プロローグ
「ねぇ……何か聞こえない?」
学校から帰っている学生が隣にいる友人に聞いた。
「え……どんなの?」
友人は耳を澄ましたあと何も聞こえないと感じに聞き返す。
「……鈴…みたいな音?かな…」
「………やっぱり何も聞こえな…あれ?」
目を閉じ音を聞こうとしたがやはり何も聞こえないため目を開くとそこには誰もいなかった。
---その日を境に同じように突然姿が消える現象が全国で発生した。
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「で?何するんだ?」
俺は机にうつ伏せて眠そうな声を出した。
「わかんない!」
俺の目の前にいる『時雨』ははっきりと叫んだので俺は呆れた視線を向けた。
「だってさー情報が『鈴の音』しかないんだぞ?」
人が消える現象は『場所・人数・時間・年齢』に統一性はなくランダムに発生している。
「お前なら何か分かってると思ったんだよ」
「残念ながら何も分かってないよ」
「そっか。でもそろそろ俺達に起こりそうな気がするんだよな」
正直自分もそう思っていたので同意する。
「来たのじゃー!」
声が聞こえた。
「「???」」
俺達は顔を合わせた。
「え……何でこっちに?」
「しらねぇよ。とりあえず会いにいこう」
部屋を出て声が聞こえた方に向かった。
「おお!久しぶりじゃな!」
「……どうやってこっちに?」
玄関にいたのは巫女服を着てケモミミと尻尾を生やした女の子……いわゆる『のじゃロリ』である。
「むぅ…あまり驚いておらんな…」
「充分驚いてますよ…」
とりあえず玄関に立たせるのもなんなのでリビングに移動した。
「改めて聞きますがどうやってこっちに?」
「ふむ…そんなに難しいことはやってないぞ?」
話を聞くに「互いの世界を繋いでいる場所」から来たらしい。
「ふっふっふ、わしを舐めてもらってはこまるのぅ」
「この人ならなんとかしてくれるんじゃない?」
時雨が聞いてきた。
「む?何かあったのか?」
事情を話しどうにか出来ないか聞いてみた。
「なるほどのう……まぁ…出来るとしたらいなくなった人物の場所に移動するくらいかのぉ」
「いや…それで充分ですね」
思っていたよりすごい事が出来るらしいので驚きながら返事を返した。
「それじゃ、これからどうしようか?」
「わしはこの世界を見たいぞ!」
キツナさんはそう言って俺と時雨を引っ張り、一緒に出かける事になった。
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「はぁ……楽しかったのじゃ」
数時間後、夕方になったので俺達は帰っていた。
「それはよかったですね」
「……うう」
時雨が財布を見ながら泣いている。
「キツナさんはこれからどうするんですか?」
「……自分の世界に帰ろうと思っていたのじゃが……」
「?」
キツナさんは手を顎にあて何かを考えてる感じだった。
「二人ともこちらにこい。話は後じゃ」
俺達は不思議に思いながらキツナさんの後を追いかける。
「こんな所に何かあるんですか?」
俺達が来たのは10階ビルの屋上である。
「ほれ、これを使え」
俺達は双眼鏡を渡された。いつ手に入れたのだろうか?
「ん?何を見るの?」
「おそらく、もうすぐ慌てる者がでてくるので探して欲しいのじゃ」
キツナさんによるといきなり人が消えると必ず友にいた者は探すように首を振るので手分けして探そうと言う事らしい。
「……いた!」
30分くらい探していると俺は人が消える瞬間を目撃した。
「どこじゃ?」
「あっちです」
俺は公園を指刺した。
「………見つけたのじゃ」
キツナさんが手を前に出すと公園から紫色のオーラが現れ、キツナさんの手に出現した。
「よし……これならなんとかいけるじゃろう」
札を取り出すと札をオーラに突っ込むとオーラは消えて目の前に扉が現れた。
「ふぅ……これで行けるのじゃ」
キツナさんは扉に手を当てると扉から光が出てきた。
「お主ら、呆けてないで行くぞ?」
「「あっ、はい」」
俺達はキツナさんの後を追い光の中に入った。