精霊の住処
「よし、ここなら良いじゃろう」
キツナが来たのは精霊の住処である。
「さて…貴様が魔族側に行ったのか理由を喋ってもらうぞ…精霊王」
「あらあら、そんなに強い喋り方しなくてもよろしいじゃないですか。ちなみに私は精霊姫ですよ」
精霊姫はふふふと笑いながらキツナの前に現れる。
「魔族側についた理由ですか…そうですね…人間に裏切られたから、と言っておきましょうか」
「………はぁ…そう言う事にしておくかのう」
精霊姫を見つめたキツナはため息をつく。
「それで、あなたはこの事を聞くためにこちらに来られたのですか?」
「そうじゃな、話ができなければ殴るつもりじゃったがそれも必要なさそうじゃし」
「あらあらもう帰られるのですか?」
キツナは振り返り精霊の住処を出ようとすると止められた。
「ん?何かあるのか?」
「いえ私としては帰られる事を止めるつもりはありませんが…来ましたね」
「なるほどのう…エルフか」
キツナの横にある木が切断されると緑色の何かが目の前を通る。
「ふむ…話はできなさそうじゃな。聞いておくがわしがどうしようと文句はあるまい?」
「そうですね…普通ならばエルフと協力するのですが状況が状況ですしね」
同意を得たキツナはエルフの元に移動する。
「…む、距離をとらぬか」
エルフは魔法特化したであるため基本的に近距離に近づかれると魔法を使う前にやられてしまうのだ。
「動かない分手間が省けて助かるのう」
心臓の場所を殴ると男のエルフは血を吐いて倒れた。
「はぁ……この世界は隠れるのが基本なのか?ワンパターンすぎじゃ」
「実力が分からない相手にいきなり喧嘩売るのは馬鹿のやる事ですからね」
木の影から眼鏡をかけた男の魔族とエルフが出てくる。
「出てきたと言う事はわしの実力をわかったからかのう?」
「まさか…ただ気づかれたのなら隠れてもしょうがないですからね」
顔を横に振りながら呆れる様な声をだす。
「それで、貴様はこれからどうするつもりじゃ?まさか、わしから逃げられると思っておるのか?」
「いえいえ、私の隠密がバレた時点で逃げられるとは思っておりません。なのでこうします」
「なるほど……封印か。エルフが動かなかったのはここに立たせるためじゃったか」
キツナの足元を中心に一つの魔法陣が広がる。
「ふむ、動けぬな」
足を上げようとするが抑えられているような重さがあり動けなくなる。
「私は直接戦って相手を動けなくすると言うのは出来ませんのでね」
「なるほど…力に比例して重さも強くなるか」
力を入れるとその分重さも上がり地面が少しへこむ。
「あなたは私のコレクションとして飾りますね。とても美しい色をしていますし」
魔法陣が光るとキツナの身体は水晶玉に変わり黄色く光っている。
「それでは戻りましょうか、報告することがたくさんありますからね。……………?」
魔族が振り返るとエルフ達は全員倒れている。
「その報告する事の内容を教えてもらおうかのう」
「なっ!……どうして…確かにこれに……え…」
木の枝に座っているキツナを見た魔族は持っているはずの水晶玉がなくなり戸惑っている。
「なんじゃ?今まで幻想でも見ておったのか?」
「……いやありえない…私は魔法を使われればすぐにわかる…封印は確かに発動していた…水晶を触る感触もあった…全てが幻想だとしてもそれだけの魔法は私でなくても気づく…」
魔族はぶつぶつと呟き自分の世界に入っていく。
「もう話は出来なさそうじゃな…仕方ない、持って帰るか」
枝の軋む音が聞こえた魔族は自分の世界から戻り、首を動かそうと思った瞬間に魔族は意識を失った。
「魔族の魂は感触が気持ち悪いからな早く戻るかのう」
紫色の球体を持ったままキツナは時雨の元に戻った。




