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第二話 初めての依頼人と

#1 依頼

 高校生は、期末テストが終わると比較的のんびりした期間に入る。細川が入っている化学同好会は、ほかの部に比べ活動が少ないので、彼は避暑も兼ねてラザムの仮想空間にいる時間が長くなっていた。

 ここには彼以外の人がいないので自由だし、何より気候の変化がないので過ごしやすい。

 仮想空間にはいるための魔法陣は既に覚えているので、ラザムさえ近くにいれば、学校から仮想空間を使って家に帰ることも出来る。

 が、さすがにそれはよほど急いでいる時にしか使わないつもりでいる。魔法を使いすぎだ、という自覚が、ないわけでもないのだ。ただし、そもそも自分のために使うことが彼の魔力の前提条件なので、これは細川の矛盾とも言える。

 寝不足で学校から帰った細川は、気まぐれ魔法店の事務室で宙に浮きながら昼寝をしていた。体に負荷もかからないし、気分がいい。

 目を閉じてふわふわしていること十五分。心地よい睡眠は、来客とラザムによって破られた。

 胸の上に組んだ腕の上で、彼女は細川に話しかけている。

「細川さん、起きてください。お客さんですよ」

 店長の反応は、甚だ不熱心だった。

「うーん、頼む、あと十分、いや、あと五分……」

「だめです、起きてください。魔法店を始めようって言い出したのは細川さんなんですよ」

 仕方なく、彼は起きて床におりた。そして、眠気を覚ますのに、彼はたったの一瞬を要しただけであった。

「どうして、あんたがここにいるんだ?」

 そこに立っていたのは、よく見知った顔──細川の中学時代の知り合いだった。彼女は他の女子たちとは違って派閥を作らなかったが、敵も作らず、最後まで中立を保っていた点で貴重な人物であった。細川とは二年前に、同じクラスになったことがある。

 ただし、それだけに心のうちが読めない相手でもあるのだった。

 ラザムが魔法で紅茶を出し、それを前に置いて軽く世間話をする。

「さて、ここにきた目的を教えてもらえるかな」

 ラザムは、細川の肩に座って話を聞いている。従って、彼は迂闊に上体を動かすことができない。

 客人の返答は、相変わらず細川の意表を突いた。

「うん、ちょっと理科を教えて欲しくて」

「は……?」

 彼は、目を見開いて呆然とした。当然ながら、彼はさっきまで昼寝をしていたことなど、とうに忘れているのである。

「で、わざわざそのために魔法店へ来たと?」

「そう」

「だったらわざわざここまで来ることもないだろう。誰か別の適当な人に頼めばいいじゃないか」

「でも、他に聞けそうな人がいなかったから」

 妙な状況だ、とは思ったものの、細川はそれ以上言及しなかった。ひとつには、彼も高校に友人がいないことが挙げられる。

「んで、何を教えればいいんだ?」

 依頼人は、細川のことを「勉強後できて器用な男」と考えているらしい。中学時代はそれで通ったが、今は話が違う。彼女とは高校も違うし、だいたい細川自身、勉強ができるとも思っていない。勉強もせず遊んでばかりで、よくもまあ第一志望校に落ちなかったものだと感心するくらいなのだ。

「化学、生物、物理」

 回答を受け、細川は精神的に二、三歩よろめいた。ソファに座っているのでなければ、本当によろめいたかもしれない。

「ちょっとまて、化学と生物はいいが、物理は……」

 彼が物理を教えるなど、有り得なかったし、無理に決まっている。前回のテストでは、赤点すれすれの点数を取って平然としていたが、それは来年物理を勉強しなくて良いことが確定しているからであり、進級さえ出来れば良い、と考えていたからだ。

 だが、教える立場になるとすれば、自ずと話は変わる。

 できるわけがない、と思ったが、まさか、「無理だ。帰ってくれ」と言う訳にもいかない。危険な仕事なら断っても文句は言われないだろうが、この仕事自体に危険性はなく、むしろ危ないのは細川自身の成績の方である。それでも、依頼主はなんだかんだと食い下がってくる。挙句、

「私より少し出来ればいから」

 と言うから呆れた。一と二なら二の方が上といっても、大差ないのだ。それでは意味がないだろう、と細川は思う。

 彼は、賭けに出ることにした。

「分かったよ。赤点取った奴の、当てにならない話で良ければな」

 いささか意地の悪いやり方だ、と思わないでもないが、この際、他にやりようもない。勝ったな、と思ったのだが、結果は細川の期待を見事に裏切った。

「ほんと!? ありがとう」

 夏休みに来るから、と言って、彼女は出ていった。細川が賭けを訂正する間もない。

「行ってしまいましたね。頑張ってください、細川さん」

 はあ、と細川は盛大にため息をついてソファに身を沈めた。

「やれやれ、どうしてこうなった」


#2 勉強

 翌日、細川は高校の教室で物理の問題集を解いていた。テストも終わったのに、である。そこへ、担任の物理教師が近寄ってきて、

「ほう、珍しいな。前回の点数が、よほどこたえたものと見える」

 皮肉を言われてしまった。訂正の余地がなくはないが、口にするだけ無駄である。

「ええ、まあ、その、なんですか、はい……」

 次第に声が小さくなっていく生徒を、教師は不審そうに眺めた。一方細川には、相手と会話を継続させる意思はない。教師も、教室から出ていった。

 そのときである。

「順調ですか、細川さん?」

 細川の目の前に、ラザムが現れたのである。驚いて文字通り椅子からひっくり返った細川は、すぐには立ち上がれなかった。

「ラザム? どうしてここに?」

「物理ができないとかだったので、少し様子を見に来たんです。学校に来るなとは言われてませんし……大丈夫ですか?」

 腰を抜かしてひっくり返った細川を机の上から見下ろして、ラザムは心配した。細川は椅子と机に手をかけ、ようやく起き上がる。

「何とかね。しかし、時間と場所を選んで出てきてくれよ。でないと、少々面倒なことになる」

 その「面倒なこと」は、三秒以内に細川を包囲した。正確には、細川の机の上に立っている、ラザムを、である。

「かわいーい!」

「遅かった」

 細川は苦笑した。クラスの女子たちであった。

 こうなるともうだめである。わいわい集まってきた暇な女子群を眺めやり、細川は戦わずして逃げ出すことにした。ラザムに女子群の相手を任せ、さっさと教室を出てしまう。

「ねえ、名前なんて言うの?」

「ラザムです」

「きみ、人形?」

「天使です」

 逃げ出す細川の耳に聞こえてきた会話の内容である。女子怖い。とてもやってられない。廊下に出た細川は、そんなことを思った。


#3 物質召喚

 魔法店に帰ると、ラザムは客用ソファの背もたれに乗って寝ていた。酷く疲れているようだ。細川の気配に気づくと、彼女は顔だけ動かして長い髪のかかった目を向ける。

「……随分とぐったりしているな。大丈夫か? 少なくとも、そうは見えないんだが」

「あ、細川さん。おかえりなさいです……」

「ただいま。その様子だと、疲れて逃げ帰ってくるので精一杯だったか」

 細川は少し思案顔をしたが、その途端ラザムが飛び起きる。

「細川さん、今余計なこと考えましたよね」

「え?」

「今、天使も疲れるのか、なんてこと考えましたね!? 変なこと考えないでください! 天使だって通常世界や仮想世界にいれば、一週間につき十二時間の睡眠が必要です。疲労は感じますから、それを癒す必要があるんです」

 想定外の勘違いをくらって、細川は、精神的に二、三歩よろめいた。壁がなければ、本当に二、三歩よろめいたかもしれない。とりあえず、思考を勝手に読まれることはないらしい。

 それにしても週半日睡眠とは少ないものだ。細川など、一晩で八時間寝ても寝足りないのに。

 ふと思い当たったことがあって、細川は尋ねてみた。さっきの会話からして細川が寝ている時間もラザムは起きているはずだが、その間一体何をしているのだろう。

「その時間なら魔力整理ですね。細川さんは寝る時に私に魔力を預けていますので、その分も私がやっています」

 全く知らない事を言われ、彼は首を傾げた。

「なんだそりゃ」

「魔力使用者は、一定時間ごとに魔力を整理しないと絡まってしまいます。整理しておかないと、魔力行使の際に暴発してしまうこともあり、とても危険なんです。魔力が暴発すると体内エネルギーのほとんどが魔力に変換され、体外へ放出、甚大な被害をもたらす『魔力風』を引き起こします。『魔力風』はエネルギーの流れそのものですから、直撃すれば人体が消滅することもあります」

 脅かしておいて、震え上がる細川を見たラザムは、ふっと吹き出した。

「すみません、ちょっと興が乗りました。心配しなくても、魔力は勝手に整理されるようにできています。私に預けなくても、眠っている間に整理されますから心配しなくて大丈夫です。記憶が整理されて定着するのと同じです……同じでしょうか」

「なんで最後言い直したの?」

 最後が気になったが、それで思い出すことがある。記憶が定着といえば勉強、そして今の細川にとって勉強の最優先科目と言えば──、

「そうだ、物理やんなきゃ……」

 思わずげんなりして、細川の足は魔法店の出口に向いた。

 それを、何か考えていたらしいラザムが呼び止める。

「ちょっと待ってください。細川さん、物理をもう少し楽に勉強したいと思いませんか?」

「は?」

 半信半疑の体で、細川はラザムの方を振り返った。半ば救いを求めるように、と言い換えることもできるかもしれない。

「できるならそうしたいとこだな。けど、何かあてでも?」

「もちろんです。私たちは魔法が使えるんですよ?しかも、依頼人は魔法店に依頼に来ているんです。──物質召喚魔法、使ってみませんか?」

「物質……なんだって?」

「物質召喚魔法です。指定した物質をその場で生成できる魔法ですよ」

「この魔法店を作ったり、この前紅茶出してたあれか?」

「それです。今回の以来と相性がいいと思うんですけど、どうでしょう」

 細川は当該シーンを回想し、表情を和らげた。

「ラザム」

「はい」

細川は彼女の名前を呼び、頷いた。

「君は、天使だな」


#4 実験

 夏休みに入ると──店主と依頼人との高校では開始日が違ったが──、宣言通り、依頼人は魔法店に現れた。一日目は打ち合わせ、二日目は化学、三日目は生物、四日目、五日目は休みを入れ、六日目に物理実験を予定する。

 予定だけを見ればよくできた流れに見えるだろう。が、実際はそうでもない。とくに店主の側はぼやく頻度が普段の彼と比べても尋常ではなく、

「俺は塾を始めたつもりはないんだが」

 とか、

「なんで俺がこんなことをしなくちゃならんのだ」

 などとぶつくさつぶやき、ラザムを苦笑させている。ついには五日目夜、就寝前に魔力を抜かれながら、

「うまくいくもんかねえ」

 と余計なことをつぶやいた。

「大丈夫ですよ。あれだけ準備して練習もしたじゃないですか。これだけやってどこに失敗する要素があるんです? 安心してください。終わったら初依頼完了のお祝いをしましょう」

「発言が失敗するフラグでしかないんだがなあ。というか、どうしてそう自信満々なんだ?」

「こういうものはなんだかんだあっても、最終的にうまくいくものと相場は決まってるんです。安心していいですよ。」

「失敗フラグもそれを見越したものであると?」

「失敗フラグが何かはよくわかりませんが、あんまり不安視すると本当に失敗しちゃいますよ。……終わりました」

 軽くなった体を震わせ、細川は深くため息をついた。

「わかったわかった。あんまり悲観的にならないようにするよ」

 もっとも、悲観的なのは元からである。計画を立てる時は楽観的に、いざ実行に移すと途端に悲観的になるのが細川の特徴だ。

 あまり他人に易々と気を許して心中へ立ち入らせることをしない彼だが、ラザムからは全面的な忠誠が得られるので、いくらか気を許している面がある。とはいえ、誰もその点に気づいていないのだが。 

 そうこうしているうち、物理を教える日が来てしまった。最後の最後まで、細川は、「柄じゃない」とぼやき続けたが。

 当日、仮想空間で魔法店の外に出た細川たちは、実験を開始した。

 細川が魔法担当、依頼人が記録と考察を担当。ラザムは──何の役割があるだろう。

 細川が魔力を使用する際に必要なだけで、極論必要な人員ではなかった。言ってしまえば、細川でなくラザムが実験を行えば、細川こそその場にいなくていいのだ。

 それでも彼が出てきたのは、依頼内容が依頼人の本心と違うことに、細川が薄々勘付いていたからである。

(不器用なやつだ)

と、彼は自分を棚上げして考えた。

 細川はまず、仮想空間の色調を黒に統一した。実験映像でよく見るような、漆黒の世界が広がる。彼は物質召喚魔法と同時に、仮想世界の設定講習(講師ラザム)も受けていたのだ。決して楽ではなかったが。

 そして、明るさを保ち、重力加速度を九・八にする。教科書的な実験をするためだ。誤差は小さい方がいい。

 こうして環境が整うと、細川は両掌を上に向け、そこに2つの物体を出現させた。これが物質召喚魔法、任意の物質をその場で生成し、手にするための魔法である。

 物体は球状、一方はアルミニウム、片一方はガラス製。大きさは直径約二センチメートル、ビー玉よりも少し大きいかもしれない程度だ。

「まずは落体からだ。ここに同じ大きさの球体が二つある。片方はアルミニウム製、片一方はガラス製だ。同じ高さから静かに落として、どうなるか比べてみる」

 細川は、我ながらずいぶん偉そうに授業をしているな、と思った。

 思いながらも、それをあえて訂正することはなく、実験は順調に進んでゆく。

そして、二時間程度で予定されていたすべての実験が完了した。


#5 依頼の真相

「彼女に、この以来の本当の目的を聞いておいてくれないか」

 細川がそんなことを言ったのは、実験後、ラザムを伴って魔法店に戻るときである。彼女にだけ聞こえる声で囁いたので、依頼人には聞こえていないはずだが──、

「どういうことです? 依頼は勉強じゃないんですか?」

「おそらくだが、本当の目的はそこじゃない。なんとなく見当はついているが、俺が直接訊いても不自然に誤魔化して答えないだろう。だから君が訊いておいてくれないか。俺は一度、家に戻るから」

 ラザムは小さく頷いた。

 そして、細川はごく自然に呟いて魔法店を出る。

「さてと、腹も減ったし帰るか。ラザム、あとを頼むよ」

「承知いたしました」

 細川がいなくなると、依頼人もそれに続く。

「それじゃあ、私も帰ろうかな。またね」

しかし、それでは細川に言われたことを果たせないので、ラザムは彼女を引き留める。

「まあそう言わずに。少しお話しませんか?」

「話? なんの?」

「例えば──」

ラザムは軽く首を傾げて微笑みかける。

「──今日ここに来た理由とか」

 依頼人の表情が、愛想笑いのまま凍り付いた。


「まず、お名前をお伺いしても?」

「……新島と、そう呼んでくれればいいわ」

「それは──本名ではありませんね」

「だから何だっていうの? 名前なんて、記号と同じ。他と区別できればいいのよ。だいたい、私とあなたはもう会うこともないわね。ラザム……ちゃん」

「細川さんみたいなこと言いますね。気が向かない時なら、あの人も同じようなことを言いそうです。受け売りですか?」

 何があったのか、細川が機嫌を損ねて帰ってくることは時々ある。そんな時ラザムが話しかけると、このような論法で丸め込まれてしまうのだ。

「どう思うかは任せるけど、私のやり方の一つね」

「で、最初の話題ですけど……」

「焦らない。先を急ぐと大事なものを見逃すわ──私みたいにね」

「………」

 やや声を低くして、新島は言った。

「で、私がここに来た本当の理由ね? あなたが偽装に気づいたとも思えない。アイツの入れ知恵かしら」

「その『アイツ』というのが細川さんのことなら、それは否定しません。ですが、勉強が本来の目的ではない、と言われてしまうと、その目的が那辺にあるのか、私も知りたく思います。重ね重ね初めの質問に戻らせていただきますが、本当にここへは何をしに?」

「……そう、あなたもアイツに随分惚れ込んでいるようね」

「……え?」

「あら、図星かと思ったのだけど。惚れ込んであっさり感化されたんじゃないの? ……ああ、確かにあなた、実は恋愛に疎いですみたいな顔してるわね。私によく似てるわ」

「確かに、天使は皆恋愛と一定の距離があります。天使が生まれ変わった人間も、一生独身だと聞きます。私も未だに感情を持て余すときがありますし、今この時も、自分の感情を読み違えることがあるかもしれません。──新島さんの話からすると、なにか恋愛関係のご相談をなされに?」

「ああ、やっぱり勘違いするのね。私が来た理由は、恋愛そのものだったのに」

「というと?」

「天使は恋愛に疎い」ことをそのまま示してしまい、新島が苦笑する。

「私は勉強のために来たといったわね。あれは単なる口実よ」

「……?」

「会いたかっただけ。ここからいなくなる前にね」

 自殺でもする気か、と思い、ラザムは慌てそうになるが、新島はそれをなだめて言った。

「引っ越すのよ。明後日、遠くにね」

「え?」

「親の都合でね。私の意志は介入の余地なし。だから、手伝いもせずにささやかな抵抗を……したのよ。抜け出してくる方法は考えたものだわ。こうでもしないと、出られなかったし」

「でも、依頼までそれに合わせる必要はなかったんじゃありませんか?何とか引っ越しを止める方法を相談すれば……」

「できないだろうよ、そいつにはな」

「え……?」

突然現れた声に、ラザムが顔を上げる。

「親がなんかで苦労してるから、手を煩わせるわけにはいかない、長女の自分がしっかりしないといけない、あんたは前からそうだった。で、何も言い出さないうちにことが決まり、今頃になって適当な口実を作る羽目になった──違うか?」

「……違くない」

「だと思った。相変わらず面倒な性格をしてやがる」

 自分のことは棚に上げ、そんなことを細川は言った。面倒な性格をしているのは──方向は違ったが──細川も同じである。

「理由は、やっぱり聞かないでおこう。決壊し爆発して、手に負えなくなる可能性がある。もっとも、聞いた方がいいなら話は別だが?」

「大丈夫。私はもう平気……ありがとね」

「……ああ」

 奇妙な居心地の悪さを覚えながら、細川は新島を見送った。

「ところで、いつからそこにいたんですか?っていうより、どこから聞いてたんです?」

 同じく無言で依頼人を見送ってから、二人だけになった魔法店の中でラザムは当然の疑問を口にした。

「抜け出してくる方法をなんとか、ってところは聞こえたが。思ったよりも話が進んでなくて驚いた。何があったんだ?」

「想像にお任せします」

「おい、なんだそりゃ。なんだ、聞かれちゃまずいことでも話してたのか?妙なことになってるとこっちが困るしそもそも──」

最初にペンを取ったときは、細川は私の分身だったんです。最初の下書きから、もう二年になりますか……Googleブロガーに第一話を載せたのはその半年後なんですが、その時には既に、分身辞めてましたね。

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