機械は血を流すのか
戦闘機械充電施設に向かう途中でムイはユィレにとある質問をした。
「なぁ、ユィレの話の中に出てくる博士ってどんなやつなんだ?」
「そうですね、今ある戦闘機械の原型とも言われるs-1をお作りになったのはあの方です。そのため、世界一と言っても過言では無い技術力を持った人です。それから……」
「あぁ!そういうんじゃなくて、その人はどんな性格だったんだ?」
「性格……?」
機械であるユィレには少し難しい質問だった、
「そうですね......ワタシはそのような質問には対応出来かねますが、他の人とは違う人だと言うことは確かです」
ムイはうんうんと頷きながら話を聞いていた。
「なるほど、変わった人だったんだな」
「周りの方にはマッドサイエンティストと呼ばれていたこともあるそうですよ」
「なんだよそれ」
そう言ってムイは笑った。
ふと、笑うのをやめ、真剣な顔をした。
「着いたぞ。ここが戦闘機械充電施設」
威圧感のある巨大な施設だった。
ユィレはそのまま施設に入って行こうとした。
「え?ユィレ!作戦とかは?」
「問題ありません。この街にSの戦闘機械はいません。そのため、万が一にもワタシが負けることはありません」
そう言い、施設に入った。
「離れないでくださいね」
「わかってる」
ムイは持ってきた斧を構えた。
施設の玄関に足を踏み入れると、けたたましい警報の音が鳴った。
ーー侵入者を確認しました
戦闘機械D-35640から35740まで戦闘を 許可します
いっせいに現れた戦闘機械はライフル、剣、拳銃など様々な武器を持っていた。
「Dランクの戦闘機械が何体いようが変わりありません」
そう言い、ユィレは散弾銃を構えた。
戦闘が始まる。辺りには、火薬の匂い、銃弾が放たれる音、瓦礫が崩れる音が満ちていた。
(俺がみんなを解放するんだ---)
「ハァァァァァッ!!」
ムイは戦闘機械に向け持ってきたを斧を振り上げ攻撃した。
しかし簡単にかわされ傷1つも付けられなかった。
「ムイ、ワタシから離れないでください」
そう言いながら、ユィレは戦闘機械の腕をもぎほかの機械に投げつけていた。
ユィレの周りには壊された戦闘機の山があった。
「ユィレ!!そういったって、近くにいたら戦えないじゃないか!!」
ムイはかすり傷を負いながらも必死に攻撃を避け、斧で反撃をするという切り切りの戦いを行っていた。
「命令にムイを戦わせるというものはありません。守れませんので大人しくそばにいてください」
ユィレはあくまで機械だ。命令を遂行するための。ユィレは持ってきた銃で周りの敵を壊し、ムイの元へ行った。
「そんなの、俺が荷物になるためにきたようじゃないか!」
ムイがユィレに詰め寄った。
その時、最後の一体と思われる機械がムイに向かって斧を投げた。
ユィレは彼を突き飛ばし、飛んできた斧によって腕が切れかかった状態になっていた。
----機体の激しい欠損を確認。直ちにメンテナンスを行い修復してください。
ユィレは片手で素早く銃を撃ち、その機械を破壊した。
「ユィレ!!ごめん!!俺のせいだ!!俺が……」
ちぎれかかった腕からは無数の導線のようなものが出ていた。それらは行き場の無くなった電気を放電し、青い光が出ていた。
「問題ありません。機体の劣化によるものでしょう。この街に機械を直せる人はいますか?」
ユィレの問はムイには聞こえていないようだった。
「俺が来なければ怪我しなかった。俺が来なければもっと早く終わった。俺が......」
「ムイ、私は命令を遂行したまでです。あなたは全く悪くありません」
「俺が...なんて...せいで。ごめん、ほんとごめんなさい、スイ」
ムイはユィレの声が聞こえていないかのようになにか呟きながらユィレの切られた腕を見ていた。
「私はユィレです」
そう言い、ムイに手刀を落とし気絶させ自分の壊れた部品を拾った。
戦闘機械充電場:戦闘機械のための充電場
戦争時にはここが拠点となる場合もあるほど重要な場所
一般人は入ることが出来ない