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██レポート〈DAY 3〉

事実を一通りまとめたくて、シンプルに箇条書きにしています。読みづらかったら申し訳ありません。


(2025-10-05)「日本社会への影響」を追記

 以下は、██に関連して人類側が把握している情報をまとめたレポートである。


【前提】

・栃木県上空で異常な火球が閃光爆発を起こした日を〈DAY 0〉と記す。

・ここに記す内容は、〈DAY 3〉23:59時点の情報を基準とする。


【死病(基準時時点で、正式名称なし)】

・突如として茨城県那実川流域を起点として発生した、発症者を死に至らしめる奇病。

・病状:強い頭痛、痙攣(けいれん)、錯乱や幻覚を訴え、全身の様々な箇所で激痛が生じる。

 便宜上、これらを総称して「死の発作」と呼ぶ。

 「死の発作」が起こると、数分以内に死に至る。

 その間に全身の血管が崩壊し、体の至る所から出血が起こる。

 臨床を担当した一部の医師は、患者の症状の内いくらかが脳炎に酷似していることに気づき、急性脳炎の可能性を疑っている。ただし、患者の中に脳炎を患ったことのある者や、以前からその兆候が見られた者はほとんどいなかった。

・前兆:多くの患者に接した臨床医は、発症者の多くから、事前に風邪やインフルエンザに似た症状が見られたことに気づいた。しかし、その症状をただの風邪と区別することはできなかった。

・致死率:100%に近いが、「死の発作」から生還した者が数名存在する(後述)。

・影響:死者6,000名弱(23:00時点の日本政府公式記録)。ほとんどが発症時に茨城県にいた者。

 若干の例外は、那実川上流域付近に住む栃木県民。

 潜伏患者数、不明。

・病原:不明

・発症経緯:なんらかの経路で、異常化した那実川の水(後述)に接触、または水を摂取したと考えられている。

・備考:〈DAY 4〉以降、メディアが「那実川病」という通称を用いるようになり、普及していく。


【生還者】

・「死病」の発作を生き延びた者。

・例外なく昏睡状態にある。

・厳重に隔離され、経過が見守られている。


【那実川水系(河口付近の近海も含む)の異常】

・〈DAY 2〉夜間以降、水を摂取することで先述の「死病」を発症する異常が確認された。

・那実川流域の浄水施設の設備では、この異常を取り除くことができない。

・「死病」を発症した家族などからの聞き取りによって、以下のことがわかった。

 ・水を煮沸・冷凍しても異常を取り除くことはできない。

 ・異常化した水を使うと、シャワーや入浴によっても「死病」を発症する可能性が高い。

 ・ごく少量(100ml程度)の異常化した水の摂取でも、「死病」を発症する可能性が高い。

・ヒト以外への影響:不明。ごくわずかに那実川流域の住民から、ペットの犬や猫の死亡報告が上げられているが、因果関係は明らかでない。

・茨城県の環境保全課などが水質調査を行った結果、ごく微量の有害化学物質「ジオキソラン-F7」が検出された。この物質が動物の体内に入ると、脳炎様症状や出血作用を引き起こすことから、関係者間でこの異常との因果関係が強く疑われている。

 「ジオキソラン-F7」は通常の浄水処理ではほとんど除去できないため、原因として疑わしいことは事実である。

 ただし、科捜研職員など一定以上の科学知識を持つ者は、こちらに原因を帰す判断を早計と考えている。

 実際に、6,000弱という死者数に対し、「ジオキソラン-F7」が那実川に流出した量は少なすぎる。この物質を排出した工場を所有するエレメント・マテリアルズ社の四季実秋は、その事実を認識している。

・一方、宇梶慧はシミュレーション結果から〈DAY 0〉に爆発した火球の成分が那実川源流域に降り注いだことを把握しており、こちらを異常の原因と予想している。

・感染研の比護徹心は、主に下流や沿岸でも「死病」が発生していることから、原因がただの化学物質でないことを確信している。

・JAXAの榊征士郎らは海洋観測衛星『いろどり』のデータから、那実川河口付近の近海で植物プランクトンの急減が起こっていることを観測している。また、この異常は黒潮の流れに乗って北上している。

・宇梶慧は榊から植物プランクトン急減の情報を聞き、この異常が海を通じて地球全球、少なくとも全海域に拡散していくことを確信した。

・「ジオキソラン-F7」は植物プランクトンには無害である。


【日本社会への影響】

・「死病」罹患者の家族など関係者によって、SNS等を通じてインターネット上で病状や被害状況が拡散され、社会不安が広がっている。原因などについて、様々な憶測や流言が飛び交う。


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