準備 後
「よし勝ち」
「くっ、妾があの時引かなければ」
ナツキさんが二枚のカードを持って悔しがっている…俺達が今しているのはババ抜きだ。今日は全員休む事にしたがやる事なく自然に一部屋に集まったので時雨が記憶から作り出したトランプで遊んでいる。
「もう一回だ!もう一回!」
「……もう二十回目なんだけど…」
休む日のはずなのに疲れた顔をしている。
「ほれ、水を飲んで休め。貴様も初めての娯楽だからと言ってはしゃぐな」
「あうっ」
デコピンをされて女の子らしい声を出す。
「む?今、何か思ったか?」
『気のせいでは?』
「気のせいか…」
ちょろい。
「どうする?何か買いに行く?」
「この暑さ的に昼か…そうじゃな軽食でも買いに行くか」
「それじゃあ行きましょうか」
ナツキさんと入れ替わってから俺達は外に出た。
「うーん、みんな平和にしてるなぁ」
村には検証済みの結界があるので皆安心しているのだろう。
「……あ、あのっ」
「ん?……どうかした?」
声をかけれたので振り向くと女の子がいた。
「お父さんを助けて!」
「……外に出たの?」
「うん…私のせいで…私が外に出たから…」
「ほれ、落ち着け…」
泣き始めたのでキツナさんが頭をなでる。
「………この人かな?」
「見つけた?」
「うん…ただ引きずられてるね。引きずってるのは魔族かな」
女の子に確認をしてもらい確信を得たので村を出て追いかける。
「後ろからついていく?」
「いや、場所はわかったからそのまま倒そう」
追いついた俺達は魔族を振り向かせる間もなく瞬殺してからキツナさんが男を抱えて村に連れていき俺達は魔族が向かっていた場所に行く。
「何もないか……そっちはどうだった?」
「いや特になかった」
『わざわざ拠点を作るくらいだから何かあってもおかしくないと思うのじゃがなぁ』
拠点にあった木材はシミや湿気があったので結構暮らしていたのだろうが特に目ぼしい情報は見つからなかったので戻ろうとしたがついでに村の周辺にいる敵を倒す事にした。
「ふぅ……」
帰ってきた俺はベッドに倒れこむ。
「もう明日かぁ…早いなぁ」
『なんじゃ?臆しておるのか?』
「はっはっは、そんなわけないですよ」
言いながら立ち上がり貸し出しされているタオルを手に持ち風呂場に向かう。
「ん?…ほう、堂々と覗きにくるとはな」
脱衣所に悪戯っぽい顔をしている裸体のキツナさんがいた。身体は子供に見えるのに雰囲気は大人っぽいので見惚れてしまう。
「ただ入りに来ただけですよ…」
無表情で反対の方にいき服を籠に入れていく。
「ほぉう……ナツキ?」
『もの凄く動揺しておるな』
「……………」
何も言わずに歩き身体を流して湯船に浸かる。
「……元の身体に戻りたいと思うか?」
隣に座ったキツナさんが聞いてくる。
「そうですね…この身体の感覚が普通になったけどやっぱり元の方がいいですね。いきなりどうしたんですか?」
「いや、随分とその身体を気に入っているようじゃからな」
からかうような声を出しながらニヤニヤしている。
『妾の魂の一部だと言う事を忘れておらんよな?』
「………もちろんですよ」
『今の間はなんじゃ!』
ツッコミをくらいながら立ち上がり風呂場を出ようとする。
「上がるのか?………この身体を見れるチャンスはもう無いかもしれんぞ?」
俺はピタッと歩きを止めて世界の時間が止まったかと思うような速度で思考した……その結果…。
「欲に素直なのは良い事じゃ」
綺麗な回れ右をしてキツナさんの隣に座る。その後視界が少しぶれてくるまで入り、キツナさんと共に部屋に戻った。キツナさんはずっと笑顔で嬉しそうにしていた。
「元の身体になっても共に入ってやろうか?」
「……それは遠慮したいですね」
再び悪戯っぽい顔して聞いてくるが一呼吸してから断る。キツナさんの部屋の前で分かれて自分の部屋に入りベッドに倒れそのまま寝た。




