第六話蛇足
ところで、滅霊僧侶団が壊滅したことで、立場がふわりと浮かぶことになる少女がいる。細川裕の屋敷に保護されている幽霊、平井幽儺だ。
細川は滅霊僧侶団が壊滅するか、彼自身が死亡するまで、彼女を保護する契約を結んでいたのである。つまり、滅霊僧侶団の壊滅が成った以上、契約は履行されたものとして、自然と消滅するはずだったのだ。しかし、幽儺は屋敷を離れたところで、行き場がない。
そこで細川は、襲撃前に零火を呼び出し、姉の立場にある彼女と話し合うことにした。そして、彼女の言うところ、やはり今のままが、現段階で選びうる最善ではないか、との結論を得たのである。
「私の家、つまり幽儺の家でもあったわけっすけど、両親が幽儺を認識できなかったから、今の状態になったわけで」
「なら、日々の襲撃にも意味を見失ったか?」
「本音を言うと、そうっす」
細川の意地悪な問いかけに、しかし零火は苦笑しつつ頷いた。怒って斬り掛かるかと思っていた細川の方が、むしろ過小評価を反省したほどである。
「あ、でもだからといって、手を抜いたつもりはありませんよ。いずれ私は先輩を超える。この目標は本気です。けど、最近はその意味も変わってきたかなって」
意味とやらについて、零火は語らなかったが、細川はその意志を尊重し、深く聞き出そうとはしなかった。
ライは、自分を通せば契約を更新できると言った。零火も、引き続いて保存が幽儺を保護することに了承した。これにより、幽儺は滅霊僧侶団壊滅後も、細川の屋敷に留まることとなる。




