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拝啓 世界の続きを見るキミへ  作者: 狐の余命り
旅立ちには仲間を
5/13

感情は残っているのか

ユィレが記録をスキャンし終わると1人と1体は建物の外に出た。外には多くの人が集まっていた。

その中の1人の男性がユィレ達に話しかけた。


「何があったんだ」


その声に感情の色はなく淡々としたものだった。


「ダイス!!戦闘機械達を倒したんですよ!もう感情を押さえつける必要はなくなったんだ!」


ムイは興奮したように言った。


「お前は感情押さえ付けてないだろ」


「ま、まあそれはそうですけど……」


フッと息を吐くと、ダイスは手を口元にもっていき、口を笑顔のようなかたちにした。

そして、その手を離した。笑顔は残らなかった。


「笑顔の作り方なんて忘れた。僕はお前みたいに抗えなかったんだよ」


そう言った彼の顔が少し寂しげに見えたのは気のせいだろうか。


「ダイス……」


「ムイ、すごいな。お前はみんなを自由にできた」


ムイは驚いたような顔をした後、少し目尻を下げた。


「俺よりもユィレに言うべきだよ。気づいたら戦い終わってたし」


ダイスはユィレに目を向けた。


「初めまして。ワタシはユィレ。博士の命令でここに来ました」


「その腕……お前は戦闘機械じゃないか。なぜムイに協力したんだ」


「ワタシがムイに協力したのではなく、ムイがワタシに協力したのです」


ムイは同意するように数回頷いた。


「大丈夫だよ、ユィレはみんなに危害を加えることは絶対しない。俺が保証する!」


その言葉を聞くと、街の人々は怪しみながらもひとりひとりその場を去っていった。


「自己紹介をさせてくれ。僕はダイラス・ヨックス。ダイスと皆に呼ばれている」


相変わらず彼から感情は感じられなかったが、人の優しさは感じられた。


「ムイ、お前は両親に無事に戻ったと言ってこい。あの二人が心配しすぎで胃に穴が空いてしまう」


ムイはハッとして走っていった。


「ユィレ!!すぐ戻ってくるから待ってて!」


ダイスはユィレと向き合った。


「ユィレ、と言ったな。うちに来てくれ腕を直す」


「感謝します、ダイス。ところで、あなたはスイとは誰か知っていますか?」


それを聞くと、ダイスは軽く眉をひそめ、声を落として言った。


「家で話してやる。着いて来てくれ」



ダイスの家に着くと、彼はユィレに椅子に座るよう促した。


「スイについてだが、お前はその名前をどこで聞いた?」


工具をいじりながら聞いた彼の顔は見えなかった。


「私が腕を壊された際に聞きました」


時計の針が進む音が部屋に響いている。


「そうか」


ダイスはユィレの腕の状態を見ながら話し始めた。


「本名はスィーン・ヨックス。僕の妹だ。スイはムイと同い年で仲が良く、よく3人で遊んでいた」


ユィレは黙って聞いていた。


「うちは両親がいなかったし、僕はスイにあまり構わなかったからな。スイはムイのことを家族のように思っていたんじゃないか」


ユィレから預かった部品を見ながら続けた。


「ムイの家族は表面上は感情がないように振舞っているが、そんなことは無いんだよ。昔からそうだったらしく、他の住人はそんなこと考えないというか、そもそも感情を知らない。まあ、僕達はムイと四六時中遊んでいたから感情はあったんだ」


--あのときまでは







風の噂

ダイラスは機械嫌いで、家の中にはあまり機械が見当たらないらしい。今どき、振り子時計を使っているのは彼だけでは無いだろうか。また、それらは自作しているようで、手先が器用だということが分かる。



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