神の足掻き
「素晴らしい力だ…」
俺達の下で魔王の体を手に入れた神はぶつぶつと喋っている。
「この体を弱らせた事には礼を言う。褒美として貴様らを痛みを感じる事なく消してやろう」
指の音がなると俺達の周りに魔法陣が隙間なく現れ全方向を囲まれた。
「ふむ…主は見ていなかったのか?」
「?何を言って---がはっ……いつの間に…」
「なるほど、ただの隠れるのが好きな臆病者なだけじゃったか」
キツナさんは魔法陣を破壊する瞬間に動き、神に一撃のみを与えた。
「くっ……」
神はフラフラになりながらも立ち上がり空を飛ぶ。
「神が逃げるとはな、貴様堕天でもしてみるか?」
「逃げるのではない身体を馴染ませるのだ」
「はっ、最初から馴染むように作っといてよく言う…もっとましな言い訳出来んのか?」
「なっ、どうやって--」
神は結界を張りながら突然現れた扉に近づいていたがキツナさんは結界を無視して扉と反対の方向に殴り飛ばす。
「それで?あの二人がいた世界の人間をこの世界に連れてきたのは何故じゃ?」
「……中心世界に近い世界だったからだ。己の支配下にある世界ではその支配者を超えることはできぬからな」
「では、あの殺意はなんじゃ?」
「………」
神は睨みながら翼を出し自身の身体を包み込むとそこから光が溢れた。
「少し離れるぞ」
近くに来ていたキツナさんが俺達に声をかけてきたので言う通りにする。
「倒さないんです?」
「普通なら倒せるのじゃがアレは管理権限を持っておるからな」
「管理権限?」
「言葉通りじゃ。説明するひまは無いから簡単に言うと権限を持っている者を倒してしまうと管理されていた世界はバランスを崩し崩壊するから倒せないのじゃ。じゃから封印するしかないのじゃが、さすがのわしでも元気な神を封印するのはちときつい」
話を終えると光は更に輝くがすぐに収まり翼が見えた。翼が動くと髪は白銀で長く、スタイリッシュな姿をした青年が見えた。
「それ以上動くと貴様らの世界がどうなるのかわからんぞ」
「完全適応したくせにやる事は小物じゃな」
「貴様らの世界は魔物を倒せる手段がない事は既にわかっている」
「そうか。ではさっさと終わらせるか」
「なっ----げほっ……何故」
キツナさんは神の目の前に現れるとそのまま殴り、神は腕で防御をするが意味はなく、飛ばされた神は木を貫通していき岩に衝突する。
「生命体を見るのではなく世界をみるがよい」
「……………………なっ」
流石、神と言ったところか俺と時雨の世界とこの世界を同時に見ている。ちょっとしてから神が驚きの声をあげた。




