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v3.0.9 - 発見

 かくして俺はSNSの怖さというものを思い知り、

 目的からも遠いところに辿り着き、わりとどうしようもない感じになっていた。


 まさかSNSがそんな罠だらけのものだとは。

 ミントは「簡単だ」と言ってたけど、全然簡単じゃない。


 放っておけば、俺は間違いなく変な情報ばかりを集めてエコーチェンバーとやらの中にはまり込み、世間の激レアさん達と一緒に井の中の蛙として楽しくゲコゲコ言い合うだけの狭くて楽しいタイムラインが完成してしまうことだろう。


 俺が欲しいのはそういうのじゃない。

 そういうのじゃないんだ。

 ごく普通の若者がごく普通に楽しんでる感じのSNS。

 それが見たいだけなんです。

 そこに辿り着きたいだけなんです。


 え?

 俺みたいなのには無理?

 だって、若者らしい趣味も好きなものもないし?

 確かに俺の関心をベースに作っていったら、どう考えても井の中タイムラインに辿り着く予感しかない。


 ……うん。ソウダネ。

 ちょっと考え方を変えようね。


 多分、俺の関心と好奇心を元に行動すれば、その先にあるのは死の運命のみ。

 もっと普通の人の感覚でやらないと。


 現金決済が好きな俺は封印。

 俺は、普通の人が普通に好きそうなものが好き。

 例えば誰もが愛してやまない犬猫とか。


 あとは……今回の目的は「共通の話題」なのだし。

 えっと……こういう時は、タモさんの雑談技術みたいな本にあった、趣味の異なる人でも盛り上がりやすいトピック集を紐解いて……と。

 七橋さんとか采里と共通項として使えそうなネタだと……これだ。地域情報。


 「あそこにこんな店がオープンした」とか「あのスポット行った?」とか。

 これならいけそう。

 じゃあ……家の近隣エリアの情報を共有してる人は——


 今住んでいるエリアで検索してみると、いくつか地域情報を発信してるアカウントが見つかった。

 プロフィールを見てみると、知らないお店とかスポットの情報がたくさん並んでいる。


 ……こういう情報って普通だったら友達とかから回ってきて知るんだろうな……と思うと我が身のぼっちさに思わず涙が出そうになりましたがここはぐっとこらえて——


 よ、よし。じゃあこの人達をフォローして、と……

 ……ん? あれ?

 でもこの人達をフォローするってことは、ある意味俺の活動エリアを晒すようなものだよな。

 っぶね。


 ……ま、まあ、でも、今は鍵かけてるし?

 鍵を開けるような時があったら気にしたほうがいいと思うけど、今は大丈夫だろう。

 大丈夫だよ……ね?


 よ、よし。

 じゃあフォロー継続で。


 あとは何だろう。

 流行の話題に強そうなアカウントとかあるのかな。

 高校生向けの情報サイト、とか?


 そんな事を考えながら学校名やら最寄り駅、地域の名前など色々と検索をしていると、


(ん……!?)


 検索結果に出てきた一つのポストに俺の目は釘付けになった。


 それは、制服姿の女の子の写真が添付されたポストだった。


 写真の女の子、その制服に見覚えがある。これはどう見ても俺が通う高校の制服だ。

 そして、その女の子の顔立ちのほうにもはっきりと見覚えがあった。

 明らかに同じクラスで見た顔。


 は……?

 え……?

 大丈夫なの、これ?

 晒されてる?


 いや、違う。これ、本人発信だ。

 えっと……アカウント名は @lilia_no9

 そのアカウント名でピンときた。

 フルネームは確か……玖木(くき)梨々亜(りりあ)

 クラスのSNSにも@liliaという名前でよく書き込んでいて、LINCで唯一俺にメッセージを送り続けてきているギャル系女子だ。


 どうやら玖木さんのアカウントを発見してしまったらしい。

 えっと……大丈夫かな?

 この間知った「裏アカ」という単語が脳裏をよぎる。

 隠してるものを見つけてしまった、とかだとちょっと後ろめたさがある。


 ——が。

 プロフィール画面を見て、その心配が杞憂以外の何ものでもないことを瞬時に察した。


 だって、フォロワー数、12万人なんですもの。

 12万ってなにそれ。

 普通に一つ市が作れる人数だ。

 そりゃ、俺ごとき情弱野郎の検索にだってひっかかってきますよね……


 つまりこれは、裏垢とかそういうものじゃない。

 玖木さんが自ら堂々と発信しているアカウント、なんだろう。


 っていうか、え?

 玖木さんって、そんなSNSつよつよ女子だったんですね——

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