壊れた腕と喰われた命
「ムイっ!!おはよ!!秘密基地で!」
そう言ってスィーンは走っていった。
ムイは周りを見渡し、機械達がいないのを確認するとスィーンを追いかけ走っていった。
「ムイ!!お前が時間指定したのに、遅れてくるな!」
ムイはバツが悪そう顔をした。
「仕方ないじゃん、寝坊したんだもん」
「ムイが寝坊なんて珍しいね!なんか面白い発見でもしたの?」
その言葉を待っていたと言わんばかりに目を輝かせ、自慢げに話し始めた。
「ふっふっふ!実は昨日取っておきの場所を見つけたんだ!キラキラ石がいっぱいある洞窟!」
ダイラスの眉がパッと上がり、抑えられない笑顔が浮かんでいた。
「それはどこだ?今すぐ行こう!」
「もう、お兄ちゃんキラキラ石好きすぎでしょー!」
そう言いながらスイも興奮が隠しきれていなかった。
「こっち!着いてきて!」
そう言ってムイ達は走り出した。
そうして、ムイの言う洞窟に着いた。暗くてどこか恐ろしい雰囲気だ。
「ここの奥で見たんだ!」
そう言い、ムイは進んで行った。2人も後に続き進んだ。
進んで行くと大きな空間になり、そこには沢山のキラキラ石があった。
「わあ!」
ダイラスは一目散にかけていき、キラキラ石をバックの中に入れた。万遍の笑みだった。
スィーンもムイも夢中でキラキラ石を見たりとったりしていた。
そんな夢のような時間を終わらせたのは、ドライブの咆哮だった。
「グォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
あたりの空気がビリビリと震えた。
「ど、ドラゴン?!なんでここに......!!」
何かに気づいたようにダイラスは目を大きく開き、叫んだ。
「走って洞窟から出るぞ!ここはあのドラゴンの巣穴だ!」
その声によって2人は弾かれるように走り出したが、途中でピタリと足が止まった。
目の前に巨大なドラゴンがいたからだ。
「僕が気をそらす!お前らは先に帰っとけ!」
そう言いダイラスはキラキラ石を投げつけ、走り出した。
「ドラゴンやろー!!こっちだ!」
ドラゴンはその声に反応し、ダイラスを追っていった。
追おとするムイを引き留め、スィーンは出口に向かい走り出した。
「今日はお兄ちゃんが晩御飯の担当なの。だから大丈夫。だって、1回も忘れたことないんだよ!」
でもう少しで出口というところで再びドラゴンとあったのだ。だが、先程あったものより小さく、子供のようだった。
「キュイ!!キュイ」
そう子供のドラゴンが鳴くと一瞬で先程の親ドラゴンがやってきた。親ドラゴンは自分の子供を殺されると思ったのか、全力で殺しにかかってきた。
子供二人と巨大ドラゴン。勝敗は見えていた。
(キラキラ石を投げて、少しでも怯んでくれれば……!)
ムイはそう思い、振り向いた瞬間世界がスローモーションに見えた。
ムイが振り返ったすぐあとにはドラゴンが大きく口を開けていた。段々とそれは近ずいてきていた。
急に自分の視界に地面が写ったと思うと後ろから叫び声が聞こえた。
「っアアアアァァァァァァァァ!!!!」
振り向いたムイに目に映ったのは手はなく、ちぎられたような腕から血を滝のように流したスィーンだった。
「このやろぉぉぉぉぉぉおおああああああ!!!!」
勢い任せ突っ込んだムイはドラゴンの腕で壁に打ち付けられ、気絶してしまった。
「っはあ、はあ、ムイ、スィーン、大丈夫か?!」
ダイラスは急いでおってきたようで、汗はすごく、息も絶え絶えにそう言った。
「お、お兄、ちゃん」
駆け寄ろうとした時、銃声が響いた。
「命令違反者を発見」
銃声のその先には戦闘機械がいた。
ドラゴンの鱗
別名龍光石。キラキラと輝きとても美しい。希少であるため高値で売れる。ムイ達がキラキラ石と呼んでいたのはこれのことである。