く黒点を見つめ、その瞬間、黒点が光を支配した。
視界は光から闇へ。
闇は心を不安にさせる。何も見えない恐怖感が全ての感覚を支配した。
視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚。五感全てが恐怖という感覚しか生み出さなくなる。
だが、恐怖はそう長くは続かなかった。恐怖を感じたと同時に闇が晴れ、そして―――――
「はう!!」
お尻に鈍痛が走った。
「がっ、あぁ、あ……くぅぅぅう」
『どうやら、無事に着いたようですね』
「全然無事じゃないから!」
『ところでここは……』
無視ですか、はいそうですか。
さわさわと何か擦れる音。それの正体はすぐに分かった。ふっと風が髪をなびかせる。風は身体を包んだ後、周りの木々へと抜けて行った。
「……ん~、森……かな?」
『見たところそのようですね』
深く暗い木々の中。人の歩けるような道はないし、何より匂いがここを森だと言っていた。
『……いえ、森ではないみたいです』
とすぐに言変えたルースにどういうことなのか訊ねた。
『言葉では説明し辛いですね』
ルースは少しうねると、
『そうですね……マスター、半径一キロメートルの魔力の反応を見てください』
と言った。
「う、うん、やってみる」
言われたとおりに魔力の反応を見てみることにした。
目を閉じ精神を集中させる。地図を開くように魔力の反応を頭の中に映し出した。
小さな魔力の粒が無数に転がっている。恐らくこの森に生える木々や生物だろう。地図の中が全て埋め尽くされるほどに転がっていた。しかし、それはすぐに途絶える。その先はぽつぽつと小さなものが少しあるだけだった。
少し先まで伸ばしてみると、いくつかの固まった反応が等間隔で並んでいた。
『恐らくこれは住宅でしょうね』
「住宅? でも、魔力の反応はすごく小さいよ?」
その魔力反応はまるで小鳥たちのように小さかった。もしもそれが人であるなら、もっと大きな反応が出るはずである。
『この地球に住む住人が、我々と同等の魔力を持っていると考えているのなら、それは間違いです。地球の人々の魔力量は我々と比べ非常に少ないですし、魔法の概念も存在しません』
「へぇ~そうなんだ」
『と、出発前に教えたはずですが?』
ルースは何で覚えていないのですか? と問いただしてきた。
「え!? あ、あれ~そうだったかなぁ~?」
いつだったかそんな話をしていたようなしていなかったような……。
しかしながら、自分の記憶の中からは綺麗さっぱり消え去っていたようだ。
「うん、ルースの気のせいだよ、気のせい」
『42時間17分32秒前に教えたと私のメモリーが記憶しているのですが、それは間違いなのでしょうか?』
さ、さすがルースの記憶能力。そんな無駄なことまで覚えているとは。
「な、なんでそんなこと記憶してるの。容量の無駄……」
『あ・な・た・が! いつまで経ってもその頭の中に無駄な知識しか入れ込まないから、私が変わりに記憶しているのです』
怒りと呆れの感情を同時に表すという高等技術を用い、ルースは吐いた。
「あは、ははは……ごめんなさい……」
何も言い訳ができないほどの真実を突きつけられ、私は言葉を失った。
『それにしても、まさかここに辿り着くとは……』
「……?」
『―――――ともかく、これで分かったと思いますが、ここは森ではないということです』
住宅に囲まれた木々の密集地帯。一体ここはどこなのだろうか。
『ここでじっとしていても始まりませんし、とりあえずここから抜けましょうか。それに今のマスターは魔力量がほぼゼロに等しいですから、なるべくアレとの接触は避けたいです』
「うぅ~ん、そういえばなんだか体がぽわぽわ~ってしてるような……」
地面をしっかりと捉えられていない、そんな感じだ。
「でも、それって魔力の反応が感知できないんだよね? だったらどこにいても同じなんじゃない?」
『それはそうですが、マスターはこの場所に留まりたいのですか?』
「そりゃこんな薄暗いところに居たくはないけど……」
正直なところ、今の私にとって安全な場所と言うのは無いのかもしれない。それはルースも分かっているはずだ。それでもここから出ようと言うのは何か理由があるのかもしれない。
『では、一つだけお教えしましょう。この木々の中にアレが存在する可能性があります』
「……? なんで分かるの」
『あなたの母と過去にここを訪れた際、アレと接触したことがあります。』
「―-――――!」
ルースは静かに言った。
母と過去にここを訪れた。恐らく十数年前のある事件と言うものに関係しているのだろう。そしてその際にルースの言うアレに接触した。そういうことだろう。
十数年前の事件については母もルースも全くと言っていいほど話してくれなかった。
今回の任務は十数年前の事件の新たな発見とやらによるものだ。もしそれがなければ事件そのものを知らなかったかもしれない。
ルースの言うアレとは「ドディックジュエリ」である。未知なるエネルギー源にして国の、いや、世界の最重要物質かつ最重要危険物である石だ。なんでもその石に深く関わると死をもたらすとか。
今現在、ドディックジュエリはガラシアにはない。それもそのはず、ガラシアにあったドディックジュエリはこの地球に飛ばされたのだ。そしてそれを探すのが今回の任務である。
と、分かっていることはそのドディックジュエリを探すということだけである。十数年前の事件との関連性はルースも母も語ってくれなかった。
事件いついては一般には公表されていないが、事実起こった事であるので城にいる一部の人間は概要を知っていた。
彼らから聞いた話によると、母とルーナの女王が飛散したドディックジュエリを回収しにこの地球へやってきた。そして、全て集め終わる直前に再びドディックジュエリが飛び散ってしまったのだ。その後わずかな反応さえ確認できなくなってしまったので、二人はガラシアへと帰ってくることになる。
今回、その反応が十数年ぶりに発見されたので、再びドディックジュエリ回収の作戦が決行されたのだ。
ルースと母が事件の概要を話さなくても知っている人間が他にいるのだから、いずれは知られてしまうことだと二人も分かっているはずだ。それでも二人は事件について話さなかった。
この事件にはまだ何か隠されていることがある、そんな気がしてならないのである。
『反応は感知できませんが、確率を考えるならこの場は避けておいたほうが良いでしょう。それに……』
「それに?」
『この木々の中に流れる不穏な空気。それがあの時と酷似している』
ルースは辺りを警戒するように集中していた。
それだけここは危険なのだ、そう思った。
「……わかった、それじゃあ早くここから出よ。こんなとこにいたら気が滅入っちゃうよぉ」
―――――というわけで、ここから抜け出そうとした矢先にあの怪物に遭遇したのだ。
『この状況を打破するためには変身することですね』
ルースは冷静に事を分析した。いつものことだかルースは冷静すぎるほど冷静である。
「変身って簡単に言うけどこの状況でどうやって変身しろって言うのよ! 変身してる間にやられちゃうじゃない。それに今は魔力がすっからかんなんですけど」
『いえ、ですから大丈夫です、と何度も説明したではないですか』
「あれのどこが大丈夫なのよ! 変な台詞を言わされるは、謎のポーズを取らされるは、挙句の果てには真っ裸にされるは……全然大丈夫に見えないって!!」
『ですから、それを何度も説明したのです。いいですか、よく聞いてくださいよ? あの変身シーンはですね……』
途中まで言いかけた彼女の言葉が、ふと途切れた。
『マスター危ない!!』
そして彼女は叫んだ。
「―――――ッ!」
悪寒が全身に走る。それだけで理解できた。自身のすぐ後ろに悪魔が迫っていることに。そして気づいたときにはすでに手遅れで、目の前は真っ暗になり私は気を失っていた。
ポッと思いついたのでパッと書きました。そんな物語です。
文章はあまり上手くないので読み苦しいかもしれませんが、読んでやってください。