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拝啓 世界の続きを見るキミへ  作者: 狐の余命り
旅立ちには仲間を
4/13

自分と他人の狭間とは

ムイを担ぎ、壊れた部品を袋に入れ周りを見渡した。

もう活動できる戦闘機械はいないようだった。

そこままユィレは充電施設の中を見て回った。


(ひとつ疑問がある。あの街で感情を抱くことを禁じられたいるのならなぜムイはあんなに感情豊かなのか)


そんなことを考えながら。

そこには戦闘機械専用の充電器だけでなく、コントロール室があった。


コントロール室の中には複数のモニターと小さな本棚があった。

本棚の中は空いていて、記録と書かれた本の1から4、6があった。

ユィレは6を手に取るとページをめくった。


〔記録6〕

終末戦争が終わり、この街、トートも落ち着きを取り戻し始めた。

そうは言っても、建物はボロボロで、復旧が必要な状態だ。しかし、明らかに人手が足りない。機械があればそんなこともないのだが、全て国に回収されてしまった。街の警備を行うための調整を行うためだとか。

まあ、そんなことはいい。

暫くこの充電場も使うことが無くなるだろうが、しっかり管理を行うようにする。

ウォート博士の指令でもあるが、私自身この場所が思っているより気に入っているのかもしれない。

私のことを書きすぎてしまったかもしれないが、これで記録6-1を終了とする。



そこからは白紙となっていた。

パラパラと流すように本を見ていると、なにか挟まっているようだった。

2つ折りになったそれを開いてみると、今どきは全くと言うほど見ない手紙が挟まっていた。ユィレは手紙を開いた。


ワイ・バース殿

急に手紙を送ってしまい申し訳ない。

この度貴殿に手紙という方法で連絡を行ったのは、外部には漏れのないようにするためだ。

単刀直入に言うと、貴殿と取引がしたい。

この充電場の権限が欲しいのだよ。

もちろん、ただでなんて不躾な真似はしない。今後の世界で自由に生活出来る権限をやろう。

どうだい?返事はそっちに直接聞きに行くことにする。良い返事を期待している。

嗚呼そうだ、お孫さんがいるんだったな。

ちょうど一月後、会うのを楽しみにしている。

ビリオ軍 戦闘部隊長 グォール・ナデンズ


「バース……」


『俺はムイ・バース』


ユィレは記録1に手を伸ばした。


「う、うぅ……」


「ムイ」


コントロール室のソファに寝かせていたムイが起きた。


「大丈夫ですか?」


「ユィレ!!ってあれ?俺らって充電場に向かってたんじゃなかったっけ?」


ユィレは目をキュッと細めた。


「記憶が少し飛んでいるようですね。それ以外に身体の異常はありませんか?」


ムイは腕を振ったり、足を動かしたりした。


「いや、なんともないよ」


ムイは1度背伸びをすると当たりを見回した。


「充電場のコントロール室じゃん。なんでここにいるんだ?」


「戦闘機械を壊したあと、建物を探索して見つけました」


ムイは興味深そうに記録を手に取った。


「ゴセンゾサマがここの管理者でさ、うちにも記録があったんだよな」


「それは記録5と書かれたものでしょうか?」


ムイは考え込むように目線をさ迷わせた。


「覚えてないや!うちにあるよ思うからおいで!」


「了解しました。その前にこれらの記録をスキャンしたいのですが、よろしいでしょうか?」


ムイが頷くのを見ると、ユィレは記録のスキャンを始めた。


軍部マル秘情報

ユィレは戦争が始まる前に家事代行機械として作られたが、戦争により戦闘機械へと作り直された。その際、家事代行機械だった頃の記録は消去されてしまったようだ。しかし、家事は完璧に行える。

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